絵話塾だより

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2022年4月30日(土)文章たっぷりコース・11回目の授業内容/高科正信先生

2022-05-01 18:47:15 | 文章たっぷりコース
この日はやることがいっぱいあったので、いつものよもやま話は早々に切り上げ
早速テキスト(『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書))のP139〜159 を見ていきました。



6章 私の考えを主張してみる ─ 論説文
1. 論説文とは
・意見を述べるということ ── 意見としてのオリジナリティ
・根拠と論拠
・定義
・鑑賞や批評としての論説
2. 論説における意見の一貫性 ── 矛盾ということにも触れつつ
・意見としての文末 ── ボカしたり、ハッキリさせたり
・立場の一貫性
・矛盾表現
3. 論説文をどう構成するか
・構成のいろいろな「型」
・原因や理由
・経験という根拠の利用の注意点
・比較対象の表現の利用 ── 「一方で」
・「もし……とすれば」の利用 ── 仮説と検証、そして一般化
・分類による論の構成
・典型からの発想
・反論の予想
・疑問文の利用 ── 「〜とは何か」「どうして〜だろうか」


「論説文」とは、自分の考えを分かってもらうために書く文章で
新聞における社説やコラムなどがそれに当たります。
どういう形式、順番で書けば読み手に分かってもらえるのかを考えて書いていきます。

参考に、朝日新聞天草支局長の近藤康太郎氏によるコラム「多事奏論」を2篇読んでいきました。
一つは大学入試共通テストでカンニングをした若者に当てたもの
もう一つは戦時における表現者の覚悟について書いたもので、
どちらも結論に至るまでにいくつか別のエピソードが挿入されて
より興味深く読めるようになっていました。
テキストに書かれている数々のテクニックを使って、読み手を引きつける論説文を書きたいものです。



ここで、前回の課題である映画紹介文について「良いことばかりでなく悪いことを書いてもいいのですか?」という質問が出ました。
先生は「辛辣なことを言う批評家もいるけれど、貶す文章を書くよりは良いと思うことを書く方が良い」という意見でした。
悪いと思うものについて書くよりは、自分のアンテナで「良い」と思うものについて
どのように良いかを説明する方が健康的ではないでしょうか。
そのために、同じ人の他の作品や同じテーマの別作品と比較するのも良いし
「ここは残念だ」のような部分はあってもかまわないとのことでした。



有効な論説文の書き方として、比較対照はぜひ使いたいテクニックですが
意見を主張する際に、読み手と共通認識が持てるようにしておくことを気をつけましょう。
(この後、野菜とくだものの分類の共通認識についてひとしきり盛り上がりました)

休憩をはさんで、この日先生が紹介してくださった詩は
灰谷健次郎の『せんせいけらいになれ』( 理論社1977年刊)から、いくつかの子どもの詩でした。



衝撃的なほどの子どもたちの生々しい言葉に、読んでいて笑ってしまいましたが
このような詩が書けるのも、受け止める先生がいてこそなのでしょう。
この本が出た当時は、全国で子どものつづり方教室的な運動が盛んでしたが
現在はそれほどでもないそうで、ちょっと残念な気もします。



続いて、前回の課題映画紹介文の参考に、高科先生が30年以上前に書いた
1984年アラン・パーカー監督作品『バーディ』についての文章を紹介してくださいました。
映画はベトナム戦争で心身に傷を追った青年たちを描いたものですが、
NHKで放送されたドキュメンタリー番組『さまよえるヒーローたち─あるベトナム帰還兵』(BBC制作)のエピソードを取り入れたり
日本人の戦争体験も振り返りながら構成されていています。
昔の文章ではありますが、今起こっていることを思うと、人間は愚かな行為をやめられないのかと絶望的な気持ちになります。

最後は課題についてです。
今回は原田マハの『星守る犬』(双葉書房)を読んで、読書感想文を書いてください。
枚数制限はありません。



※『星守る犬』は、元は2009年に村上たかしが発表した漫画で
2011年には映画化され、同年に原田氏により小説化されたものです。
課題は、漫画や映画ではなく、小説を読んで感想文を書いてください。

次の授業は5月21日です。よろしくお願いいたします。



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