高科先生は、最近奥様と一緒に近所の池に散歩に行かれたそうです。
そこはご自宅から坂や長い階段を使って行かなければならないところで、
野鳥が来たり、魚もたくさん生息しているそうですが、残念ながらブラックバスやブルーギルなどの外来種ばかりだそうです。
そのことから、人と自然のつながりを描いたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』や『センス・オブ・ワンダー』(いずれも新潮文庫)の話になり
実はこの池の風景は、高科先生の著作『さよなら宇宙人』(フレーベル館)に登場する場所のイメージなのだと教えてくださいました。
こうやって身近な場所を物語の中に登場させることができるのは、作家ならではの楽しみなのかもしれませんね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/6d/0c/abd436b17eeeba775ae1a396896abb6f_s.jpg)
最初にテキスト『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書)を交代で音読していきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/66/722ed462e228861f557fdd5079467575.jpg)
この日見ていったのは
3.語が持つイメージ
・季節のイメージと文化
・言語の感覚的なイメージ
4.文章としての改まった言葉
・話し言葉と書き言葉という文体
・「めっちゃびっくりした」を書き言葉ではどう表現する?
・もう「ボキャ貧」ではない! という箇所。
言葉の持つイメージというと、俳句の季語があります。
知っていると便利ですが、季語は旧暦のまま使うので、現代とは季節にズレが生じます。
プロの作家の中にも時々間違って使う人がおられるようですが、恥ずかしいし、
自分が意図しないことが伝わるのは不本意でしょうから、確認してから使いましょう。
日本独特の言葉と文化を大切にしたいものです。
言葉の音そのものがイメージを表すこともあり(擬音語・擬態語)、
「コロコロ」「ゴロゴロ」、「キラキラ」「ギラギラ」のように
濁音になると、大きく、マイナスなイメージになる傾向があります。
「キーン」「シーン」と「コーン」「ドーン」のように
イ行は高い音や無音を、オ行は低い音や大きい音を表すことが多いようです。
子音では「ぬめぬめ」「ねばねば」「のろのろ」のように、
ナ行は動かない、粘着質なイメージになります。改めて考えるとおもしろいですね。
ここで、前回も参考にした瀬戸賢一の『日本語のレトリック』(岩波ジュニア新書)から
「声喩……音の形で意味する」のところを見ていきました。
この本は2002年に出版されたので「声喩」となっていますが、今は「音喩」ということが多いとか。
これがいわゆる「オノマトペ」で、「バンバン(と撃つ)」のように音そのものを写す擬音語と
「しんしん(と雪が降る)」のように様態を写す擬態語の2種類があります。
オノマトペは漫画でよく使われるイメージがあるので、使いすぎないように注意し
使うときはなるべく手垢がついていないような表現を心がけましょう。
オノマトペをうまく使っている作家に、宮沢賢治や神沢利子がいます。作品を参考にするのもいいですね。
テキストの最後に、話し言葉と書き言葉について見ていきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/88/c1ee4bc506d5dfd317670f689a8ac788.jpg)
話し言葉の「めっちゃびっくりした」は、書き言葉では「非常に驚いた」のようになります。
文章の中に会話が登場する場合は話し言葉のままでも良いですが
それ以外は少し改まった言葉に書き換えます。
文体には「〜です」「〜ます」を使う “敬体” と、「〜だ」「〜である」を使う “常体” があります。
どちらを選んでも良いですが、内容や主題に向いている方を使うようにしましょう。
高科先生の場合、『おおきなおおきなさかな』では常体、『たまのりおたまちゃん』は敬体で統一しておられます。
昔話は話し言葉で伝承されるものなので、
「むかしむかしあるところに」「〜だったのじゃ」など、独特の口調で表します。
語尾は基本的に過去形ですが、今まさに起こっていると感じてほしいときは現在形を使ってもかまいません。
さまざまな語を知ると、豊かな文章が書けるようになります。
たとえば「見る」だけでも、「眺める」「見つめる」「のぞき込む」「見つける」のように
いろんなシチュエーションが考えられます。
さらに、「見る」の前に「ちらっと」「じっと」「そっと」などの擬態語をつけると
もっと具体的に表現することができるようになります。
類義語辞典などを手元に置いて、使う言葉に気を配ると文章は趣深いものになってきます。
言葉の定義は辞書によって違うこともあるそうです。(三省堂『新明解国語辞典』の解釈がユニークだそう)
「定義」とは、誰にでも分かる言葉でその物事を表現する方法ですが、
文章を書くときは、常に別の言い方をするにはどうしたら良いか考えて書くことにし
