絵話塾だより

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2020年3月6日(金)文章たっぷりコース9回目の授業内容

2020-03-08 20:03:23 | 文章たっぷりコース
文章たっぷりコース、今日もお休みの生徒さんがいらしゃったので、教室は少し寂しい感じでしたが
いつもの “つかみ” では、コロナウイルスは怖いけれど、風潮に惑わされる人が多いことも怖い
ということから、高科先生の大学の卒論テーマ『教育の不当な支配』に沿って、
戦前戦後の国の教育方針の推移をおさらいし、
現在国がとっている全国一斉休校措置はどうなのか? 学校が休みになると、すぐ、
勉強はどうなる? ゲームばかりするんじゃないのか? と言う話になるが
「時間ができたから、本を読む」という選択肢が出てこないのは、いかがなものか。
などなど、“高科節” は今日も絶好調なのでした。

ここでは、ハンス・ペーター・リヒターの『あのころはフリードリヒがいた 』(岩波少年文庫)や
上野 瞭の『ちょんまげ手まり歌』など、抑圧する側とされる側を描いた作品を紹介してくださいました。



続いて、教科書(高橋源一郎さんの『まちがいだらけの文章教室』)から、前回の続き
「たくさん書くことがある」のには、用心しなけりゃならない
について学びました。

大変な経験をしたことがある人は、それを他の人に伝えたいと思うが
「経験」を「貨幣」に置き換えて考えると、経験の多さを語るということは
金持ちの自慢にしか他ならない。経験を語る時には、謙虚さを忘れてはならない。
謙虚な文章には、こちらから近づきたくなるのだそうです。
そして、大変な経験をしたからといって、良い文章が書ける訳ではないということでした。
ただ、知らないことは書けないので、そんな時には資料を集めてきちんと調べ
間違いのない文章を書くという姿勢が大切だということでした。

それから、辰濃和男さんの『文章のみがき方』から
推敲のテーマで、「紋切り型を避ける」「いやな言葉は使わない」のところをやりました。

「紋切り型」とは、謝罪会見の時などによく聞く
「このことを真摯に受け止め、原点に立ち返って、精一杯対応させていただきます」とか
政治家が使う「国民一人一人が豊かな生活を送ることができる社会を目指す」とか
スポーツニュースなどで「プロの洗礼を受ける」「百戦錬磨のベテラン選手」など
使い古された言い回しのことで、あまり使わない方が良いということでした。

むのたけじ さん(1948年に週刊新聞『たいまつ』を創刊したジャーナリスト)によれば
「(ジャーナリストとしての経験上)形容詞の多すぎる言葉は信用しない方がいい」そうです。

「いやな言葉」とは、自分が嫌いな言葉は使わないと考えて
流行していたり、すでに一般的になっている略語(イケメン、コンビニ)なども
書く時には使わない方がいいと思っておきましょう。

次は、推敲について具体的に考えていきました。
例文を見て、主語と述語を探します。



主語が省略されていたりして、少し分かりにくかったので、より良い構成を考えます。
常に主語と述語の関係を考えながら書き、
必要なら、削ったり足したり二つの文に分けることも考えます。



もう一つの例文は、内容は同じで順番が入れ替わるだけというものでした。



①どうして イノダのコーヒーは あんなにおいしいのでしょう。
 →「どうして」を強調
②イノダのコーヒーは どうして あんなにおいしいのでしょう。
 →「イノダのコーヒー」を強調
③どうして あんなにおいしいのでしょう、 イノダのコーヒーは。
 →「イノダのコーヒー」をさらに強調する倒置法

前後の文章を考えて、どれが一番ふさわしいか考えて書くことが必要です。
さらに、「あんなに」を「こんなに」に替えると、今まさにコーヒーを飲んでいることになります。

おもしろおかしくことを考えて、主語と述語がちゃんとあるか
なくても分かるかということを考えながら書きましょう。



最後は、工藤直子さんの『こころはナニでできている?』から、
「大きくなったら なにになる?」を読みました。
いつものように、彼女が子どもの頃の思い出なのですが
死の恐怖や、それから逃れるためにキリストになりたくなったことなど
深い深い内容でした。 彼女は本当に自分の小さい頃のことを良く覚えていますね。
さすが、「わたしは記憶でできている」とおっしゃるだけあります。

今日は課題は出ませんでしたが、
前回提出したものに納得できていない人は、推敲して書き直して提出してもいいそうです。
次回10回目の授業は3月20日(金・祝)です。
その頃までにコロナウイルスはどうなっているでしょうか。
少しは良い方向に向かっていて欲しいですね。

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