はがき随筆・鹿児島

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「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

今言える

2016-11-12 21:37:50 | はがき随筆
 思えば刀鍛冶になりたいと考えた中3の頃から私の精神はさ迷い始めていた。能力別学級編成の高校が嫌いで授業をよくさぼった。山登りも始めた。船員になって国外へ出たかった。留年して6年いた大学生活も苦悩の日々だった。悲しかった。
 失望の果て、中学美術教師として無心にそろりと歩き始めた私は、へき地の大自然の中ではつらつとして中学生たちとよく遊び共に生きた。
 「先生、素直に生きることです」と彼らが教えてくれた。
 彷徨は今も続いているが、彼らが私の生命をよみがえらせたのだと、今、はっきり言える。
  出水市 中島征士 2016/11/4 毎日新聞鹿児島版掲載

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