[先週9/6(木)は臨時増刊号をアップしました。今週9/13(木)も臨時増刊「柏木
俊夫生誕百年記念演奏会」を特集します。]
7月31日(火) ザルツブルク3日目。R.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」を
観た。このオペラは後半が劇中劇になっているので、少し分かりにくい。鵜山仁
さんの演出で二期会の、このオペラを観たのは平成20(2008)年6月だったが、
その時もそう思ったものだった。
今回は、日本語の字幕もないので、あらためてメトロポリタン歌劇場のDVD(J.
ノーマンとK.バトルが出てくるもの)でおさらいし、この日を迎えた。
午後6時15分にホテル・ロビーに集合、2台の車に分乗し、15分弱で会場へ。
女性はドレスアップ。会場前でツアー10人の集合写真を添乗員さんに撮っても
らう。
ここでも記念を兼ねてプログラムを買う。プログラムはドイツ語と英語の解説に、
台本が両国語で載っており、190ページ以上で分厚い。
トイレに行こうと赤いネクタイをした案内係に(ドイツ語で)「トイレはどこですか
?」を言い間違え、「トイレは何ですか?」と訊いてしまったが、親切に左の階段
をおりたところとジェスチャー交じりで教えてくれた。
6時58分に2ベルが鳴り、ロビーにいた観客が席に着く。こちらでは、(--少し
感心したが、)通路側の座席の人は中(内側)の座席が埋まるまで立って待って
いるのがマナーのようだ。
7時2分、3ベルが鳴ると同時に、一気にシ~ンと静まり返る。見事なものだ。指
揮者の、外国人にしてはやや小柄のダニエル・ハーディングが拍手で迎えられ
る。ダニエル・ハーディングは、<まだ>37歳である。ウィーン・フィルの編成は
40人弱という、このオペラ独特の編成である。字幕はステージ上方、左にドイツ
語、右に英語が出る。
第1幕が始まったが、どうも様子がおかしい。第1幕はメゾの作曲家がズボン役
として活躍するはずだが・・・・・・?音楽も少なければ、アリアらしきものもない。
8時50分頃、第1幕が終了。右側の女性(ザルツブルク初訪問は15年前)に「ズ
ボン役って出てきました?」と話しかけたら、「何これ?何これ?と思っている間
に第1幕が終わってしまって・・・・・・」と考え込んでいた。左の女性は、「英語の
字幕を読むのに追われて、精一杯」。ドイツ人の観客はクスクス笑っていたが。
休憩中、あわててプログラムを見たら、演出家Bechtolf氏の記事の英訳「You
must live, dear life」のサブタイトルに小さく「the Original Version of
Ariadne on Naxos」とあるではないか。どうも「予習」してきたものとは違った
ようだ。この「ナクソス島のアリアドネ」については、帰国してからの「復習」(*)
の方が大変だった。
*帰国してから勉強したところによれば、
R.シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」はもともと1912年に作曲されたが、
あまり評判がよくなかったので1916年に改訂版が演奏された。この改訂版が
今日もっとも演奏されているもので、前者(原典版、オリジナル・バージョン)が
今回ザルツブルクで取り上げられたものである。しかも、今回は「新演出」で原
典版に手が加えられていた。
そもそもこのオペラは、劇作家ホフマンスタールと作曲家R.シュトラウスの「合
作」である。モリエール(17世紀フランスの劇作家)の喜劇「町人貴族」のドイツ
語版(演劇)に劇中劇として「ナクソス島に置き去りにされたアリアドネ」というギ
リシャ神話のオペラを付け加えたもののようだ。オーケストラの規模にも制約が
あったのかもしれない。
したがって、このオペラを(真に)理解し、鑑賞するには、モリエールの「町人貴
族」とアリアドネ神話(アリアドネ、テーセウス、ディオニューソス[バッコス、バッ
カス]など)を知っている方がベターだろう。
昨年の『音楽の友』10月号を図書館で調べたら、ザルツブルク音楽祭2012速
報として、ナント、「原典版」と紹介されていたのだった。
あらためて整理すると、今回の原典版新演出は、第1幕が「町人貴族」をベース
に、劇作家ホフマンスタールが登場する演劇。第2幕が<ほぼ>通常のオペラ
「ナクソス島のアリアドネ」だった、ようである。
今回の公演について記述したブログでは「たまにはオーストリアちっく パート3」
(→こちら)が参考になった。この方は、現地で生活しておられ、ドイツ語も完璧に
お分かりになるようだ。
ザルツブルク音楽祭2012もご参照。(まだオープンしているかな?)
