ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

新年初観劇

2017年01月29日 | 演劇
年が明けて初めての観劇は、clown crownという小さな劇団のステージ。

数年前に参加した戯曲セミナーでご一緒した方が、最近この劇団に所属した。
彼が書いた戯曲を自ら出演して上演するというのだから、観に行かないわけにはいかない。

この日は結婚記念日だけれど、それは後回し。

夫の手前さすがに夜の回は憚られるので、とりあえずは昼の回を観ようと新宿へ。

一人5分、二人で10分と言う持ち時間で、お客様を楽しませましょう、という趣旨のもと、
7組による、ステージが始まる。

オリジナルの戯曲を発表する人、宮澤賢治や昔話の朗読劇、R-1のコントのような一人芝居など、
5分、10分はあっという間にすぎてゆく。

私の知人はトリを務める。

タイトルは「face to face」

女性と二人なので、持ち時間は10分。

恋人同士であろう二人の会話から始まるのだが、彼女は「家に帰るとあなたの顔が思い出せない」と衝撃の発言。
大好きな人であるほど、一人になると顔が思い出せないというのだ。
デートを繰り返し、やっぱり思い出せない彼女との結婚を決めた彼。
それから毎晩、妻は夫の顔をスケッチし続ける。

新婚~子供が生まれ~子供が巣立ち二人に戻り、とその間、毎晩夫は彼女の向かい側に座り、妻は彼を描き続ける。
そして、年老いてどうやら彼が旅立ち、一人になってしまった彼女は、一人でスケッチブックを開く。
その時初めて、彼の顔を思い出せるようになり、優しく微笑みながら、描き始める。

という10分の物語。

たった10分で二人の人生を垣間見たような、なんとも温かい余韻が残る、ステキな作品

鉄拳のパラパラマンガを見ていたようだ。

お仲間というひいき目で見なくても、ダントツで一番面白かった、と思う。
優しくまじめな彼の人柄がにじみ出ている。

今は独身だけれど、こんな風に妻を慈しむ夫になるんだろうなあ。

時間がたつにつれ、じわ~っと温かさがこみあげてくる。
何がすごいって、妻は生涯夫を愛し続けていた、ってことをさりげなく表現しているのがいい。

上演後、ちょっとご本人とお話ししたところ、彼自身のことを書いたのだというからびっくりだ。

お付き合いしている相手の顔を、家に帰ったら思い出せなくなるけれど、二人の関係が終わってしまったら
はっきりと思いだせるとか・・・。

それってどういう感覚なんだろう。

先にも書いたが、この日は結婚記念日だったので、家族で食事に行くことになっている。
終演後の打ち上げに参加できないのは残念だが、急いで家に帰る。

夫の顔はしっかりと思いだせる

夫が予約してくれた、鉄板焼きの店で食事をし、結婚26年をかみしめる。
もうそんなにたったんだ・・・。

温かい舞台を観たおかげで、いつもより温かい気持ちで結婚記念日を迎えられた気がする。

学校の先生である彼は、この劇団に入って、その後の未来を模索中とのこと。

まだまだ、人生は長い。
これからの彼の選択する道がキラキラと輝くものであることを、切に願う。

新年早々、ステキな舞台をありがとうございました

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