音楽の友ホールにおける「日本歌曲の歩みと調べ」は、畑中良輔先生
と塚田佳男氏の企画構成により平成5(1993)年9月に始まった。
ごく初期の頃、たしか下田さんからご案内があり、手を挙げて聴きに
行った。日本歌曲の第一線歌手のすばらしい歌唱に感動した。とくに
山口道子さんが歌った小松耕輔「母」には呼吸することを忘れた。
それらを聞きつけたKさんが名古屋から聴きに来たこともある。その
シリーズは、「日本歌曲と詩人の心」、「日本歌曲と音の魔術師」と
名前を変え、畑中先生が亡くなられても「日本歌曲に求める無限の楽
しみ」シリーズとなり、続いてきた。
幸福にも三宅春恵さんや栗本尊子さんの歌う日本歌曲のすばらしさを
知ったのも、これらのシリーズだ。以来、栗本さんのオッカケになっ
た。
声楽を習う者にとってはコンコーネのマスターは必須だろうが、それ
をマスターしたからといって日本歌曲は歌えない、のでは、ないか。
木下保先生は、よく「縦書きの詩を読みなさい」と言われていたが、
音符上の歌詩ではなく、漢字かな交じり文を朗読しなさいということ
かしらん。--意味が分からずに朗読はできないのだから。語るよう
に歌う?日本語のディクション?
「日本歌曲と詩人の心」シリーズで、小松耕輔の「母」(詩は竹久夢
二)の「母はかなしも」の一節を「ハハハ(HaHaHa)~」と歌う音
大生が本当にいるんですよ、と畑中先生から伺った話も忘れられない。
6月14日(木)、andyパパさんに教えられ、「無限の楽しみ」シリー
ズ第30回の最終回を聴きに行った(練習を休んでごめんなさい)。
「歩みと調べ」開始以来、25年になる。
当日は、224席「満員御礼」状態で、当日券の発売はなし。ステージ
上手に補助席が用意されているほどだ。
開演前に桑原先生とバッタリ!--「あら~」、「あ、先生、どうも
~、ご無沙汰しています」。
今回は、本シリーズのアンコール編だ。今回は畑中良輔先生が作曲さ
れた『八木重吉の詩による五つの歌』も5人の歌手により冒頭に歌われ
た。
<プログラム>
〇歌い継がれる珠玉の畑中歌曲から!
『八木重吉の詩による五つの歌』
1.秋の空--大塚道子
2.素朴な琴--薗田真木子
3.秋--大貫裕子
4.雨--斎藤京子
5.夕焼--城守 香
pf.塚田佳男
〇畑中良輔が好んだ五つのチクルスを聴く!
『風に寄せてうたへる春の歌』三木露風詩、山田耕筰曲
--大貫裕子 pf.小原(おばら) 孝
『三つの輓歌』鈴木松子詩、平井康三郎曲
--大塚道子 pf.塚田佳男
『四つの秋の歌』高田敏子詩、三善 晃曲
--瀬山詠子 pf.小原 孝
「笛吹き女」深尾須磨子詩、橋本國彦曲
--城守 香 pf.塚田佳男 FL宗方 律
『恋の命日』黒木 瞳詩、大中 恩曲
--斎藤京子 pf.小原 孝
『万葉集による七つの歌』戸田邦雄曲
--薗田真木子 pf.塚田佳男
プログラム(表紙)
プログラム
以下、なかなか筆舌に尽くしがたいながら、つたないコメントを少々
・・・・・・
18時59分、2回目のチャイムが鳴る。今にも畑中先生が登場しそうな
錯覚を覚える。
定時にやや茶髪の塚田さんが登場。
「本日は、『日本歌曲に求める無限の楽しみ』第30回、ご来場有難う
ございます。今回は、こ~んなにもたくさんのお客様にお越しいただ
き喜んでおります」
ここで25年来のシリーズの説明があり、
「今回は、<アンコール編>としてお送りします」
と、ここでピアノの横へ移動、『八木重吉の詩による五つの歌』の朗
読を始める。
塚田さんが「夕焼」までの朗読を終え、ピアノ伴奏を始めると同時に、
大塚さんが登場、演奏が始まった。
5曲がattaccaで演奏される。演奏中は次の歌手が下手でスタンバイ。
曲が終わると静かに入れ替わる。
『八木重吉の詩による五つの歌』
1.秋の空--大塚道子
トップバッターはベテランの大塚さん。けれん味のない歌唱。口は、
独唱者らしく、パクパクは開かないが、意味ある「言葉」が響きとと
もに伝わってくる。
2.素朴な琴--薗田真木子
伸びのある響きがすばらしい。
3.秋--大貫裕子
少し手を動かしつつ、劇的に歌いあげる。
4.雨--斎藤京子
この歌はシンプルさが難しいが、伴奏とまったく一体の歌唱だ。
5.夕焼--城守 香
恵まれた身体で声量も大きく、スケール豊かに歌いあげる。
それぞれの曲に合う人が歌っていたのではないかしらん。
〇畑中良輔が好んだ五つのチクルスを聴く!
