はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

落ちてなお

2014-04-30 15:44:25 | はがき随筆
 庭奥に硬いつぼみをつけていた藪椿が、いつの間にかほぼ満開です。立春を境に寒が緩んだり戻ったりのいわゆる三寒四温の気候に、しっかりと応えています。つくづく自然の営みに目を見張るこのごろです。みどりつややかな葉陰に咲ききった花も良いが、つぼみをほどきかけた様子もすてき。その根方に目をやると、たくさんの落ち椿。拾い上げてお盆にでも飾りたい衝動に駆られる。落ちてもなお、その鮮やかさに感動を覚えます。
 椿一樹を見上げたり、落ち椿を見つめて心を遊ばせたひとときでした。庭奥に寒の戻りを咲きて散る上にも椿下にもつばき。

  鹿屋市 門倉キヨ子 2014/4/29 毎日新聞鹿児島版掲載

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