はがき随筆・鹿児島

はがき随筆ブログにようこそ!毎日新聞西部本社の各地方版に毎朝掲載される
「はがき随筆」は252文字のミニエッセイです。

閏年

2020-01-11 13:07:10 | はがき随筆
 地球が太陽の周りを公転しているが、その周期は365.2422日である。1年間は365日だが端数の0.2422日を4倍すると、約0.97日となり、ほぼ1日。通常の2月は28日だが、4年ごとに29日が加わって、これを閏年という。
 現在の時点では紀元年数が4で割れると閏年となっている。2020年の今年は閏年だから2月29日が付加されている。偶然の一致だが、オリンピック・パラリンピックは閏年である。今年の開催国は日本。世界各国から選手団や応援団、観光客が来訪してにぎやかになることだろう。
 熊本市東区 竹本伸二(91) 2020/1/4 毎日新聞鹿児島版掲載

杖付きつつ

2020-01-11 12:40:09 | はがき随筆


 みどりを乞うた4.5.6月、町の病院の日々を思い出す。訓練で試歩した公園への道、杖つきながら、せっせと歩くがまんの時。あの30分間くらいのみどりにしばし心洗われた。そしてわが家のあふれるみどりに会っている現在、自然はみどりから黄葉へと移行してゆく。ひと寒む、ふた寒むのもたらす気温の変化に心身ともになじんでゆく。スイセンやフリージア、イキシアがもう芽を出し、冬にその活力を養っている。土があり水があり、いのちが継がれる。輪廻。私はきのうミニチューリップを11球植えた。おもいを込めて球根を植えた。
 鹿児島市 東郷久子(85) 2020/1/3 毎日新聞鹿児島版掲載

幼子の思いやり

2020-01-10 21:26:56 | はがき随筆
 秋の日の緑地公園では子供たちが虫とりに興じていた。
 その中に近所に住む幼稚園児のK君もいて、上手に虫を捕っている。ところが一人の男の子は頑張っているのに、虫カゴは空のまま。それを見ていたK君、一生懸命アミを振り1匹のバッタを捕まえると男の子の虫カゴに入れてやった。
 そしてホッとした様に笑顔をみせた。心が震えた。
 今、寒い公園には誰もいない。
 でも、秋の日のあの光景は今もそこにあって通るたびに聞こえてくる。「優しい心を忘れないで」と、かわいい幼子からのメッセージだ。
 宮崎県延岡市 橋本京子(76) 2020/1/1 毎日新聞鹿児島版掲載