平成22年1月20日(水)
昨日19日のジョエル・アソグバ先生の講演会の
素晴らしい示唆に富んだお話しに 感謝の感想をたくさんいただきました。
以下、19日の講演会のお話の続きです。↓
ある秋の日、カレンちゃんの入学の半年前に、学校に挨拶に行きました。
(本当は、絵本の読み聞かせに行きたかったのです。)
ところが、田舎は、とても閉鎖的です。
わが子たちが、私のそばで筑後弁で話しているのにも関わらず
肌が黒いからと、先入観?偏見?「日本語は大丈夫?わかりますか?」
と、対応してくださった先生方は とてもトンチンカンな質問。
校長先生も教頭先生も 皆 多分 緊張して当惑したのでしょう。
こちらの言うことがよく聞こえなくなってしまっていたのです。
「ガイジン!」「バイキン!」「死ね!」「バカ!」「うざい!」「汚い~」
「…(無視)…」などがないように予防策に力を入れました。
そんな言葉や態度に出会うと、一生、心のキズの痛みは消えないから。
そのおそれが多分にあると心配がありましたから、それで小学校に
出かけて事前に相談したのです。
「わかりました。頑張ります。」と言われたので、入学を期待して帰宅。
それにしても、日本のこどもは、あいさつしない子が増えている。
危機管理の行き過ぎ?ヒトを見たら泥棒と思え?
知らない人と話してはいけないと言われているらしい。
さて、カレンちゃんが1年生になって、3週間後のある日、
学校から悲しそうな表情で帰宅した。大変なことがあったなとわかった。
一人のクラスメートが、カレンちゃんに
「早くあなたの茶色の肌は、肌色にしなさい!」
と命令口調で言ったというのでした。それは、無理難題です。
服は着替えることが出来ますが、生まれつきの肌の色ですから。
ちゃんと解決しなければ。話し合いで。
こんな問題は、自分だけの問題にしてガマンはだめ。辛抱とガマンは違う。
どうすれば、同じ問題が起こらないように出来るか。
直ぐに学校の担任の先生に連絡しました。
すると、校長先生と教頭先生と担任の先生が謝りにやって来た。
「カレンちゃん、かわいそうにごめんね。○○ちゃんに注意したからね。」
とあやまりに来た。カレンちゃんは、納得いかない。
「なぜ○○ちゃんが謝らないで、先生があやまるの?」
と言った。また、カレンちゃんはかわいそうではない。
この茶色の肌の色には、誇りと自尊感情を持たせているから。
「かわいそう」というのは「同情」。同情は、無関心につながる。他人事?
「共感」は、相手の立場を考えた言葉。共感で、心の扉は開く。
きっと1年生の○○ちゃんには、悪気は無かったのでしょう。
ただ、思ったことを思ったままに口に出してしまっただけで無意識でしょう。
でも、カレンちゃんの生まれつきの肌の色は
努力しても変えることは出来ない。汚れているのではない。
だから、いくら石鹸をつけてこすっても白くはならないので、
「そんなこと かわいそうだから 言わないでね。」
と注意するだけでは根本的な解決には、ならないのです。
これは、大人の問題。
前もって「変な色はいないよ」と教えておけばよかったのです。
本当の人権教育は、問題が出てきてから臭いものにふたではなく、
まず段取りよく Yes!No!の訳を説明しておかなくては。
とかく 日本人は、一人だけちがう方言で話すと、その人を仲間はずれにする。
そうではなく、少数派を外さないで、声をかけ仲間に誘うように教えなくては!
