若宮啓文『忘れられない国会論戦』(中公新書1994)を読む。
今年6月にamazonで見つけ、買い求めたものだ。
若宮啓文(1948-2016)は、「Wikipediaによれば」東大法卒後、
朝日新聞に入社。本社政治部勤務後、朝日新聞論説主幹(2002ー
2008)、主筆(2011-2013)を務める。
政治評論家三宅久之(1930-2012)に対して、若宮が「安倍叩き
は朝日新聞の社是だ」と言ったとか言わないとか、水掛け論にな
ったことで私は記憶している。
よくも悪くも、朝日新聞を代表する人だった?
それはともかく、本書はなかなかおもしろい。
本書まえがきには
〇自分の頭で考え、自分の言葉で語り、相手の出方に応じて政府の矛盾をつい
ていく。そんな生き生きした質問にお目にかかることは、悲しいかな稀である。
党や国会の政策調査スタッフばかりか、中には答弁側の官僚に質問をつくって
もらう議員すら少なくないのが実情だからだ。
〇取り上げた質疑は、たまたま私が気づいたり、興味を持ったりしたものに過
ぎず、これだけをもって「忘れられない国会論戦」とするのは大変おこがまし
い。これは「忘れられない国会論戦」の、ごく一部だと考えて許していただき
たい。
とある。
経済・財政論議がもう少しあってもよかったかしらん。
--もっとも当時の野党(例えば社会党)には「社会主義への道」
はあっても、整合性のある経済政策はなかった??
今の野党にはあるのかしらん。
<目次>
1.がっぷり四つの因縁対決
・芦田均vs吉田茂
元首相が臨んだ再軍備論争
(→これは読みごたえがあり、とくにおもしろい)。
・石橋政嗣vs中曽根康弘
「非武装中立」で丁々発止の攻防
2.命取りの失言
・木村禧八郎・加藤勘重vs池田勇人
放言連発でついに大臣解任
・西村栄一vs吉田茂
「バカヤロー」で衆院解散へ
3.これぞ爆弾質問
・河野一郎vs吉田茂
対米債権の文書片手に「答弁したまえ」
・岡田春夫vs佐藤栄作
松本清張が提供した「三矢研究」暴露
・石橋政嗣vs宮沢喜一
公害Gメンの協力で政府が降参
4.ホロリとグサリ、涙の質疑
・羽生三七vs鳩山一郎
「日ソ」で総理大臣が泣いた
・片山哲・河上丈太郎vs岸信介
「戦争責任」で忠告のうめき声
5.異色の本会議演説
・田中角栄のデビュー
自由討議で聞かせた「血の叫び」
・中曽根康弘の反ソ演説
与党の代表質問が全文削除に
・池田勇人vs河上丈太郎
テロに倒れた浅沼委員長の追悼合戦
若宮啓文『忘れられない国会論戦』(中公新書1994)★★★★
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