絵話塾だより

Gallery Vieが主宰する絵話塾の授業等についてのお知らせです。在校生・卒業生・授業に興味のある方は要チェック!

2021年4月10日(土)文章たっぷりコース第11回めの授業内容・高科正信先生

2021-04-13 20:31:40 | 文章たっぷりコース
今日は、最近亡くなった田中邦衛さんと橋田壽賀子さんの話題から始まりました。
お二人とも1960年代以降のテレビドラマ界で活躍された方で、高科先生は当時倉本聰氏の「北の国から」シナリオ集を買うほど気に入っておられたそう。
お二人が亡くなったのは寂しいことだけれど、表現者は肉体がなくなっても映像や書物で生前は知らなかった人に知ってもらえることが素晴らしいとのことでした。

その後はテキストテキスト『書く力』(池上彰・竹内政明/朝日新書)から、
・家具を買い足す感覚で好きな言葉を集める
・「事実の積み重ね」で内面を描く
・「体言止め」でリズムを刻む
・映画的な工夫  のところを見ていきました。



文章を書くとき、いい言葉(しゃれた言い回しでもいい)を一つ入れようとすると
前後の文章もそれにあったものにしなければ釣り合わない。
テーブルクロスや絨毯やカーテン等は同じセンスで選ぶことが望ましく
一つだけかけ離れたものを選ぶと、心地よいものにはならないというのです。

テキストで紹介されている井上靖の散文詩『海辺』を読み
事実の積み重ねによる臨場感、ここぞという時に体言止めを使うことで話を展開させる
カメラワークを感じさせる表現で興味を喚起する技を学びました。
ただ、その技を実際に使おうとすると大変に難しい。
そのためには名文を読んで、どこが優れているか分析する読解力を付けるのが良いでしょう。
高科先生ご自身は、若い頃から人に薦められた本は出来るだけ読むようにして
読み解く力を磨いていったそうです。



例えば先生がまだ若かった頃に、アーシュラ・K・ル=グインの『ゲド戦記』薦められた読んだときは
難しくて読みこなせなかったけれど、何度も読み返していくうちにだんだん面白くなってきたのだそう。
逆にJ・K・ローリングの『ハリー・ポッター』のシリーズは、まるでずっと “あらすじ” を読んでいるようで
あまり面白いと感じなかったそうです。

翻訳物は特に訳者のセンスが問われるといいますが、例えば先生は
シェル・シルヴァスタインの絵本『大きな木』なら、村上春樹よりほんだきいちろうの訳の方が好きだし
J・R・R・トールキンの『ホビット』のシリーズは、数ある中でも瀬田貞二の訳
ジェームズ・サーバーの『たくさんのお月さま』は、今江祥智の訳(絵は宇野亜喜良)が好きなのだそうです。



それから大竹まことの『俺たちはどう生きるか』(集英社)より「春にそなえよ」の箇所を紹介してもらいました。
辛口ボードヴィリアンの作者が、集英社のPR雑誌『青春と読書』に連載していた「平成消しずみクラブ」の文章をまとめたもので
大竹氏の声で再生されるような、リズミカルな文章でした。



前回の課題「さんぽ絵本」について。
生徒さんの作品をいくつか紹介しながら、この課題では散歩の中から見えてくる
ストーリー(スケッチではなく)を描く一種のロードムービーと考えて
視点の移り変わりに注意することが重要だということでした。
そして、先生お薦めの さんぽ絵本 を2つ読み聞かせてくださいました。


吉岡さやかの『ミミコがさんぽにでかけたら』(福音館書店・こどものとも2020年11月号)と



片山健の『のまどくん』(文溪堂)でした。
どちらも突拍子もない展開で、子どもが大喜びしそうな作品でした。
どうしたらこんなアイデアが思いつくのでしょう!

そして、長田弘の『懐かしい時間』(岩波新書)から「絵本を読もう」を見ていきました。
(この本は長田氏がNHKラジオで続けていた「視点・論点」というテレビ番組で語っていたことをまとめたものだそうです)



絵本は年齢によって、経験によって、立場によって、さまざまに読み取ることができるものであり
絵本をもっとも必要としているのは、子どもたち以上に大人たちではないか、というのです。

川本三郎氏も「絵本はここではないどこかへ連れていってくれるもの」と言っているように
絵本は素晴らしいものなのですね。

授業の最後は、柳田國男の『日本の昔話』(新潮文庫)から「猿の尾はなぜ短い」「古屋の漏り」を見ていき
課題の話になりました。



今回は「昔話の再話」です。
今日見ていった「猿の尾はなぜ短い」「古屋の漏り」と、「かちかち山」の3話から1つを選び
自分独自のやり方で、おもしろい話に作り直してください。
元の話は短いので、セリフを入れたり脚色をしたりして、展開が楽しみになるようにしてください。
昔話はすべて聞き書き(伝聞)の手法を取っています。
「むかしむかしあるところに」から始まり、「〜だったとさ」で終わるような形が多いです。
その辺りを踏まえて、エピソードを盛るのは構いませんが、ストーリーは脱線しないように再話してください。
今回は漢字まじりの普通の文章で、長さは自由です。



皆さん理解はできたようですが、実際どんなふうに進めていけばよいか、悩んでおられました。
高科先生いわく「大変だとは思いますが、書いていくということが大事なんです」
・・・・・・・・皆さん、頑張ってくださいね!


*4月・春のわくわくガイダンス

・4月17日(土)  ①14:00〜16:00 ②17:00〜19:00
・4月29日(木祝) ①14:00〜16:00 ②17:00〜19:00

なお平日も午後1:00以降ならお好きな時間にガイダンスを行いますので、
参加ご希望の方は来られる日時をお知らせください(ガイダンスの所要時間は1時間30分程度です)。

お問い合わせやガイダンスに参加をご希望の方は TEL078-332-5808または、
こちらのメールフォーム からお願いします。


よろしくお願いいたします。




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