古い箱から変色した5円はがきの束が見つかった。昔、県外で寮生活していたころ、私が父に宛てた便りで、結びはいつもお金の無心ばかり。先月の繰越金に続いて今月の収支明細など。夏休みに帰省するための旅費など含めてあと2000円欲しいとある。
父からの返信は字が乱れすぎて判読できないが、2000円挟んであったっけ。驚いて帰省したら父は脳梗塞で倒れて言語もままならず、兄や姉の看病を受けていて数ヵ月後、他界した。何一つ恩返しできなかった親不幸ぶりは60年経ても申し訳なさに胸が張り裂けそうになる。
熊本県玉名市 大村土美子(80) 2019/5/9 毎日新聞鹿児島
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