[英語の歌を歌うことになったので、このところ英語の歌ばかり聴いている。サイ
モン&ガーファンクル、カーペンターズなど。「習うより慣れろ」である。]
5月の恒例行事のひとつである、東京六大学合唱連盟定期演奏会--通称六連が58
回目を迎えた。六連が第20回という節目を迎えたのは私は大学2年生の時だった。
六連を聴くと(いい意味でも悪い意味でも)あの頃と何も変わっていないようにも
思うが、あれから40年近い年月(明治維新から日露戦争までは36年間である。)が
流れようとしている。
5月3日(日祝)
東京芸術劇場大ホール 17:00~20:30
<プログラム>
エール交換
1.東京大学音楽部コールアカデミー
「スペインの愛の歌」 指揮;竹井悠人(学生)
2.立教大学グリークラブ
男声合唱組曲「富士山」 指揮;高坂 徹
3.早稲田大学グリークラブ
「WHAT'S ENTERTAINMENT?」
指揮;熊崎陽一(学生) エレクトーン;平山喜子 ドラム;赤迫翔太
4.慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団
「海鳥の詩」 指揮;竹内敏郎(学生) ピアノ;前田勝則
5.法政大学アリオンコール
「男声合唱による日本抒情歌曲集」より 指揮;田中信昭
6.明治大学グリークラブ
委嘱初演 男声合唱とピアノのための「三つのよじれ歌」
指揮;外山浩爾 ピアノ;小林 功
合同演奏
委嘱初演 無伴奏男声合唱組曲「あの日たち」 指揮;山脇卓也
以下は1階G列27番で聴いた、私の「個人的な感想」である。「最大公約数」的では
ないかもしれない点、ご容赦を。(下記注ご参照)
1.東京大学音楽部コールアカデミー
「スペインの愛の歌」 指揮;竹井悠人(学生)
「愛の歌」といってもロマン派のそれではない。時代はルネサンス期というから
今から500年以上前の歌である。15人の合唱。これがよかった。タリススコラー
ズとはいわないが、じわじわとひきつけられた。学生指揮者で、選曲もよく、よ
く歌った。スペイン語の暗譜である。プログラムで終曲の意味を読んだら、「テ
レサ姉さん一晩でいいからあなたと夜を過ごしたい」、「一晩だけならいいけれ
ど、でもやっぱり怖いの、子供ができてしまうのが」とあった。
2.立教大学グリークラブ
男声合唱組曲「富士山」 指揮;高坂 徹
高坂さんは北村先生のお弟子さんだが、近年スケール感を増している。総勢55人
くらいであろうか。「富士山」には90人はほしいと思ったが、さほど人数は気に
ならなかった。ややゆっくり目のテンポの中、大胆なアゴーギクとデュナーミ
ク。畑中先生とも福永先生とも北村先生とも異なる独自の世界を作っていた。17
分の演奏が終わったら、高坂先生の顔が紅潮し、やりきった満足感に満ち溢れて
いた。ブラボーが飛んでいた。
3.早稲田大学グリークラブ
「WHAT'S ENTERTAINMENT?」
指揮;熊崎陽一(学生) エレクトーン;平山喜子 ドラム;赤迫翔太
昨年に引き続き「エンタメ・ステージ」だった。若者らしく一生懸命やってい
た。ポップスと童謡をからめた、13曲のおもしろい編曲を70人の男声合唱が「歌
い上げた」。ステージでは曲にあわせ、数人の「コント」が繰り広げられた。1
人真ん中で踊っている人はとくにダンスが上手かった。
しかし、私は、日頃、(とくに民放の)テレビ番組にあまりにもいわゆるエンタ
メ系が多いことを苦々しく思っている。テレビという「日常性」から開放される
音楽会!その意味で「コント」がないほうがさらにすばらしかったのではないだ
ろうか。しかし、終わったとたんにいくつもの大きなブラボーが飛んでいた。人