なるべく “使い古された常套句” は使わないようにしましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/1f/602e83b6b8a71aab1c1cc93c50ffc460.jpg)
休憩を挟んで、次は工藤直子の『こころはナニで出来ている』(岩波現代文庫)から
「てつがくのライオン」と「いるかのてがみ」などの詩を見ていきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/48/7d/8c3ee623fc7dee60c2497d5e6d118048_s.jpg)
工藤直子は、コピーライターの先駆けとして働いていた若い頃
自分の中に溜まっていくものを出すために、詩をノートに書き込んでいました。
「子どもは家出をしなければいけない」とは、ご自身も空想で家出をしたくり返した工藤さんの言葉ですが
実際にでも、空想でも、どちらで家出をしても、必ず元の世界に帰ってくることが大事なのです。
それから「まいご」と「にんぎょう」という詩を見ていきました。
二篇ともこどもの目線で、やさしい言葉で、オノマトペをたっぷり使った臨場感あふれる文章でした。
次回からも、引き続き詩人とその作品の紹介をしてくださるそうです。楽しみですね。
そして、前回提出した課題「わたしと階段」についての作品を皆さんに返却しました。
その中から数点、ユニークな視点の作品を先生が音読してくださいました。
一人が、階段のことを「二つの世界をつなぎ、行き来することのできるもの」と表現していたのを受け
舟崎靖子の『さよならピーマン』も、心の奥底のどこかに自分の知らない私が住んでいるお話だと教えてくださり
神沢利子が雑誌に寄稿した「わたしと階段」という文章も紹介してくださいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/1c/7f/211cbff3a3a5538e7476f364a95febf6_s.jpg)
さて、今回の課題は「ふゆの絵本のテキストを書く」です。
冬にはクリスマスやお正月などの行事もありますし、寒いことで生まれる出来事や感情もあるので
物語が作りやすいかもしれません。登場人物は誰でも、何でもかまいません。
あまり難しい言葉や漢字を使わずに、小学校低学年が理解できるようなものを書いてください。
絵本のページ数は基本的に8の倍数と決まっていて、絵本なら32Pが多いです。
1見開きを一場面として、15見開きで進行する物語を、①〜⑮まで番号を付けて書いてください。
それぞれの見開きの間は(ページをめくるイメージで)、数行開けて書くようにしてください。
ボリュームは、原稿用紙5〜10枚程度を目安にお願いします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/30/d75457c764949718e54a690a3981a2c0.jpg)
この後、年末年始は何かと忙しいと思いますが、次の授業(1月15日)までに頑張って書いてきてください。
よろしくお願いいたします。
そこはご自宅から坂や長い階段を使って行かなければならないところで、
野鳥が来たり、魚もたくさん生息しているそうですが、残念ながらブラックバスやブルーギルなどの外来種ばかりだそうです。
そのことから、人と自然のつながりを描いたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』や『センス・オブ・ワンダー』(いずれも新潮文庫)の話になり
実はこの池の風景は、高科先生の著作『さよなら宇宙人』(フレーベル館)に登場する場所のイメージなのだと教えてくださいました。
こうやって身近な場所を物語の中に登場させることができるのは、作家ならではの楽しみなのかもしれませんね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/0f/de/388f38ad70b09197d8721fdcfed3d908_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/4c/9b/6d3531ff0352fa3b0cb27882341f45d7_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/6d/0c/abd436b17eeeba775ae1a396896abb6f_s.jpg)
最初にテキスト『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書)を交代で音読していきます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/66/722ed462e228861f557fdd5079467575.jpg)
この日見ていったのは
3.語が持つイメージ
・季節のイメージと文化
・言語の感覚的なイメージ
4.文章としての改まった言葉
・話し言葉と書き言葉という文体
・「めっちゃびっくりした」を書き言葉ではどう表現する?
