桜が散り青梅がふくらんだ頃、田舎に住む兄が誕生日とあって鹿児島に出てきた。
「何を食おうか」「テンプラがいいな」と2人の足は駅前の居酒屋に吸い込まれた。
「テンプラに焼酎!」
メニューも見ずにカウンターに座った、中折帽の毛色の変わったじじいたちに驚くおかみには目もくれず、したたか飲んで食って店を出ると、駅前の夜霧はもう赤く光っていた。
「夢の四馬路か虹丘の街か」
上海にでも行った気分か、肩組み合ってふらふら歩く80半ばのこの2人、まで当分天国には行けそうもない。
鹿児島市 高野幸祐 2017/6/19 毎日新聞鹿児島版掲載
「何を食おうか」「テンプラがいいな」と2人の足は駅前の居酒屋に吸い込まれた。
「テンプラに焼酎!」
メニューも見ずにカウンターに座った、中折帽の毛色の変わったじじいたちに驚くおかみには目もくれず、したたか飲んで食って店を出ると、駅前の夜霧はもう赤く光っていた。
「夢の四馬路か虹丘の街か」
上海にでも行った気分か、肩組み合ってふらふら歩く80半ばのこの2人、まで当分天国には行けそうもない。
鹿児島市 高野幸祐 2017/6/19 毎日新聞鹿児島版掲載
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