先週の21日,阿修羅展の次に新宿に向かい,新宿御苑に行きました.
日本最古・最大の超有名公園なのですが,今まで一度も行ったことがありませんでした.
行ってみると,伊勢丹などのすぐそばで,何度も近くまで来ていたことがわかり,不思議な感じがしました.
師匠から2006年の日本庭園研究会で発表された新宿御苑の庭園デザインに関する研究結果をまとめたものを拝借したので,見学してからですが,さらに専門的な視点で見直すことが出来ました.
当日は何の予備知識もなく,師匠がレクチャーしてくれる内容を聞きながら歩いて,見て,感じて
新宿御苑という公園の空間を味わいたいなと思って歩きました.
その結果,素直な感想として・・・
・巨木がたくさん
・・・
1906年に完成した皇室苑地だったので,100年以上の歴史があります.
ヒマラヤスギに印象が似ているレバノンシーダ.
公園のシンボル,30メートルを超すといわれるユリノキ.
自然樹形なので,下枝が地面に近く,この時期花が近くで見ることが出来ます
イギリスの庭園で見た木々に似ています.
この庭園をデザインした人は当時のフランスの有名な造園家アンリ・マルチネという人だったので,樹木を使った空間の作り方も西洋風庭園の趣なんですね.
・広くて平らで,歩いていると疲れるなぁ・・・
イギリス風景式庭園からフランス式庭園(バラ園)までのビスタがドーンと通っている景色.
イギリスのキューガーデンでも感じたのですが,どうもこういうデザインはすごく立派に感じるのですが,憩いを感じることは出来ませんね
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最初から目的地に向かって道が一本通っているのですが,歩いても歩いてもなかなかそこにたどり着けない.
巨木と芝のなだらかな地形なので風景の変化があまり感じられず,広さだけが際だって感じられます.
広大さを表現するにはいいのでしょうが・・・
ここで昭和天皇がゴルフをされていたとのこと.
なるほど,ゴルフ場になるくらい広いんだーーー
と,改めて感心しました.
やまめはどちらかというと風景が歩くにつれて刻々と変化する方が好きです.
・バラ園のバラってつまらないなぁ・・・
庭園奥にあるフランス式庭園ではバラがちょうど満開を迎えて見事でした
とても美しいのですが,近寄って香りを楽しむことは出来ないデザインで,飾り物のように眺めるだけ.
立派に育てるためにはもちろんこのように育てるのが普通ですが,他の植物と複雑に組み合わされてコテージガーデンなどに用いられているバラの方が好きだなぁと感じました.
バラ好きなんですが,どんな状態のバラが好きかということまで今まで気が付きませんでした
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・初めての景色.多行松が並ぶ景色.
日本庭園のある方には緩やかな起伏に沿って多行松(たぎょうしょう)という,初めて見る松がたくさん植えられていました.
この松は赤松の接ぎ木で作られ,野生の美し松に似ているものの,こちらは人工的に作られたものだとか.
何だか松の刈り込みを見ているみたいで不自然な感じがしてしまいました.
大きな玉ものみたい
縮尺の感覚がおかしくなって変な気持ちでした.
最後に.
後日読んだ新宿御苑に関するレポートによると,この庭園をデザインしたアンリ・マルチネは,フランスのヴェルサイユ園芸学校で建築家オーギュスト・ショワジーに師事していました.
このショワジーが始めたのが鳥瞰図法であり,アクソメといわれる技法です.
そして,弟子であるアンリ・マルチネも新宿御苑をアクソメで描いたものが残っているのです.
が,「これがアクソメ?」っていうくらい,絵画のような雰囲気です.
ひょっとして広大な面積の庭園を描くと不自然に見えないのかな