
妹と二人でやっている設計事務所が、昨年から設計・監理をさせていただいていたアパートが竣工し、
2月末に無事引き渡しを終えた。
建売を3棟設計してほしい、というのが最初のご依頼だったのだが、
その後、方針が何度か変わり、いつのまにやらアパート形式の寮に落ち着いた。
ありきたりのプランでは納得していただけないお施主さんではあったが、この中庭型の長屋プランは、
一目で気に入っていただき、昨年9月に着工した。
オートロックの門扉をあけて入ると


10戸のドアが左右に並ぶ。
建築基準法で言うところの「長屋」というのは、共用の廊下を要しない。
2階の部屋は各戸に階段を設けることになる。
ということで、1階の玄関はこんな感じだけれど、

2階の玄関は、開けると階段を登って部屋に入ることになる。

左右対称の部屋も含めて、それぞれ違ったプランの部屋。






当初は女子寮ということだったので、ちょっと可愛らしいアクセントクロスを使ってしまったが、
最終的には男子も入るとのこと・・・。


ここに住むのは、この春、高校を卒業して老人介護施設で働く社会人1年生だ。
アパートという建物の性質上、低コストと機能が優先され、味気ないものになってしまうことが多い。
そんな条件下ではあるけれど、希望と不安を胸に、たった一人で都会で働く新社会人たちが、
仕事で疲れてこの部屋に帰ってきたときに少しでも安らぎを感じてくれたら、と切に願う。
とてもとても複雑なプランだったので、監督さんや大工さんをはじめとする職人さん達は
「図面を見ると吐きそう

一生懸命作り上げてくださった。
感謝の気持ちでいっぱいだ。
なにより、お施主さんがとても喜んでくださって、本当によかった。
老人介護施設での仕事は、大変なことの連続だろう。
覚悟を決めて、たった一人住み慣れた土地を離れて、新しい生活をスタートさせる若い新社会人たちに
「建物」を通じてちょっとだけかかわった私達からも、心からのエールをおくりたい。
これからの日々が、きらきらと輝きますように

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