・もう「ボキャ貧」ではない! という箇所。
言葉の持つイメージというと、俳句の季語があります。
知っていると便利ですが、季語は旧暦のまま使うので、現代とは季節にズレが生じます。
プロの作家の中にも時々間違って使う人がおられるようですが、恥ずかしいし、
自分が意図しないことが伝わるのは不本意でしょうから、確認してから使いましょう。
日本独特の言葉と文化を大切にしたいものです。
言葉の音そのものがイメージを表すこともあり(擬音語・擬態語)、
「コロコロ」「ゴロゴロ」、「キラキラ」「ギラギラ」のように
濁音になると、大きく、マイナスなイメージになる傾向があります。
「キーン」「シーン」と「コーン」「ドーン」のように
イ行は高い音や無音を、オ行は低い音や大きい音を表すことが多いようです。
子音では「ぬめぬめ」「ねばねば」「のろのろ」のように、
ナ行は動かない、粘着質なイメージになります。改めて考えるとおもしろいですね。
ここで、前回も参考にした瀬戸賢一の『日本語のレトリック』(岩波ジュニア新書)から
「声喩……音の形で意味する」のところを見ていきました。
この本は2002年に出版されたので「声喩」となっていますが、今は「音喩」ということが多いとか。
これがいわゆる「オノマトペ」で、「バンバン(と撃つ)」のように音そのものを写す擬音語と
「しんしん(と雪が降る)」のように様態を写す擬態語の2種類があります。
オノマトペは漫画でよく使われるイメージがあるので、使いすぎないように注意し
使うときはなるべく手垢がついていないような表現を心がけましょう。
オノマトペをうまく使っている作家に、宮沢賢治や神沢利子がいます。作品を参考にするのもいいですね。
テキストの最後に、話し言葉と書き言葉について見ていきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/88/c1ee4bc506d5dfd317670f689a8ac788.jpg)
話し言葉の「めっちゃびっくりした」は、書き言葉では「非常に驚いた」のようになります。
文章の中に会話が登場する場合は話し言葉のままでも良いですが
それ以外は少し改まった言葉に書き換えます。
文体には「〜です」「〜ます」を使う “敬体” と、「〜だ」「〜である」を使う “常体” があります。
どちらを選んでも良いですが、内容や主題に向いている方を使うようにしましょう。
高科先生の場合、『おおきなおおきなさかな』では常体、『たまのりおたまちゃん』は敬体で統一しておられます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/62/24ff5b21c7b0f508c6b86f1c41164451.jpg)
昔話は話し言葉で伝承されるものなので、
「むかしむかしあるところに」「〜だったのじゃ」など、独特の口調で表します。
語尾は基本的に過去形ですが、今まさに起こっていると感じてほしいときは現在形を使ってもかまいません。
さまざまな語を知ると、豊かな文章が書けるようになります。
たとえば「見る」だけでも、「眺める」「見つめる」「のぞき込む」「見つける」のように
いろんなシチュエーションが考えられます。
さらに、「見る」の前に「ちらっと」「じっと」「そっと」などの擬態語をつけると
もっと具体的に表現することができるようになります。
類義語辞典などを手元に置いて、使う言葉に気を配ると文章は趣深いものになってきます。
言葉の定義は辞書によって違うこともあるそうです。(三省堂『新明解国語辞典』の解釈がユニークだそう)
「定義」とは、誰にでも分かる言葉でその物事を表現する方法ですが、
文章を書くときは、常に別の言い方をするにはどうしたら良いか考えて書くことにし
なるべく “使い古された常套句” は使わないようにしましょう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/1f/602e83b6b8a71aab1c1cc93c50ffc460.jpg)
休憩を挟んで、次は工藤直子の『こころはナニで出来ている』(岩波現代文庫)から
「てつがくのライオン」と「いるかのてがみ」などの詩を見ていきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/1c/3b/4882cfbdb0aa62d6f276697e02aa6c3a_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/68/1f/7ce23cccb48a728c108ec7487ff3e13f_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/48/7d/8c3ee623fc7dee60c2497d5e6d118048_s.jpg)
工藤直子は、コピーライターの先駆けとして働いていた若い頃
自分の中に溜まっていくものを出すために、詩をノートに書き込んでいました。
「子どもは家出をしなければいけない」とは、ご自身も空想で家出をしたくり返した工藤さんの言葉ですが
実際にでも、空想でも、どちらで家出をしても、必ず元の世界に帰ってくることが大事なのです。
それから「まいご」と「にんぎょう」という詩を見ていきました。
二篇ともこどもの目線で、やさしい言葉で、オノマトペをたっぷり使った臨場感あふれる文章でした。
次回からも、引き続き詩人とその作品の紹介をしてくださるそうです。楽しみですね。
そして、前回提出した課題「わたしと階段」についての作品を皆さんに返却しました。
その中から数点、ユニークな視点の作品を先生が音読してくださいました。
一人が、階段のことを「二つの世界をつなぎ、行き来することのできるもの」と表現していたのを受け
舟崎靖子の『さよならピーマン』も、心の奥底のどこかに自分の知らない私が住んでいるお話だと教えてくださり
神沢利子が雑誌に寄稿した「わたしと階段」という文章も紹介してくださいました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/1c/7f/211cbff3a3a5538e7476f364a95febf6_s.jpg)
さて、今回の課題は「ふゆの絵本のテキストを書く」です。
冬にはクリスマスやお正月などの行事もありますし、寒いことで生まれる出来事や感情もあるので
物語が作りやすいかもしれません。登場人物は誰でも、何でもかまいません。
あまり難しい言葉や漢字を使わずに、小学校低学年が理解できるようなものを書いてください。
絵本のページ数は基本的に8の倍数と決まっていて、絵本なら32Pが多いです。
1見開きを一場面として、15見開きで進行する物語を、①〜⑮まで番号を付けて書いてください。
それぞれの見開きの間は(ページをめくるイメージで)、数行開けて書くようにしてください。
ボリュームは、原稿用紙5〜10枚程度を目安にお願いします。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/30/d75457c764949718e54a690a3981a2c0.jpg)
この後、年末年始は何かと忙しいと思いますが、次の授業(1月15日)までに頑張って書いてきてください。
よろしくお願いいたします。