モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第11番『トルコ行進曲付)』」は、モーツァルト
のピアノ・ソナタの中でも最も親しまれている曲である。この曲を作曲した時期
に、モーツァルトは最愛の母をなくしている。しかし、不幸の微塵(みじん)も感
じられない楽しい曲である。
有名な曲だけあってこの曲の名盤は数々ある。志鳥栄三郎『不滅の名曲はこのCD
で』(朝日新聞社)には、ギーゼキング、ブレンデルなどが載っており、私もそれ
らを持ってはいるが、私が好んで聴くのは内田光子(昭和23年生)である。
内田光子は、今から26年前の昭和57(1982)年に、ロンドンでモーツァルトのピア
ノ・ソナタ連続演奏会を開催し、大変な評判となった。
このCDは昭和58(1983)年10月のスタジオ録音である。「トルコ行進曲」などた
った3分半のことであるが、その強弱感、ほんの一瞬の間、ハッとする表情がたま
らない。
もうひとつ、時々聴くのが天才グレン・グールドの演奏である。
第3楽章「トルコ行進曲」を聴かれるがいい。テンポがものすごくゆっくり(第1楽
章など止りそうである。)で、一聴素人(しろうと)の演奏ではないかと耳を疑っ
てしまう。マリオネットが踊っている様が見える。まさしく天才のなせる業(わ
ざ)である。楽しい曲ではなく、虚無感ただよう演奏である。吉田秀和氏いわゆる
「モーツァルトの偶像破壊」なのである。G.グールドが亡くなって、26年になろう
としている。生きていれば、今年76歳だった。
CDは、内田光子とグレン・グールドの両方を持っていたい。
のピアノ・ソナタの中でも最も親しまれている曲である。この曲を作曲した時期
に、モーツァルトは最愛の母をなくしている。しかし、不幸の微塵(みじん)も感
じられない楽しい曲である。
有名な曲だけあってこの曲の名盤は数々ある。志鳥栄三郎『不滅の名曲はこのCD
で』(朝日新聞社)には、ギーゼキング、ブレンデルなどが載っており、私もそれ
らを持ってはいるが、私が好んで聴くのは内田光子(昭和23年生)である。
内田光子は、今から26年前の昭和57(1982)年に、ロンドンでモーツァルトのピア
ノ・ソナタ連続演奏会を開催し、大変な評判となった。
このCDは昭和58(1983)年10月のスタジオ録音である。「トルコ行進曲」などた
った3分半のことであるが、その強弱感、ほんの一瞬の間、ハッとする表情がたま
らない。
もうひとつ、時々聴くのが天才グレン・グールドの演奏である。
第3楽章「トルコ行進曲」を聴かれるがいい。テンポがものすごくゆっくり(第1楽
章など止りそうである。)で、一聴素人(しろうと)の演奏ではないかと耳を疑っ
てしまう。マリオネットが踊っている様が見える。まさしく天才のなせる業(わ
ざ)である。楽しい曲ではなく、虚無感ただよう演奏である。吉田秀和氏いわゆる
「モーツァルトの偶像破壊」なのである。G.グールドが亡くなって、26年になろう
としている。生きていれば、今年76歳だった。
CDは、内田光子とグレン・グールドの両方を持っていたい。
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