はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

槍と木守唄

2015-03-15 22:31:32 | はがき随筆
 天草の福連木に伝わる「福連木の子守唄」。その悲しい子守唄や歴史に、私は胸が痛む。
 福連木の森は、徳川時代、突如、槍の柄木として納める直轄地になった。村民共有の稼山を失い、村人はどんなに厳しい生活を強いられたことだろう。口減らしで泣く泣く、娘たちは球磨地方に子守に出されたのが福連木の子守唄の起こりらしい。
 加藤清正の槍が紀州家に贈られた経緯から、私は福連木の森の樫が徳川家の槍の柄になったのではと思う。んどみゃ 盆ぎり 盆ぎり……と、不運な子供たちが、五木や人吉で歌う時の悲しみを私は言葉にできない。
  出水市 小村忍 2015/3/13 毎日新聞鹿児島版掲載

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