10年以上継続している新日本フィルの定期会員は、トリフォニー・シリー
ズの2日目を選択している。それは土曜日の午後なのでゆったりとした気
分で聴けるからである。
しかし、(6月)21日土曜は別のチケットを購入してしまったので、20日金
曜に振り替えてもらった。いつもは同じ1階席同士で振り替えてもらえる
のだが、今回は大変な人気のため3階席への振り替えとなった。そう、今
月は、新日本フィル定期で最もチケットの値段が高い、D.ハーディング
のブラームス公演なのである。当日券は発売されなかった。
錦糸町のスープストックで食事をして、トリフォニーホールへ向かおうとし
たら、ゼミと会社、両方の先輩であるTさんとバッタリ、「これは聴かなく
ちゃ。ちょっと食べてくよ」(Tさん)とお店に入って行かれた。スポットでチ
ケットを買われたようだ。
<プログラム>オール・ブラームス Vol.2
1.ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77 *
2.交響曲第4番 ホ短調 op.98
*ヴァイオリン;イザベル・ファウスト
指揮;ダニエル・ハーディング
コンサートマスター;崔文洙
イザベル・ファウスト(昔流にいえば女流提琴家)とウィーン・フィルを振って
いる大物指揮者(といっても、まだ30代後半だが。)D.ハーディングの登場
とあって、1800席が満員となった。私の振替席は3F-3-9。ロビーも喫
茶も大混雑。
定期演奏会を3階で聴くのは初めてだが、演奏前に係員から「前のめりにな
られますと他のお客様のさまたげになります。お席に深く腰掛けて聴かれま
すようお願い申し上げます」と案内があった。
3階席で聴くオケは、音のブレンドがあってよかった。
1.ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77
ブラームス(1833~1897)のヴァイオリン協奏曲にはいろいろな話があ
る。ブラームスの出身地はドイツ北部のハンブルクである。1853年、ヴァ
イオリニスト、E.レメーニとの演奏旅行(--ブラームスはピアニスト)で、
レメーニの紹介により偉大なヴァイオリニスト、Y.ヨアヒムと知り合う。ヨア
ヒムとの親交から生まれたのが、1878年作曲のヴァイオリン協奏曲であ
る。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲同様、超絶技巧を要するとい
われている。
初演は1879年、ヨアヒムのソロ、ブラームス指揮ライプツィヒ・ゲヴァント
ハウス管弦楽団であった。
イザベル・ファウストは、プロフィールによれば、1987年アウグスブルク
の「レオポルド・モーツァルト・コンクール」、1993年「パガニーニ国際ヴァ
イオリン・コンクール」に優勝とある。生年が記されていないが、「パガニ
ーニ」優勝が20歳とすれば1973年生まれになる。調べたらはたして
1972年生まれである。今年42歳になる。出身はドイツである。
オーケストラは、ハーディングいつもながらの対向配置。1st14、コント
ラバス6、チェロ8、ヴィオラ10、2nd12。
ファウストの演奏は、全体としてシャープといおうか鋭いものだった。
ブラームスの別の一面を見たようである。。
アンコールは、バッハ「パルティーター第2番よりサラバンド」。ヴァイオリン
のアンコールは、ほとんどといっていいくらいバッハである。オーケストラ
も微動だにしない中、会場が静まり返った。
--休憩--
ロビーも喫茶も満員の熱気。「暑いんだよ。温度を下げてくれないと帰る
よッ」と係員に食って掛かる「暴走老人」がいた。
2.交響曲第4番 ホ短調 op.98
引き続き、1st16、コントラバス8、チェロ10、ヴィオラ12、2nd14の対
向配置。ハーディングの譜面台は置かれていない。(けして演奏自体は
台なしではない[笑]。)
細かく書きだすとキリがないが、ハーディングのブラ4は、鋭さ(鋭いアイ
ンザッツ!)と弛緩入り混じる演奏だった。新日本フィルのブラ4は、アル
ミンクなど何回か聴いているが、今までで一番おもしろく、かつよかった
のではないかしらん。(アルミンクにはカラヤン的なレガートの「甘さ」
(sweetの意)があった)。新日本フィルもハーディングの意図を理解し、
よく付いていた。念を押すような表現はなかったカナ。
第1楽章 テンポは速からず、遅からず。後半に熱くなる。
第2楽章 ニュアンスを発揮。拍を振らない部分も。
第3楽章 速めのテンポか。トライアングルが光っていた。コンマスのけ
ぞる。
第4楽章 すぐに第4楽章へ。ここでもホルンが活躍。何回聴いても変奏
と分からない。
ロマン派ではあるものの、多少古楽器的であり、新古典主義演奏であっ
たといえるのではないかしらん。2ステージを通じて「鋭さ」があったといえ
るだろう。
演奏が終わるとブラボーの嵐となった。そのうち、3回は私のものである。
ハーディングは、指揮台を降りると、どんなに大拍手であっても二度と指
揮台には上がらない。「謙虚」な人柄を感じさせる。絶対に顔色を変えず、
「どや顔」をしない。真のイギリス人か?最後は深々としたおじぎをした。
錦糸町のスープストックにて
錦糸町駅前
手前のオブジェは
「RONDO(ロンド)」チャールズ・O・ペリー 1997年
錦糸町から東京スカイツリーへの一本道
大ホール入口 右側が振替チケット交換所
階上より
階段途中のパネル
喫茶コーナー 大混雑で飲むのをあきらめる。
音楽評論家の東条さんも来られていた。思わずおじぎをしそうになる。
終演後も階段を降りるのに一苦労。
ダニエル・ハーディング
* * * *
週間フォト日誌
6月16日(月)
日本対コートジボアール戦
一人ひとりに「ほんの少しだけ」守りの心理が働いてしまったのかもしれ
ない。第1戦は、攻め、守りが中途半端だったかな?これも実力の内?
