久しぶりに夫とうどん店へ行った。ふと2年前に亡くなった父のことが思い出された。
父が亡くなる1年くらい前から半年間ほど、月1回の父の通院につき合った。病院の帰りには毎回、同じうどん店で昼食をとった。「史子と同じものでいいよ」。父はいつもそう言った。二人で無言で食べた。最後に父はお汁まで飲み干していた。私にはちょっと驚きだった。父は大正生まれで、大家族で育ち、戦争も経験していたから、食べ物を粗末にしてはいけないと見に沁みついていたのだろう。
父と二人きりで食事をしたのはこの時期だけだった。
熊本県玉名市 立石史子(66) 2020/5/28 毎日新聞鹿児島版掲載
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