みすず書房の本は、白を基調とした表紙が特色だ。高価であるので図書館を利用す
るのがいいかもしれない。
本書は、平成15(2003)年封切りの映画「スパイ・ゾルゲ」に合わせたのか、同年
6月にみすず書房より発行された。
ゾルゲはいうまでもなくソ連のスパイであったが、表向きはドイツの新聞「フラン
クフルター・アルゲマイネ・ツアイトゥング」の東京特派員だった。
本書には、昭和10(1935)年から14(1939)年にかけてゾルゲが新聞記者としてド
イツに送った日本の分析(*)を載せている。
(*)「日本の軍部」、「東京における軍隊の叛乱」、「日本の農業問題」、「日
中戦争中の日本経済」、「日本の膨張」、「日本の政治指導」の6編。
これを読むと当時の日本がいかに農業国であったか、また英米との貿易割合が大き
かったかが分かる。(日本の輸出品は生糸と繊維品だった。)戦後に書かれた「後
付け」の歴史ではない、当時一級の現状分析といえるだろう。むろんソ連のスパイ
とは知られてはならないから、唯物史観的な言辞はいっさいない。
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