人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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芝健介『ホロコースト』

2008-06-11 05:55:00 | 近現代史
中公新書の4月新刊として、芝健介『ホロコースト』が出版された。
ホロコーストとはナチ・ドイツによるユダヤ人の大量殺戮をいう。

最近の研究も踏まえた実証的な本。気が重くなる本である。映画「シンドラーのリ
スト」を観た後のなんともいえない味わいと似ている。

第二次世界大戦中のヨーロッパで約600万人のユダヤ人が殺害された。とくに有名
なアウシュヴィッツでは、百数万人のユダヤ人が犠牲になったと見積もられてい
る。

ナチスのやったことは、大量殺戮だけではない。それ以前に、「人種衛生学」、
「社会衛生学」による淘汰(とうた)=安楽死なども行っているのである。

ニュルンベルク国際裁判と東京国際裁判では、大きく分けて3つの犯罪が裁かれ
た。a項が平和に対する罪、b項;通例の戦争犯罪、c項;人道に対する罪であ
る。a項とc項は問題の事後法である。a、b、cは単なるイ、ロ、ハである。

東京裁判/日本では、絞首刑となった7名といえども、c項で裁かれてはいない。
(一般的にA級戦犯といわれている。)一方、ニュルンベルク裁判で死刑判決を受
けた12名はすべてc項で裁かれている。
この事実が、第二次大戦中の、日本とドイツの決定的な違い(!)である。

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