はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

感動の日

2008-12-11 10:00:42 | はがき随筆
 生前評価されなかった画家には興味があるが、神髄を理解する能力は僕にはない。だが奄美に移り住んでから描かれた作品からは精魂のようなものを感じる。あばら屋で一人ひたすら描くが売れるものではない。それでも絵の具が続く限り描く。波に削られ不規則に積み上げた本のような岩に立つアカショウビンの赤いくちばし、鋭い目を見る時、田中一村を目の当たりにしたようで涙が出そうな感動を覚える。島々を思わせるように水に浮かぶ常設館を振り返る時、一村はもちろん、世に出してくれた人、その間保存管理してくれた人たちに頭が下がる。
   志布志市 若宮庸成(69) 2008/12/11 毎日新聞鹿児島版掲載
写真はBird Watchingさん

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