お互いに納得がいき、「ごめんなさい。」と、謝ったら、
子ども同士で仲直りの握手するとよいですね。
さて、あの○○ちゃんは、
とうとう我が家にはあやまりには来なかったが、カレンちゃんの
7歳の誕生日の日のパーティーに、皆と一緒に 自宅に呼びました。
驚いたことに ○○ちゃんの母親は、
「うちのあの子は、バカですから…」と、言ったのです。
ダメな子なんて一人もいない。バカなこどもも一人もいない。
だから、「うちの○○子は、バカですから…」なんて言って欲しくありません。
「罪を憎んで、人を憎まず」です。繰り返し教えていけば解決するのです。
子どもの代わりに、大人が謝りに行くのでは、解決にならないですよ。
子どものコミュニケーション能力をつけて、人間関係をうまくつなげて
切磋琢磨でそれぞれの良い個性と能力を伸ばすように願っています。
日本のイジメは、誰か自殺してからやっと…しかも最初はイジメは無かったと。
次には、イジメがあったかもしれないと変わり、最後にはありましたと土下座。
根本的な解決にはバラバラの席に離すだけではダメ。違う組にするのもダメ。
21世紀は、建前だけでは解決しない。
では、
今から読み聞かせ実演をさせていただきます。
虹は、色々な色が一緒にあるから美しいのです。
また、独りぼっちになったときの気持ちや、
仲間外しにされた時の気持ちを
子どもたちに考えさせてみましょう。
寂しそうな子には声を掛けましょう。
ひとりぼっちの人を、誘ってあげましょう。
最後のこの子たちのように真似をして欲しい。
考えてください。お年寄りも声を掛けられない人が多い。
一人暮らしで話し相手もなく寂しいのです。
また、最近、新聞で読んだ記事でしたが、
日本の大学での貼り紙の事が話題になっていました。
『便所めしダメ』…この張り紙の意味がわかりますか?
食堂で一人で食べるのは嫌だから、トイレの中で食べる学生がいるというのです。
『一人でいる人をさそいましょう』と書き加えた方がよいと、
カレンちゃんでも分かります。
一人ぼっちは耐えられない? なら、なぜ、寂しそうな人をさそわないの?
思いやりは?日本人は、集団で動く習性がある。
また、テレビのコマーシャルで『美白化粧品』の紹介がよくあります。
日本人女性は『白い肌』に憧れているのですね。
黒い肌から白い肌へ憧れて「美白」でしょうか?
お肌がより白い方が本当に美しくて魅力的なのでしょうか?
『美白』はあるけれど、『美黒』はありませんね。(笑)
ボクは、『美黒』の方がいいな!Black is Beautiful !
日本民話『にんじんさんが赤いわけ』というお話は、ちょっとちがうと…
ごぼうさんは、お風呂でこすり方が悪かったから黒いのではなく元々黒いのです。
それで、『ごぼうさんの色は』を絵本にしたのです。 Black is Beautiful !
最後にジョエル先生は、一番好きな童謡♪『チューリップ』を皆で歌いましょうと。
♪「さいた さいた チューリップの花は
ならんだ ならんだ 赤、白、黄色
どの花 見ても きれいだな」
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/tyurippu.html
質問① 私の息子は24歳。
今オーストラリアで4年間もワーキングホリデイ中です。
安否が心配です。それで1週間に1度は電話しています。
でも、うるさがって、電話しなくていいと、そっけない。
ジョエル先生は、16歳から親元を離れていたそうですが、
男の子の気持ちは?
答え①: ボクは生まれ育ったオタワからバンクーバーへ行く時、3人兄弟の弟が
「行かないで!」と、泣きました。16歳でした、別れはとても辛かった。
でも、ちゃんと親離れ子離れしました。
あなたの息子さんは、24歳なら、立派な大人です。しかも、自分で
ワーキングホリデイを志して、元気に頑張っているのならば
そんなに心配はいらない。とても立派だとおもいます。
心配しなくちゃならないのは、何もすることがみつからなくて家で
昼夜逆転して、働かずにひきこもっている青年たちです。
お母さん、もう 親離れ・子離れしましょう。
質問② 国際結婚が少しずつ増えてきていますが、宗教的な背景や
親や親戚の反対はありませんでしたか?
