はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

峠の汽笛一声

2010-06-03 17:42:53 | はがき随筆
 「二番列車が通ったよ、早うせんね、学校に遅るっど」。母や祖母の声が耳の記憶に残る。
 本紙の続『てっどの旅』小向井さんの随筆絵ハガキに出ていた川内駅と串木野駅間の金山峠がある。SL時代は通過する度に大きい汽笛の響きと高い黒煙を残していた。当時は汽笛の音が時刻を知らせる役目にもなっていたと思う。懐かしい峠はトンネルに変わりあの汽笛も消えて、冷たいコンクリートの中に眠っている。登り坂の串木野からは蒸気機関車が『ナンダ坂、コンナ坂』と息遣いにも似た車輪のリズムは今も鮮やかな思い出に。汽笛は遠い日々に。
  鹿屋市 小幡晋一郎(77) 2010/6/2 毎日新聞鹿児島版掲載

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