やまめの庭つくり

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日本庭園の現場見学会3

2012-10-23 | 造園
今日はいよいよ,高崎先生が全力で取り組んでいる滝~流れにかけての石組みの様子を紹介したいと思います.

全体の大きな構造はこのような感じになっています.

左よりの大きな立石は日本庭園の門です.

滝は中心より右よりの石山から左に向かっていったん流れ,途中でやや右に流れを振りながら下流に向かいます.



この滝~流れの石はミカホ石という三波石に似た群馬県の青石で,切り立った石から湧き出す多摩川の源流部の様子を表しているそうです.



源流部を表現する石は地中に埋まっている分も考えると倍くらいの大きさもあるのかなぁと思うのですが,大体7~9トンくらいの石を使っているそうです.

世田谷区の都市公園なので,安全を見込んで石を据えた後,コンクリートによる根巻きをしなければならなかったとのこと.

昔はそんなことをもちろんしていなかったと思うのですが,公共工事なので,避けては通れない事なのかも知れません.



up水が石のどこから流れていくのかイメージを説明する先生.

この石のすぐ下には沢渡の飛び石が.
完成したらここも歩けるようになるそうです.



かなり急な下りになっています.

水も勢いよく流れ落ちそう.



池の方から見上げたところ.

手前のコンクリート躯体は滝から落ちてきた水が池に注いでいく流れ.



クレーンで吊った石をうまく納めるため,職人さんに指示しているところ.




やっぱり,違う石にしようということになったらしい・・・

新しい石がクレーンで吊られているところ.



玉掛けの事故はとても多いそうなので,クレーン操縦者も,石の下で位置決めする職人さん達も気を張って作業していると思います.

指示を出す先生はもっと気を張って,強い気持ちと熱意を持っていないとやり直したり,違う石にしたいと伝えたりできないのでは,と思いました.

正解というものがないと思うので,職人さんに仕事をしてもらうように気持ちを伝えること,信頼関係を得ることが「石組み」で特に大切なことのように感じました.


滝の向こうには完成すると駅からのアプローチから日本庭園に直結する門が出来るようです.

ここにはドーーンと大きな立石.

密かに「茶柱門」と呼び,訪れた人がこの門を見ると茶柱が立ったときのように何かいいことがある,そんな門にしたいという願いを抱いているそうです.

何かに「見立てる」ということも,楽しいことですね.



公園の隣のタワーマンション横を通るアプローチ.駅方面を望む.



振り返って,公園方面を見たところ.

舗装はもう完成しています.



そのうち,この多摩川の河川敷ともつながって区民の人たちが憩う場所になることでしょう.



また完成したら見学に来て,今の状態と比べて見たいと思います.





日本庭園の現場見学会2

2012-10-23 | 造園
二子玉川公園(仮称)内日本庭園の見学の続き.

まず,滝石組みの近くまで行くと,石工のウエダさんという若い親方が石工が使う仕事道具の紹介をしてくれました.

まず玉掛けの道具,ワイヤーロープです.



up3分(サンブ)ワイヤー,4分(ヨンブ)ワイヤー.

1トンクラスの石を持ち上げるのに使います.

1分は3mmの縒り合わさったワイヤーで,だいたい600~700kgの重量に耐えると言われているそうです.

やまめも玉掛けの免許を実は持っているので,講習会を受けたのですが,すっかり忘れています~yellow22symbol6

downこれは,9トン,10トンクラスの石を持ち上げるときに使う極太のワイヤーロープ.



後ろの滝石が,ちょうどこのワイヤーを使うレベルの石です.




ワイヤーロープは毎日作業前に点検して,変なクセがついたり,ほつれるような状態になったら,もったいないけれど廃棄しているそうです.(といっても鉄として再生するんですけどね)

何故そんなに厳しくチェックするかというと,この作業の人身事故確率が非常に高いからなんです.
そうそう,講習会でもワイヤーの点検をしっかりするように言われたっけ・・・

クレーンで石の下に通しただけのワイヤーを持ち上げるのですから,バランス命だし,途中でワイヤーが切れたら本当に大事故ですものね.

しかし,さっさと石の重心を見極めて吊っていく職人さんの技は本当に神業に見えてしまいます.


細かい石達は,こんなワイヤーネットで一気に運ぶそうです.



次は石を現場で加工する道具.

downコヤスケと石頭(セットウ)です.



自然石なので,色々な形ですが,石組みをして邪魔なコブなどがある場合,コヤスケを石に当てて,セットウでたたいて細かく取っていきます.


downもっと大きく石を加工したいときはゲンノウ.

先端は超合金で非常に丈夫だそうです.




試しに割ってみてといわれてデモンストレーションをしてくれました.

上手な職人さんはこの程度の石をまっぷたつに出来るそうです.ス,スゴイ・・・



ツキ棒は,石の下に差し込んで動かしたり,



地面をつき,ならす「タコ」

懐かしい・・・

実習でよく使ったなぁ~yellow11

意外と好きでした.タコで地面をドーーン,ドーーンと突きならすこと.



大きなクレーン以外は,意外とこんな感じのシンプルで昔ながらの道具を使って,石組みがされているということに昔からの技術の継承を感じます.