ゆるゆるらいふ

とりあえず、今日も一日機嫌よく・・・

【観劇メモ】「23階の笑い」 久しぶりの世田谷パブリックシアター

2020年12月16日 | 演劇

【23階の笑い】

作 ニール・サイモン

演出・上演台本 三谷幸喜

世田谷パブリックシアターに行ったのは、3月以来かもしれない。

なかなか買えない三谷さんのチケットが、三谷さん作ではないとはいえゲットできたのでコロナ禍ではあったけど、友人と二人思い切って出かけてゆく。

1950年代のアメリカのテレビ業界のお話。

ストーリーテラーは新入りライター、ルーカス(瀬戸康史さん)

舞台はニューヨーク、ミッドタウンにある高層ビルの23階。

人気コメディアン、マックス・プリンス(小手伸也さん)の冠番組「ザ・マックス・プリンスショー」のオフィス。

ルーカスを含む7人の才能あふれるライター軍団がマックスのためにコントを書き、採用されようとしのぎを削っている。

かつては神童と呼ばれたベテランのケニーは浅野一之さん。

さすがの安定感。

このチームのリーダー的存在でロシア移民のヴァルは山崎一さん。

片言の英語を表すためにか、片言の日本語で話すのだけれど、顔が日本人なので中国人にしか見えない。

ハリウッド進出を夢見るブライアンが鈴木浩介さん。

小さい声で、絶妙な間でぶつぶつ言うのがなんとも面白いけれど、今回は今一つ存在感が薄かったかも。

派手で目立ちたがり屋のミルトは吉原光夫さん。

劇団四季はほとんど観ないので、ジャン・バルジャンだったとは知らなかったけれど、

つい最近まで放送されていた朝ドラで、渋い職人さんを演じてらした。

最終回の出演者によるコンサートで、「イヨマンテの夜」をものすごい迫力で歌い上げて度肝を抜かれたものだ。

毎朝遅刻してきては、自分が何かしらの病気だと騒ぎ立てる病気脅迫症のアイラは梶原善さん。

よくわからない遅刻の理由をもっともらしく並べ立て、有無を言わせない感じがホントに上手い

さすがの存在感です。

紅一点のキャロルは松岡茉優さん。

男社会の中で何とか認められたいと張り詰めた感じが伝わってくる。

後半、誰かを辞めさせなければいけなくなった時に「女性だから残す」と言うマックスに「女だからではなく、いい作家だから、と言う理由で残りたい」と詰め寄る姿が印象的。

みんなから「大将」と呼ばれるコメディアン、マックスプリンスは小手伸也さん。

少し前に放送されていた「スーツ」という織田裕二さん主演のドラマの時も思ったけど、身のこなしが外人っぽい。

ハリウッド映画の中にいそうな動きかただ。

ちょくちょく顔を出して、みんなの無理難題をかる~くクリアする秘書が青木さやかさん。

自分も作家になりたいと思っているけれど、ユーモアのセンスがゼロ、という雰囲気を醸し出している。

最近舞台でお見かけすることが多くなったなあ。

絶頂期のスターのなんでもあり、から徐々に新しい形にとって変わられ、視聴率が下がり予算が削られ、人が減り、やがて番組が終わって・・・

その盛衰は、遠い昔のドリフターズの人気番組「8時だよ全員集合」を思い出す。

大逆転のハッピーエンドにはならなかったけれど、きっとこれが今も昔も変わらない現実なんだろうな。

さらっと張り巡らされた伏線、そのあとの笑い、

気を抜いているとするっと通り過ぎるくらいセリフや動きのあちこちに散りばめられているたくさんの小さな笑い。

お笑い作家たちの上質でスマートなジョークの応酬に大爆笑ではないけれどくすくすと何度も笑って、最後はちょっと切ない。

演じてる皆さんは、こてこての日本人なのに、だんだん外国人に見えてくる。

いつものことだけれど、私は翻訳劇に弱い。

社会科を真面目に勉強しなかったので、地理も歴史も今一つ。

この時代の社会情勢などが今一つわからない。

共産主義者を糾弾するようなセリフがちょこちょこ出てくるが、今一つピント来ない。

だいたいはパンフレットをよ~く読んでそうだったのか、と後でわかる。

もっと色んなことを知っていたら、今以上に楽しめるはず。

ちょっと残念です

昨年の今頃から、三谷さんの舞台をことごとく見逃してきた。

チケットがなかなかとれないのはもちろんだけど、とれていたのに、ってことが続いたのだ。

作年末の「日本の歴史」は、夫の親戚一同餅つき大会とぶつかってしまった。

会場が我が家だったので、でかけるわけにはいかない。

この日だけはやめて、って言ったのに、と夫を恨んだものだ。

今年の夏の「大地」は、義母が骨折し、交替でのプチ介護となり、コロナ感染のリスクを考慮して払い戻し、配信を観た。

そして今回、ニール・サイモン作とはいえ、三谷さんの演出と三谷さんの作品の常連の役者さんたちの舞台をやっと観ることができた💕

朝日新聞夕刊のコラムでご本人がこんなことを書いている。

「僕が演劇を志そうと真剣に思ったのは「おかしな二人」(ニール・サイモン)を観たからだ」

ニール・サイモンの作品は、故高橋昌也さん演出の黒柳徹子さんの海外コメディシリーズでも何度か観た。

ウイットの効いたおしゃれな大人の喜劇。

三谷さんのコラムを読んで、三谷さんの舞台やドラマを思いだし、なるほどなー、と思った。

さてさて気になる劇場のコロナ対策は・・・。

検温、消毒、チケットは自分で切る、はどこもすっかり定着した。

このところ、両隣と前後の席が空いてる、という贅沢な気分を味わえたけど、この劇場は各席の肘掛けに全部ついたてを立てて満席状態。

前後左右がいないゆったりとした観劇に慣れてきてたので、ちょっと窮屈な感じ。

椅子に全部仕切りを付けるのも大変だっただろうな~💦

東京周辺は、日に日に感染者が増えている。

せっかく少しずつ動き始めたエンタメ業界なのに、またもや不穏な空気が流れだした。

何も考えずに、観たいお芝居のチケットを買って、わくわくしながら出かけて行った日々がずいぶん遠く感じる。

早く「普通に」舞台を観ることができる日が来ますように


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