答え② 私の実家の宗旨は、キリスト教ローマンカトリックで、父の弟は神父さん。
3歳から教会へ行っています。
でも、一度も違う宗教の人と結婚してはいけないとは言われたことはない。
れいこさんの実家は仏教と神道だが、一般的な日本人と同じで、
彼女は小さい時からお寺に行ってはいないようです。
友人のなかには、ユダヤ教やイスラム教や儒教や仏教など
ちがう宗教宗旨のひとがいるが、誰も皆、平和を望んでいます。
カトリックはカトリックと結婚するのが多いかもしれないが、
人類は皆兄弟姉妹です。宗旨がちがっても仲良くできる。
ただ、原理主義者は、考えられないことを考えている。
私は、宗教より哲学が大事と思う。仏教は、哲学やな~と思います。
質問③ 「愛はあいさつ」、というのもよくわかりました。素敵です。
もう少し具体的にあいさつのポイントを教えてください。
我が家は、てれ臭くて なかなかうまくいかない。
答え③ あいさつするときには、相手の目をしっかり見てください。
そして、子どもの名前を呼びながら、笑顔で明るく
「カレンちゃん、おはようございます!」「お元気ですか?」
学校から帰ってきたら、すぐ笑顔でハグして「おかえりなさい!」
「今日は学校でいいことがありましたか?」「残念なことは?」
何でも話しやすい雰囲気で、日頃から言葉かけをしていましょう。
子どもと一緒に過ごす時間をなるべく増やし会話しましょう。
小学生まではスキンシップ(抱っこやおんぶやタッチ)が大事です。
そして、一緒に料理をしましょう。タマネギは、必ず子どもに切らせましょう。
涙が出てきます。そのことを体験させてると、日頃の親への食事の準備に
感謝の気持ちが起こりますよ。中学生になる前に、家族でたっぷり
良いふれあいの時間を!社会問題も時事問題も話し合いましょう。
NHKテレビのドキュメンタリー番組も録画して、一緒に見ましょう。
アフリカの子どもの苦しみを見せて考えさせましょう。
質問④ 甥が中国青島から日本に留学してきたが、逐一母親に電話し、
何でも話して、親には心配させないようにとても感謝し気を遣って親孝行。
昔の日本は、とても親孝行な人が多かったらしいが…
今は、全然『親孝行』するという考えがなくなってきて、中国や韓国や
台湾の子どもたちに比べて、日本の教育は変という気がします。
また日本のテレビの番組は、親や先生や目上の人に反抗する内容は
よくみるが、『親孝行』を話題にしたよい影響を与える番組が少ない。
ジョエル先生は、カナダからいらっしゃってどう感じますか?
答え④ 『親孝行』な子どもに育てたいなら、まず、両親が祖父母を大事にしている
ところを見せるのがよいでしょう。お手本があれば真似します。
今は、日本は少子高齢化が進み子どもの人数が少ないから親の面倒を
みる子どもの人数も減りました。お年寄りはスープの冷めない距離。
独居老人が、誰にも気づかれずに餓死や孤独死、というのは親不孝。
涙が出ますよ。子ども達が外で過ごす時間が長すぎるのでしょう。
中学の部活は週3回までにしたほうがよい。
昔は、親の手伝いをし、親に心配をかけないのが孝行な子どもとして、
褒められていたが、今は、日本の子どもは
「手伝いはしなくてよいから勉強しなさい。」と言われ、親が小間使い。
不思議ですよ。親よりも友達が一番大事になってしまったのです。
中国や韓国、台湾では、家族が一番大事です。
日本人は、出歩き族。土日は、家で、家族でパーティーをしましょう。
まず子どもの舌に、コンビニ弁当ではなく、手作りのお袋の味を!
家庭が居心地よい場所に。母親と父親が仲良くするとよい。
そうすれば、「親孝行が日本の美徳」の時代にまた戻るかもしれない。
テレビの影響は大きい。漫才ブームで平気で人をけなしたり、バカにする。
頭を叩くギャグも受けていたりして、PTAもあまり抗議したりしていない。
カナダの子育ては人を褒める教育です。
子どもにいつも関心を持ち、少しでも頑張っていたら褒めまくります。
自信をつけて、自己肯定感を高めて、夢に向かって努力する方向に。
うそをついたり、両親に反抗的になったりする時は、原因を探しましょう。
人のものを盗ったり隠したり、これは、家庭の力が足りない時によく起きる。
いつも神様が見ているよ。懺悔(ざんげ)の心を育てて素直に謝れる子に。
乱暴な言葉遣いは、真似しないように。幼い頃から親が手本です。
「ありがとう」「おたがいさま」「もったいない」も 好きな日本語です。
※ジョエル・アソグバ先生のHP:http://www2.saganet.ne.jp/joel/