それぞれということだろう。(私には25分が長く感じたが、「視聴率」は取れた。)
4.慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団
「海鳥の詩」 指揮;竹内敏郎(学生) ピアノ;前田勝則
2列、32、3人の演奏。グリー調でない、真に音楽的といっていい選曲がよかっ
た。(グリー調がまったく音楽的でないと言っているわけではありません。)海
鳥に託した詩もよかった。それと前田さんのピアノ。これが、音楽がそうできて
いるとはいえ、単なる伴奏以上のもので、とってもよかった。3拍子の部分は前
田さんが上手にリードしていたかしらん。トップからベースにいたるまで、一人
ひとりがよく歌っていた。ffの全奏で終わる切り方が発声練習のようによかった。
5.法政大学アリオンコール
「男声合唱による日本抒情歌曲集」より 指揮;田中信昭
7:04譜面を持った10人が黒のズボン、シャツ姿で登場。1分後、田中先生とピア
ニストの中嶋香さんが登場して、一礼。さてと思ったら、昨年同様、田中先生は
退場してしまった。「浜辺の歌」、「からたちの花」、「椰子の実」、「早春
賦」と名曲ばかりだが、演奏は、分かりやすくいえば、まことにザッハリッヒ、
いい悪いはひとまず別として、語感なし、情感なしの不思議な世界だった。ピア
ノ(上手!)を合唱の後に置いたが、やはり逆の方がよかったのではないだろうか。
6.明治大学グリークラブ
委嘱初演 男声合唱とピアノのための「三つのよじれ歌」
指揮;外山浩爾 ピアノ;小林 功
委嘱作品は何ができてくるか分からない「怖さ」がある。平成16(2004)年76歳
で亡くなった詩人木島始の世界だった。音韻に浸(ひた)る詩ではなく、考えさ
せる詩である。(1曲目は最終行は「どうなんだね?」だった。)変拍子が出現
する難しい曲だったが、さすが外山先生、ぐんぐん学生(14人)をリードしていた。
合同演奏
委嘱初演 無伴奏男声合唱組曲「あの日たち」 指揮;山脇卓也
お江戸コラリヤーズの指揮者、30台前半、今が旬(あるいは上り坂?)といった
らいいのかしらん、早稲田グリーOBの山脇さんを初めて聴いた。(この方大学
院理工学研究科修了というキャリアである。)
合唱は9段、180人はいるだろう。これも大阪音大大学院修了の北川昇さん(26)
の委嘱作品だった。選詩というのか、立原道造がよかった。立原道造を初めて知
った。抒情的で、瑞々(みずみず)しい。曲はいわゆるベタハモリ。男声合唱の
レパートリーになるだろう。さて指揮はさすが「鳴らせ方」がうまい!後半に山
を持ってきた。欲をいえば、もっと「言葉」を喋ってほしかったが・・・・・・。(ち
ょっとカラヤン的な磨き方だったかな。)
山脇先生再登場「大きな拍手を有難うございます。アンコールとして・・・・・・」、
北川先生の「ここから始まる」という5分ほどの曲が歌われた。「私には夢があ
る。どこまでもどこまでも・・・・・・」という、泣きたくなるような詩と曲だった。
(定演のアンコールには向かない。泣いて歌えなくなってしまうだろう(笑)。)
(注)「僕のことならほっといて」もご参照ください。→こちら
モン&ガーファンクル、カーペンターズなど。「習うより慣れろ」である。]
5月の恒例行事のひとつである、東京六大学合唱連盟定期演奏会--通称六連が58
回目を迎えた。六連が第20回という節目を迎えたのは私は大学2年生の時だった。
六連を聴くと(いい意味でも悪い意味でも)あの頃と何も変わっていないようにも
思うが、あれから40年近い年月(明治維新から日露戦争までは36年間である。)が
流れようとしている。
5月3日(日祝)
東京芸術劇場大ホール 17:00~20:30
