「心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)」
国立劇場
文楽が好きな同級生に誘われて、一昨年初めて文楽を観て想像以上の面白さに度肝を抜かれた。
で、その友人から再度お誘いが。
もちろん行きますとも。
この日は、一日に3回の公演があり、それぞれ演目が違う。
私たちが観るのは第一部「心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん)」
上田村の段
八百屋の段
道行思ひの短夜
「心中モノ」と呼ばれるらしい。
ちなみに前回観たのは忠臣蔵だった。
初心者の私は、まずプログラムを買い、イヤホンガイドをレンタルする。
この同時通訳的なイヤホンガイドがあると、初心者でも十分楽しめる。
歌舞伎の時も欠かせないアイテムだ。
内容は・・・全国の「嫁」といわれる人たちを敵に回しそうな かなり悲惨な話である。
八百屋の跡継ぎにと迎え入れられた元武士のところへ嫁いだ妻が、夫の留守中に姑に離縁され、実家に帰される。
お腹に子供がいるにもかかわらず、だ。
そこへ、何も知らない旅の帰りの夫が、妻の実家に挨拶に立ち寄ったら、嘆き悲しむ妻がいるからびっくり!
妻の姉にもものすごく冷たくあしらわれるが、事情を知らない夫は、オロオロするばかり。
事の次第を理解した夫は妻を愛しているので、到底納得できず、こっそりと家の近くに連れ戻るが、養子にしてくれた母への恩義で逆らえず、
離縁したことにして二人でおち合い、この世で結ばれないなら、と二人で自らの命を絶つ・・・。
何かほかに方法はなかったのか!と思わず夫に突っ込みを入れたくなるほどの情けなさ。
そもそもお姑さんは彼女の何が一体気に入らないのか最後までわからない。
それにしても、人形の動きのリアルなこと。
機を織っているときの指先のしなやかさ。
心中するときの抱き合う二人のつやっぽさとなまめかしさ。
表情のない面に感情が現れ、まるで人間に見えてくる。
横で唄う、太夫の表情の豊かさ、声色の面白さ。
三味線の迫力。
両端の上部に流れる字幕を読み、表情・声色の豊かな太夫を見ながら三味線の音色を聞き、
舞台の上の人形たちの柔らかなしなやかな動きを見る。
ああ忙しい!
途中30分のお食事タイムを挟んで、軽くサンドイッチをつまみ、お腹も膨れるけれど、とても眠くなってる暇なんてない。
あっという間の2時間ちょっと。
あ~面白かった!
いつも誘ってくれる友達に感謝感謝!
終演後、近くのカフェで、遅めのランチをいただき、怒涛のおしゃべり。
前の週に同級生の集まりがあったのだけれど、その日彼女は来られなかったので、その時の報告もある。
また行こうね、と約束をして、夕飯の支度に間に合うように解散。
最近すっかり体が硬くなって、私より人形のほうがよっぽどしなやかに動いてるなあ~なんて、
駅の階段をぎくしゃくと降りながら考える。
そう、このところ、腰やら股関節やらあちこちが痛い。
帰ったらストレッチでもしよう、などと思いながら家に帰るのでした。