「残響」
劇団フェルマータ
阿佐ヶ谷ザムザ
新年初めての観劇は、劇団フェルマータ10周年記念公園「残響」
劇団員全員が筑波大学卒業生というエリート劇団だ
脚本を担当する女性は、以前通っていた戯曲セミナーのお仲間
時々リーディングにも参加しているが、そのときに発表された作品への意見や質問は本当に鋭くて的確
ボーッと観ていて、「面白かった~」とか「ちょっとよくわからなかったなぁ」くらいの感想しか持たない私とは脳ミソの構造があきらかに違う
今回のお芝居は、大都市から遠く離れた地方の小さな町での数日間のできごと
50年前に建てられた町を見下ろす時計塔の取り壊しが明朝始まろうかと言うときに、取り壊しを決めた地元の名士の孫が取り壊しに反対して塔にゆるく立てこもる
そこに集まってくる彼の幼馴染みや婚約者やどうやら幽霊らしき人などが、曰く付きの時計塔や、それに運命を翻弄された人たちのことを話ているうちに、様々な真実が見えてくる
上演時間は約90分
あっという間だった
ものすごく面白くて引き込まれて、というよりも、内容を理解するのに、頭をフル回転させていたからだ
まず、出演者の実年齢がほぼ同じなので、演じている人物の年齢がちょっとわかりにくい
加えて、時間が過去に遡って過去のエピソードになったとき、同じ人がそのおじいさんの若い頃とかを演じているので、今なのか過去なのかがわからなくなったりする
殺人の疑いをかけられたまま行方不明になっている男性が幽霊になってあらわれてるのだけれど、その人がなぜ死んだのか、っていうのが結局最後までわからず、もやもやした
終演後、劇場の前で一緒に行ったセミナー仲間に「あの人何で死んだのかな?」って聞いているところに、その役を演じていた男性がでてきた。
すかさずお仲間が彼のもとに駆け寄り「あなたはどうして死んだんですか?」などと聞いてくれたが、結局ご本人もよくわかってらっしゃらなかったようだ
このあたりがプロの人たちとの違いなのかもしれない
プロの脚本は、面白いかどうかは別として矛盾がない
とはいえ、複雑な時系列、人間関係、感情のもつれ、などが丁寧に描かれていてさすがだなあ、と思った
偶然もう1人のセミナー仲間も観にきていて、3人でお茶をしながら、この日の舞台のことや、彼らがかかわった舞台の話などしていたらあっという間に2時間がすぎる
何の利害関係もなく、好きなことの話ができるって幸せなことだ
しかも、このお仲間のみなさんは、しっかりと自分の意見を持っているので、聞いていてとても小気味いい
さて、この劇場は、ちょっと不思議なビルの地下にある
この劇団は前回もこの劇場で上演していた
ビルの名前は「ラピュタビル」
阿佐ヶ谷の駅からすぐのこのビルは、木々に囲まれている
オーナーがジブリファンなのかなあ、なんて思いながら眺めてみる
もう少し植栽のお手入れが行き届いていたらもっと素敵になるのになぁ、と前回も思ったっけ
2月には違うお仲間の公演が控えている
行ったことのない小さな劇場に行けるのも楽しみのひとつだ
セミナー受講中は、本気で演劇にかかわろうとしている人たちに囲まれて場違いなところに紛れ込んでしまった気がしていたが、卒業後こんな楽しみが待っているとは思わなかった
本当に貴重な経験をさせていただいた
せっかくいただいたご縁を大切にしていこうとしみじみ思っている
フェルマータは十周年とのこと
これからもますます楽しい舞台を長く続けてくださいね
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