1.『風に寄せてうたへる春の歌』三木露風詩、山田耕筰曲
--大貫裕子 pf.小原(おばら) 孝
「八木重吉」にすぐに続き、「風に寄せて~」のステージへ。「大正
9年、1920年、友人の結婚式に作曲されました」と短い解説。前と同
様に塚田さんの朗読が入る。
大貫さんは、外へ放射する、「歌」を「芸術」に高めた山田耕作の歌
曲を、やや小柄な身体をいっぱいに使って、全身からいささかオペラ
チックに歌いあげた。結婚式らしく、明るい光を感じる曲と歌唱だ。
2.『三つの輓歌』鈴木松子詩、平井康三郎曲
--大塚道子 pf.塚田佳男
「鈴木さんの息子さんの死を悼んで作られた詩です。昭和23(1948)
年に作曲されました」。
どんな風景を見ても悲しみを感じる母の想いをベテランの大塚さんが
歌う。メゾ・ソプラノの音色がこの歌に合う。
3.『四つの秋の歌』高田敏子詩、三善 晃曲
--瀬山詠子 pf.小原 孝
「合唱にも編曲されています」と曲の解説があり、「御年88歳、デビュ
ー60周年です」とこの日一番の大拍手に迎えられ、瀬山さんがゆっく
り登場。88歳もデビュー60周年もまことに驚き(!)だ。
子音に自然な衰えがあるが、驚異的にもブレスや声量もすばらしく、
声の揺れはまったくない。歌う姿には不思議なというのかプリマドン
ナの「色気」が感じられた。
歌い終わるとまた一段の拍手となった。会場からは「すごいわね~」
の声が。
--休憩15分--
4.「笛吹き女」深尾須磨子詩、橋本國彦曲
--城守 香 pf.塚田佳男 FL宗方 律
深尾須磨子の詩は、すべて新しく感じられるが、和暦でいえば明治21
年生まれの人だ。--いつだったか、それを知って驚いた。
「昭和3(1928)年の作曲です。自由詩に作曲され、当時としては大
変斬新な曲でした。『第20回』で歌われました」。橋本國彦は、木下
保先生とは1歳違いで、ともに東京音楽学校の教授だった。
ピアノ伴奏に金色のフルートがからむ。
笛吹き候
笛吹きて悔ゆるのに候
という候文が格調高い。朗唱の部分もあり、独白のような歌だ。城守
さんは恵まれた体躯を生かした、強い声。文語だけにやや聴き取りに
くい部分があったかしらん。歌詩カードがあった方がよかった?
5.『恋の命日』黒木 瞳詩、大中 恩曲
--斎藤京子 pf.小原 孝
「90歳を過ぎてなお作曲活動を続けている大中恩(めぐみ。ダイチュ
ウオンと読んだ人がいるとか。)先生の作品です。女優黒木瞳さんの
詩と相まってシャンソンのような味わいとなっています」。
斎藤さんはマリンブルーのドレス、やや小柄。短い曲の全8曲。難しい
言葉を使わない、日常の世界を歌った曲だ。--言葉が見事に聴き取
れ、詩人の想いが伝わってくる。響きのある、日本語の母音(とくに
「ウ」)がすばらしい。1曲目から8曲目まで、緊張感を切らさず、歌
い切った。
斎藤さんは、既にお上手だが、日本歌曲の道を究めつつあるのかもし
れない。
6.『万葉集による七つの歌』戸田邦雄曲
--薗田真木子 pf.塚田佳男
「無調、十二音技法が新鮮に響きます。昭和41、1966年に作曲され
ました。戸田さんは戸田敏子さんのお兄さんです。『第18回』で歌
われました。薗田さんは絶対音感の持ち主で、深い宇宙が表現されま
す」。
薗田さんもやや小柄。七つの和歌を、1曲目から朗読、歌唱の繰り返
しで演奏される。伴奏もさることながら、歌唱は難しい跳躍が頻発す
る音楽だ。凡人には音取りが不可能な「現代音楽」だが、不思議な魅
力がある。
1曲目はなんというか、わずかに首を振り、意図的に何気なく開始さ
れる。3曲目あたりからやや動きが加わり、集中力を増してくる。4曲
目では朗読もやや芝居掛かる。5曲目はピアノに寄りかかっての朗読。
酔っぱらった仕草を見せる。まさしくドラマの世界だ。終曲はいった
ん目をつぶっての朗読から「仕上げ」の歌唱だった。
水準高い聴衆も静まり返る<16分間>。薗田さんの再演を見つけたら、
聴きに行こう。
最後に、全員が登場。
「30回にふさわしく、たくさんのお客様、有難うございました。もう
こんなことはないのでしょうか(笑)」(塚田さん)
最後に塚田さんのリード、小原さんの伴奏で「この道」の全員合唱。
さすがに水準高い聴衆による見事な合唱だった。
過去のプログラム 初期の分はいま手元に見当たらない。そのうち出
てくる?
17:21 自由が丘
17:48 九段下乗り換え
17:58 神楽坂下車
18:03 神楽坂方面改札
18:05 神楽坂芸者さんはいないかな~。
18:05 音楽の友ホール
18:16 皆さんが並び始めた。
18:22 座席より
18:26 ホール全景
18:29 ロビーよりホール
18:30 いい男
18:31 J.ブラームスの楽譜
21:07 終演
21:10
興奮をしずめるべく、andyパパさんと目の前の「珈琲館」で「反省会」
21:12
21:47 神楽坂より
21:54 九段下乗り換え
22:35 あざみ野着
* * * *
コロンビア戦 2対1!!
日露戦争以来(?)の大勝利 渋谷は、日比谷焼き討ち事件状態?
相手が10人は意外と難しいが、途中出場のハメスもほとんどお休み状
態だったのでよかった!?
西野監督の、作戦、采配がよかった?「勝てば官軍」?
勝負は勝たなければ、ボロクソに言われる?
とまれ5分間のアディショナル・タイムが終わると、涙が出た。
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