前回の続き)そういえば、『小澤征爾大研究(新装版)』(春秋
社2002年刊)という本を20年ほど前に買ったはず。
どこにしまい込んだものやら、これまた家中を捜索したが見つか
らない(トホホ)。
やむなくAmazonで検索したら、きれいでお値打ちの物が出てい
たので買ってしまった(初版は2,200円+税。これが951円)。
改めて読み始めたが、大変おもしろい。20年ほど前の読後感(は
っきりと覚えているわけではないが)といささか異なるかもしれ
ない。
小澤征爾の「N響事件」(今から60年以上前)を覚えている人は
少なくなったかしらん。私も当時は小学生だったので、そのよう
な「事件」があったとは知らなかった。
小澤征爾は、「N響事件」をバネに、しゃにむにチャンスをモノ
にしていった。
「N響事件」とは何だったのか?
私が新入社員時、上司(Y部長代理)は「N響のエリート主義」が原因ですよ
とコメントしていた。
本書には「N響事件」当時の新聞報道等が掲載されており、ある
程度、その「真相」に近づくことができるだろう。
いまや「N響事件」は「歴史」となったのだろうけど。
以下、その「最小限」を引用しておこう。
「小澤征爾氏ボイコット騒動」’62/12/24朝日新聞
騒動の起こりは、去る9月、東南アジア演奏旅行先のマニラ。ベートーベンのピ
アノ協奏曲第3番を指揮したさい、小澤氏に大きなミスがあり「海外での恥さら
し」という声が楽員の間に出た。東京での10、11月定期公演でも「タクトのふ
り方はツイストだ。基本的なミスをやる」という不満や「練習にも遅れるし、
日ごろの態度も図に乗りすぎる」という個人攻撃まで出て・・・・・・
小澤氏とN響がなぜ対立しなければならなかったのか--騒動の遠因は、じつ
はこの前途ある現代青年が長い”日本的”伝統を持つN響に指揮者として迎えら
れたことに根ざしているようだ。
・・・・・・
いずれにせよ「この騒動、だれが正しくて、だれが悪いのかということは重要
ではない。音楽の本質から全くかけはなれてしまっている。指揮者も楽員も当
局者も音楽をもっとだいじにしてほしい」という東京芸大池内友次郎教授(日
本作曲家組合委員長)の言葉は、多くの音楽ファンの気持でもあろう。
「小澤征爾、涙の指揮」’63/1/16毎日新聞
・・・・・・15日夜の日比谷公会堂。満員の聴衆を集めて”小澤征爾の音楽を聞く会”
が開かれた。
小澤征爾氏(27歳)は前年暮れ、NHK交響楽団員の指揮者ボイコット運動から
日本放送協会・N響と対立、N響の定期演奏会と年末恒例のベートーベン「第
九」演奏会がお流れになり、話題となった新進音楽家。このままでは小澤氏が
気の毒と、才能を惜しんだ作家の井上靖、石原慎太郎、大江健三郎、評論家の
中島健蔵、作曲家の黛敏郎、團伊玖磨氏ら22人が音頭をとって小澤氏の音楽会
を計画したもの。前売り切符は2時間で売り切れ、千人近い聴衆が開場を待っ
て行列をつくるという大変な人気だった。・・・・・・
演奏を終えた小澤氏は、拍手に5回、6回と舞台に呼び戻され、感激のあまりか、
舞台のそででそっと涙をぬぐっていた。
「青春のモニュメント」石原慎太郎 ’86/8「新潮45」
天才の魅力というものは、往々、自ら才あると自負している人間たちには、か
えって通じないもののようだ。・・・・・・
小澤のような飾りっ気のない無垢な芸術家が、同じ音楽の仲間に拒否されると
いうのは、彼の率直さが、N響の団員の秘かに抱いている芸術家同志の嫉妬を
増幅したためといえるかもしれない。・・・・・・
(注)福永陽一郎先生の「証言」によれば、「小澤なんか」と公言する某指揮
者がN響サイドに立って動いたという(『私のレコード棚から』p277)。
なお小澤征爾はN響事件32年後の平成7(1995)年1月N響を指
揮している(於サントリーホール)。
プログラムは
・J.S.バッハ「(G線上の)アリア」(阪神・淡路大震災の犠牲者に)
・バルトーク 管弦楽のための協奏曲
・ドヴォルザーク チェロ協奏曲
(チェロ:ロストロポーヴィチ)
・J. S. バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番サラバンド
(ソロ:ロストロポーヴィチ)
『小澤征爾大研究』(春秋社)
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〇ドジャース水原一平通訳を解雇。
何が事実なのか、まだ全貌は分からない。
これからしばらくは「憶測記事」が飛び交うだろう。
仮説だが、ドジャースはしばらく前から「内定」を進めており、
大谷も承知のうえ、メディアへのリークや水原解雇のスケジュ
ールをコントロールしているのかもしれない。
いずれにしても「一寸先は闇」であることに変わりない。
○3/21、血栓症のリハビリのため、1,700歩、約1kmをヨチヨチと
歩く。
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