「そんな場合じゃないだうろ」。私は言った。ほとんど毎年、娘の住む横浜に妻に居ない寂しさから訪れ時を費やす。
行っても一人で名の知れた美術館を見て回るくらいなのだ。
今日は久しぶりに孫の事やで娘と長電話に花が咲いた。
心底行って気を晴らしたい衝動を抑えて会話している自分を覚える。しかしコロナウイルスが頭の中を渦巻いているのも引けを取らない。
先が見えない感染拡大、感染ルートまでも見えなくなっているし、ましてや自分は高齢者。
これ程割り切れない心情と娘の誘いに怒鳴った事はない。
宮崎県延岡市 前田隆男(82) 2020/3/12 毎日新聞鹿児島版掲載
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