神田駿河台3丁目 木々の緑が深い。環境面にも貢献している。
6月17日(火)
『アデナウアー』はおもしろい。
「時代が人を出現させる」といえるのかしらん。
東京テクノ・ホルティ園芸専門学校実習園
6月18日(水)
朝のベローチェ 『第二次世界大戦の起源』を読む。
A.J.Pテイラー『第二次世界大戦の起源』(講談社学術文庫)
これはおもしろい★★★★★。
A.J.P.テイラー(1906ー1990)は英国を代表する歴史学者。オックスフ
ォード大学モーダレンカレッジ教授等を歴任。主な著書に『ハプスブルク
帝国』、『イギリス現代史』、『ヨーロッパ、栄光と凋落』などがある。
まだ読み進めている途中であるが・・・・・・
この本のいいたいことは
「第二次大戦の起源論は・・・誰をも満足させ、あらゆる論点を氷解するか
にみえる一つの説明があった。それはヒトラーである。彼が第二次大戦を
計画した、それをひきおこしたのは彼の意思だけである、というものであ
る。・・・この説明にはチャーチルも・・・ドイツ人も満足した」
「私は起こった事柄を理解しようとしているのであって、弁護したり非難し
たりしようと思わない。私はヒトラーが政権についたその日から反宥和論
者であったし、同様な事情が生ずれば無論再びそうなるであろう。だがこ
のことは歴史を書くには重要でない」(p48-57)
ということである。
「すべてヒトラーが悪かった」ということではなく、ヒトラーが生まれた時代
を「歴史」として書こうというものではないかしらん。
「読者諸賢にあらかじめご注意申し上げるのだが、私は歴史を裁こうとは
思わない」(p13)
というのが著者の一貫した姿勢である。
これに少しく関連して、今年3~4月に読んだ小林秀雄『学生との対話』(
新潮社 3月刊)にも言及したい。これも読むに値するおもしろい本である。
★★★★★
少し長くなるが、心に響いた言葉を同書から引用してみよう。
*同書は大学生を対象とした講演会の記録である。小林秀雄は、「インテ
リ」のように逃げを打たず、モノをハッキリいう人だったようだ。
○(本居)宣長の学問の目的は、古えの手ぶり口ぶりをまのあたりに見聞
きできるようになるという、そのことだったのです。
○今の歴史というのは、正しく調べることになってしまった。いけないことで
す。そうではないのです。歴史は上手に「思い出す」ことなのです。歴史
を知るというのは、古えの手ぶり口ぶりが、見えたり聞えたりするような、
想像上の経験をいうのです。
○歴史を知るというのは、みな現在のことです。・・・「歴史はすべて現代史
である」とクローチェが行ったのは本当のことなのです。
○ジャーナリズムというものは、インテリの言葉しか載っていないんです。
あんなところに日本の文化があると思ってはいけませんよ。左翼だとか
右翼だとか、保守だとか、革新だとか、日本を愛するのなら、どうしてあ
んなに徒党を組むのですか。日本を愛する会なんて、すぐこさえたがる。
無意味です。何故かというと、日本というのは僕の心の中にある。諸君
の心の中にみんなあるんです。
○歴史における客観的事実はありますよ。しかし、それを僕たちの裡にま
ざまざと生き返らさなければ、客観的事実にならないではないか。
司馬遼太郎も「歴史を現在(現代)から裁いてはいけない」という趣旨のこ
とをいっていたように記憶する。
現代史の「ややこしさ」は、政治(国内、国外にかかわらず。)が絡んでくる
からだろう(--こちらは私の意見)。
「歴史とは何か」が分からなくなっていたが、小林秀雄の言葉には目から
うろこである。
小林秀雄『学生との対話』(新潮社)
小林秀雄は、学生に繰り返し「上手に質問してくださいよ」という。
○何でも聞いてくれてかまわないが、僕はどんな質問にも答えるということ
ではありませんからね。
○たとえば、「自分はどう生活したらいいでしょうか?」と質問する。・・・こん
なことはいったい、人に問うべきことであるか、黙って自分で考えるべき
ことであるか。そんなことも考えなければいけない。
--自分で若い頃を振り返ると恥ずかしくなる。「若気の至り」というものか
しらん。
本郷通り 神田駿河台3丁目交差点の朝
JR御茶ノ水駅から坂を下りてくる人の流れ。
こちらは夕方の写真。人の流れが上と逆になる。
6月19日(木)
鷺沼6:11 東武動物公園行き各停
朝一番「うっかりメモ」を反省 一日三省?そういえば三省堂が会社の近
所にある。
「うっかりミス」は毎日一つはある!ヒヤリハットというものだ。ヒヤリハット
100個で大事故一つかな?
