人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
現在は、暇に飽かして、日々更新。

カラヤン生誕100年(4)

2008-06-10 06:02:33 | 音楽
カラヤンは1989年7月に心臓発作で亡くなったが、その場に一人の日本人がいた。
ソニーの大賀典雄氏である。彼は仕事の話でカラヤンの自宅を訪問していたのであ
る。

閑話休題。「4つの最後の歌」というR.シュトラウス最晩年の作品がある。1948年
の作曲時、R.シュトラウスは84歳であった。

1945年にドイツが戦争(第二次世界大戦)に負けて、R.シュトラウスはフルトヴェ
ングラー同様非ナチ化裁判にかけられる。(無罪。)「4つの最後の歌」では「生
の疲労と死の予感」を思わせる詩が選ばれているが、80歳を過ぎてのゴタゴタがそ
の選択に影響しているのかもしれない。

演奏はG.セル/E.シュワルツコップとカラヤン/G.ヤノヴィッツなどがあり、この
へんになると好き好きであるが、私は後者を好んで聴いている。前者はやや「ど
う?上手いでしょう?」と聞こえる。それに対して、ヤノヴィッツは美声を生かし
てもっと素直に歌っている。録音当時、シュワルツコップ50歳、ヤノヴィッツ35
歳、その差が出ているのかもしれない。

とくにカラヤン/ヤノヴィッツの、第4曲「夕映えの中で」を何回繰り返し聴いた
ことだろう。先日のオフ会にもカラヤン/ヤノヴィッツの「夕映えの中で」を持
参、豪華な装置で聴いて、なおいっそう感動した。

1分ちょっとの前奏が実にいい。カラヤンのレガート奏法がぴったりはまってお
り、条件反射というのだろうか、何回聴いても始まって10秒足らずになぜかしら涙
が出てきてしまう。(セルの演奏だとこうはいかない。)

ヤノヴィッツは先ほども言ったように、カラヤンのふところの中、細工をせずに素
直に歌っている。歌手にとってカラヤンほど歌いやすい指揮者はいなかったようで
ある。素直に歌うということは本当は難しいのである。

カラヤンが亡くなってもう19年になる。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 木下順二作「オットーと呼ば... | トップ | 芝健介『ホロコースト』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

音楽」カテゴリの最新記事