<プログラム>
エール交換
1.東京大学音楽部コールアカデミー
「スペインの愛の歌」 指揮;竹井悠人(学生)
2.立教大学グリークラブ
男声合唱組曲「富士山」 指揮;高坂 徹
3.早稲田大学グリークラブ
「WHAT'S ENTERTAINMENT?」
指揮;熊崎陽一(学生) エレクトーン;平山喜子 ドラム;赤迫翔太
4.慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団
「海鳥の詩」 指揮;竹内敏郎(学生) ピアノ;前田勝則
5.法政大学アリオンコール
「男声合唱による日本抒情歌曲集」より 指揮;田中信昭
6.明治大学グリークラブ
委嘱初演 男声合唱とピアノのための「三つのよじれ歌」
指揮;外山浩爾 ピアノ;小林 功
合同演奏
委嘱初演 無伴奏男声合唱組曲「あの日たち」 指揮;山脇卓也
以下は1階G列27番で聴いた、私の「個人的な感想」である。「最大公約数」的では
ないかもしれない点、ご容赦を。(下記注ご参照)
1.東京大学音楽部コールアカデミー
「スペインの愛の歌」 指揮;竹井悠人(学生)
「愛の歌」といってもロマン派のそれではない。時代はルネサンス期というから
今から500年以上前の歌である。15人の合唱。これがよかった。タリススコラー
ズとはいわないが、じわじわとひきつけられた。学生指揮者で、選曲もよく、よ
く歌った。スペイン語の暗譜である。プログラムで終曲の意味を読んだら、「テ
レサ姉さん一晩でいいからあなたと夜を過ごしたい」、「一晩だけならいいけれ
ど、でもやっぱり怖いの、子供ができてしまうのが」とあった。
2.立教大学グリークラブ
男声合唱組曲「富士山」 指揮;高坂 徹
高坂さんは北村先生のお弟子さんだが、近年スケール感を増している。総勢55人
くらいであろうか。「富士山」には90人はほしいと思ったが、さほど人数は気に
ならなかった。ややゆっくり目のテンポの中、大胆なアゴーギクとデュナーミ
ク。畑中先生とも福永先生とも北村先生とも異なる独自の世界を作っていた。17
分の演奏が終わったら、高坂先生の顔が紅潮し、やりきった満足感に満ち溢れて
いた。ブラボーが飛んでいた。
3.早稲田大学グリークラブ
「WHAT'S ENTERTAINMENT?」
指揮;熊崎陽一(学生) エレクトーン;平山喜子 ドラム;赤迫翔太
昨年に引き続き「エンタメ・ステージ」だった。若者らしく一生懸命やってい
た。ポップスと童謡をからめた、13曲のおもしろい編曲を70人の男声合唱が「歌
い上げた」。ステージでは曲にあわせ、数人の「コント」が繰り広げられた。1
人真ん中で踊っている人はとくにダンスが上手かった。
しかし、私は、日頃、(とくに民放の)テレビ番組にあまりにもいわゆるエンタ
メ系が多いことを苦々しく思っている。テレビという「日常性」から開放される
音楽会!その意味で「コント」がないほうがさらにすばらしかったのではないだ
ろうか。しかし、終わったとたんにいくつもの大きなブラボーが飛んでいた。人
それぞれということだろう。(私には25分が長く感じたが、「視聴率」は取れた。)
4.慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団
「海鳥の詩」 指揮;竹内敏郎(学生) ピアノ;前田勝則
2列、32、3人の演奏。グリー調でない、真に音楽的といっていい選曲がよかっ
た。(グリー調がまったく音楽的でないと言っているわけではありません。)海
鳥に託した詩もよかった。それと前田さんのピアノ。これが、音楽がそうできて
いるとはいえ、単なる伴奏以上のもので、とってもよかった。3拍子の部分は前
