人生ブンダバー

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山室信一『キメラ--満洲国の肖像』

2020-03-16 05:00:00 | 近現代史

満州事変は関東軍によるワシントン体制への挑戦といってもいいの
かしらん。

では、満州事変によってできた「満洲国」とは何だったのか。
それを多面的に考察したのが山室信一『キメラ--満洲国の肖像』
(中公新書)だ。新書版としては428ページと分厚い。

「キメラ」とは、「ギリシャ神話で、ライオンの頭、ヤギの胴、ヘビ
の尾をもち、口から火を噴く怪獣」のことだ。

<目次>
序 章 満洲国へのまなざし
第一章 日本の活くる唯一の路
第二章 在満蒙各民族の楽土たらしむ
第三章 世界政治の模範となさんとす
第四章 経邦の長策は常に日本帝国と協力同心
終 章 キメラ--その実相と幻像
補 章 満洲そして満洲国の歴史的意味とは何であったか


〇Q&A式にまとめられた補章(--これだけで70ページほどにな
 る。)は大変参考になる。
<参考までに>その「問い」(1~24)の一部を記すと、

 1.満洲というのは地名とも民族名ともいわれているようですが、
 そもそも満洲という名辞は、いかなる歴史的由来と意味をもって
 いるのでしょうか?

 2.戦後の日本では、「満州」や「満州国」と「州」の字が用いら
 れているのもかかわらず、本書ではなぜ「満洲」や「満洲国」と
 「洲」の字を使用しているのでしょうか?

 3.日本では、歴史的にこの地域をどのように認識してきたのでしょ
 うか?

 4.日本が満洲と呼ぶようになった17世紀中葉以降、この地域はい
 かなる状態にあったのでしょうか?
 (以下略)




山室信一『キメラ--満洲国の肖像』(中公新書)★×5


山室信一の新書『キメラ』と『日露戦争の世紀』



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