6月20日(金)
「あざみ野」というよりも、「あじさい野」?
鷺沼6時8分の各停 いつもよりずいぶん混んでいるなぁと思ったら、日本
対ギリシャ戦目当ての早朝出勤のようだ。
本郷通りも・・・・・・
7:10 男女を問わず、早朝出勤が多い。
7:18 日本チームの指揮をするザッケローニ監督(ザッケさん)
日本代表の監督は、オフト-加茂-岡田(98WC)-トルシエ(02WC)-
ジーコ(06WC)-オシム-岡田(10WC)-ザッケローニ(14WC)。
次の監督は決まっているのだろうか。(おそらく絞られているだろう)。
監督も選手もWC本番となると、あがる状態というか平常心でなくなるだ
ろう。それにしても大久保と内田のシュートは惜しかった!
合唱とて同じである。木下保先生から、普段からいいかげんな練習を
してはいけません、と厳しくされた。
--「練習を本番と思えば、本番は練習のごとし」。
7:18 ボール保持率は日本70%だったが。
試合後半からBossも出勤。徐々に社員も出勤し、みんなで応援となった。
--サポーティングカンパニーの一つである。
お昼を利用して虎の門病院へ定期検査。採血9本。治験終了後2回目の
検診。
午後1時より鈴木先生と面談。
6/6(治験2週間後)の採血結果;C型肝炎ウィルスNil。
まだ先は長いが、この日の
GOT17(前回17)
GPT13(〃12)
と好調。
(データを見ながら)「いいですね」
「あ、はい。おかげさまで。副作用がなかったのがウソみたいで」
「ブンダバーさんの場合は、毎日のインターフェロンの時代から頑張って
おられましたからね~(いまのインターフェロンは週1のはずだ)」
「はい、平成10年からお世話になっていますから17年目になります」
「9月に(腹部)超音波をみておきましょうね」
霞が関の財務省
こちらは文部科学省
虎ノ門交差点 森村商事のビル
新虎/マッカーサー道路
この日の
血圧;125-76
脈拍;74/分
診断機械はオムロンの「健太郎」。
採血も終わり、血圧を測定して、いざJTビルの寿司屋に行こうと歩いて
いたら、溜池方面からのしのしやってきたワグネルの1年後輩Yさんに
バッタリ!お互いにすぐに分かり、
「や~、久しぶり。どこ行くの?」(私)
「食事しますか?」(Yさん)
ということで、JTビルの「御旦狐」さんへ。
食事中に話が終わらず、近くのスタバでコーヒーを飲みながらの延長戦。
(ホットをご馳走になり恐縮!有難う)。
彼は健康のため、昼食は新橋、銀座まで出向いているという。おかげで
10kgは痩せたそうだ。やはりウォーキングは健康にいい。
健康のためにゴルフもやっているという。
「いいね~。スコアはどうなの?」
「いや~、あいかわらず、百獣(110)の王ライオンですよ」
「それくらいがいいよね~。あまり上手くても嫌われるし(笑)」
てな調子で盛り上がり、
「オフィスが近くだから、来月の通院時も連絡してくださいよ」(Yさん)
ということになった。
6月21日(日)
時間によってはすごい雨が降った。
日本対ギリシャ 0対0 いわゆる「スコアレスドロー」である。
サッカーは、攻めたり守ったりするから点が入るのである。攻めっぱな
し、守りっぱなしは、昔から点が入らないと決まっている。
ギリシャは退場で10人になったが、その通りになってしまった。
今月発売のレコ芸7月号に宇野功芳さんが、ぬる湯温泉について書い
ておられる。
4年前に下部温泉に旅行したが、ここは30℃のぬる湯(冷泉)だった。
30分以上入っていると気持ちよくなる。宇野さんにおすすめしたい。
→こちら。
当時の慰安婦募集にあたって、力ずくで連れて行ったことまではなかった
にしても「甘言」などによる募集はあったのではないかしらん。
少し事情は違うが、『サンダカン八番娼館』で働いた女性も騙された人が
いたことから考えれば、ある程度想像がつく。
永井荷風の『断腸亭日乗』にも人が集まらない話が出てくる。
人を集める業者もいただろう。そこに日本軍が関与していたかいないかに
よって新聞の立場が分かれるようだが・・・・・・。
「政治」が絡むと「歴史」はややこしい。新聞の見出しより「政府検証全文」
を読んだ方がいいようだ。ほとんどの人は読まないだろうが。
[本稿は書き掛けです。誤字脱字if anyはおって訂正します]
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