田さんが上手にリードしていたかしらん。トップからベースにいたるまで、一人
ひとりがよく歌っていた。ffの全奏で終わる切り方が発声練習のようによかった。
5.法政大学アリオンコール
「男声合唱による日本抒情歌曲集」より 指揮;田中信昭
7:04譜面を持った10人が黒のズボン、シャツ姿で登場。1分後、田中先生とピア
ニストの中嶋香さんが登場して、一礼。さてと思ったら、昨年同様、田中先生は
退場してしまった。「浜辺の歌」、「からたちの花」、「椰子の実」、「早春
賦」と名曲ばかりだが、演奏は、分かりやすくいえば、まことにザッハリッヒ、
いい悪いはひとまず別として、語感なし、情感なしの不思議な世界だった。ピア
ノ(上手!)を合唱の後に置いたが、やはり逆の方がよかったのではないだろうか。
6.明治大学グリークラブ
委嘱初演 男声合唱とピアノのための「三つのよじれ歌」
指揮;外山浩爾 ピアノ;小林 功
委嘱作品は何ができてくるか分からない「怖さ」がある。平成16(2004)年76歳
で亡くなった詩人木島始の世界だった。音韻に浸(ひた)る詩ではなく、考えさ
せる詩である。(1曲目は最終行は「どうなんだね?」だった。)変拍子が出現
する難しい曲だったが、さすが外山先生、ぐんぐん学生(14人)をリードしていた。
合同演奏
委嘱初演 無伴奏男声合唱組曲「あの日たち」 指揮;山脇卓也
お江戸コラリヤーズの指揮者、30台前半、今が旬(あるいは上り坂?)といった
らいいのかしらん、早稲田グリーOBの山脇さんを初めて聴いた。(この方大学
院理工学研究科修了というキャリアである。)
合唱は9段、180人はいるだろう。これも大阪音大大学院修了の北川昇さん(26)
の委嘱作品だった。選詩というのか、立原道造がよかった。立原道造を初めて知
った。抒情的で、瑞々(みずみず)しい。曲はいわゆるベタハモリ。男声合唱の
レパートリーになるだろう。さて指揮はさすが「鳴らせ方」がうまい!後半に山
を持ってきた。欲をいえば、もっと「言葉」を喋ってほしかったが・・・・・・。(ち
ょっとカラヤン的な磨き方だったかな。)
山脇先生再登場「大きな拍手を有難うございます。アンコールとして・・・・・・」、
北川先生の「ここから始まる」という5分ほどの曲が歌われた。「私には夢があ
る。どこまでもどこまでも・・・・・・」という、泣きたくなるような詩と曲だった。
(定演のアンコールには向かない。泣いて歌えなくなってしまうだろう(笑)。)
(注)「僕のことならほっといて」もご参照ください。→こちら
北川さんは今年26歳の新進気鋭。「兵庫県立長田高校から大阪音大、同大学院修了。ジャパン
ユース合唱団等で合唱の研鑽を積む」とありました。やはり関西弁をおしゃべりになるのでし
ょうネ。これから北川時代が始まるかも知れませんね~。
ご紹介恐れ入ります。わたしは音楽的なこと書けないので、そっち方面の人に見られるとかなり恥ずかしいのですが… (¨;)
多分会場で、近い所で、すれ違っていましたね。
また今度四連ですれ違いましょう(笑)
全体から見れば需要の少ない合唱のCDを頑張って出しているところがあるんですね。敬服そ
して感謝です。
関西の会社かしらんと思って調べてみたら(なんとなくそんなにおいが。)、本社が岐阜県美
濃加茂市なのでビックリ!
音楽評論家は、--私も多分にその影響を受けてしまっているのですが、左脳で書いています。
そこへいくとyume様は、右脳で、聴いたままに、書いておられる(--ちょっと畑中先生み
たい。)ので、無論意見は違うことはありますが、いつも「感心」しています。これからも生
の感想を教えてください。
三軒茶屋ですれ違うことを楽しみにしています!