<主なキャスト>
プリマドンナ・アリアドネ Emily Magee
ツェルビネッタ Elena Mosuc
テノール・バッカス Jonas Kaufmann
侍従長 Peter Matic
ジュルダン Cornelius Obonya
作曲家 Thomas Frank
ホフマンスタール Michael Rotschopf
オットニ―・ドリメーヌ Regina Fritsch
指揮 Daniel Harding
演出 Seven-Eric Bechtolf
出演者の中では、コロラトゥーラのツェルビネッタ役--エレーナ・モシュクが小
柄ながら、期待どおりすばらしく、音楽もストップしての大喝采だった。。テノール
のカウフマンは(私には)やや声が疲れているカナと感じた。アリアドネのエミリ
ー・マギーは体格もあり、堂々とした歌いぶり。
カーテンコールでは、第1幕から登場の役者にも盛んな声援が飛んでいた。
(有名な役者さんラシイ。)
18:31 会場前へ到着。モーツァルト劇場入口へ向かう。
18:35に撮影した集合写真は省略。
18:38 入口から入ったところ。前方中央にツアーの方々。
18:38 ロビー内
18:40 ここから階段を上がる。
18:41 中央右寄りに赤いネクタイをした案内係が立っている。
(カール・ベーム・ザール)
18:41 K.ベーム・ザール内 ザールとはホールのことである。
18:45 モーツァルト劇場ホール内
18:55 モーツァルト劇場に着席したところ。意外とフラットな会場である。右手
にTV撮影用カメラが見える。音響もよく、いい席である。
20:53 休憩中 日没は遅い。
20:53
20:53
20:54
プログラム 190ページ以上ある
(この項は9/17に続く)
9月4日(火) 退社後、花岡千春ピアノ独奏会(於東京文化会館小ホール)に出
かけた。夕食は文化会館2階の精養軒。ここではいつもカニクリームコロッケを
食べる。
午後6時28分、予定より少し早く開場となった。ステージでは武田陽一氏によっ
て調律中だった。
聴衆は高校生から高齢者まで、年齢層が幅広い。この日も暑く、扇子がパタパ
タしている。
6時58分チャイムが鳴り、「まもなく開演でございます・・・・・・」のアナウンス。
余談だが、アナウンスの方は文化会館の方、東京都の職員なのかしらん。
7時1分、会場がゆっくり暗転、ステージの明るさが強調される。シ~ンと静まり
返った。しばらくして、花岡さんがゆっくり登場、会場は大変な拍手で包まれた。
客席へおじぎをし、ゆっくりメガネをかけ、ゆっくり手首を回す。プロゴルファー
がティーグラウンドに登場する時のように、ゆっくりとしたリズムで、ピアノに向
かった。ステージに登場する時からコンセントレーションに向かっているようだ。
<プログラム>
1.F.Couperin(1668-1733)
修道女モニク(第18オルドル)
シテール島の鐘(第14オルドル)
ティク・トク・ショク~またはオリーヴ搾り器(第18オルドル)
2.W.A.Mozart(1756-1791)
ソナタ第9番 ニ長調 K.311
3.L.v.Beethoven(1770-1827)
ソナタ第30番 ホ長調 作品109
F.Couperinフランソワ・クープランは知らなかった。J.S.バッハの影響があるか
しらんと、勝手に思いながら聴いていたが、バロック時代でもそれ以前の人だっ
た。皆川達夫さんの範疇である。会場はしわぶき一つ聴こえず、Allegro系の
音楽が弾かれていく。当時はオルガンかチェンバロの演奏だったのかしらん。
おもしろかった。
W.A.Mozartはいかにもモーツァルト。ザルツブルク帰りか、私はいまモーツァ
ルトのことを調べているが、モーツァルトが「こんな曲を作りました。いかがでしょ
う」と言っているように聴こえた。いつ頃の作品かなと調べたら、モーツァルト21
歳、母とマンハイムに旅行していた頃のようだ。(アロイジア・ウェーバーに恋し
ていた頃カナ?)
L.v.Beethovenベートーヴェンはこうして聴き比べると男性的でスケールが大
きい。楽器の進歩もあるのかしらん。ベートーヴェンになると、曲の途中でテンポ
の変化が出てくる。
--休憩--
4.F.Chopin(1806-1849)
3つのマズルカ 作品63
舟歌 嬰ヘ長調 作品60
5.A.Scriabin(1872-1915)
ソナタ第5番 作品53
F.Chopinショパンではアゴーギクというかテンポ・ルバートが現れる。ロマン派
の時代に入ってきた。ショパンの「舟歌」は8分の12拍子。様式が発展し、技術
的にも難しいだろうに、どの曲もこともなげに弾いている。(と書いて、音大の先
生に失礼カナ?と思ってしまうが。)
「舟歌」が終わったところで、「ここまでは暗譜でしたが、スミマセン」といったん
退場。譜めくりの学生さん(?)とともに再登場。急緩混じる超絶技巧を披露し
た。(譜めくりさんもすごい。)大変な拍手!だった。
プログラムの解説は詳しく、音楽史の勉強にもなる。
「もう少し弾かせてもらっていいですか・・・・・・(拍手)」として、J.S.バッハ、ドビュ
ッシーが奏され、最後にややお話があって、滝廉太郎の「メヌエット」、畑中先生
の「花林」。「花林」の転調はいつ聴いても心にしみるが、滝廉太郎もすばらしい
曲(であり、そう思わせる演奏)だった。終演後はサイン会に長蛇の列だった。
午後8時50分終演。帰宅は10時15分。
こちらにも参考までにリンクを張らせていただこう。→ 「劇場の天使2」
(いつもながらアップされるのがおはやい。)
当日のプログラム
東京文化会館入口
カニクリームコロッケ
18:31 開場したばかりの小ホール
自由席なので(ピアノの演奏会は)前方やや下手寄りから埋まっていく。最終的
にはほとんど満席になった。
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