3年前の中公文庫初版、吉田健一『父のこと』を読む。
この夏、たまたま有隣堂で見つけた本だ。
表紙にある本書の紹介--
戦後日本の礎を築いたワンマン宰相・吉田茂(1978-1967→こちら)、その長
男である文士・健一(1911-1977→こちら)。
著者はこの父といかに接し、どのように見てきたのか。日常生活の回想から吉
田内閣論まで、著作集未収録を含む父をめぐる全エッセイを収める。
さらに父子が忌憚なく語り合った長編対談「大磯清談」を併録。文庫オリジナ
ル。 巻末エッセイ・吉田暁子
とくに父子の対談「大磯清談」がおもしろい。
子 オヤジとの対談となると、やはり、ちょっとテレるな。
父 ふむ。
(こちらもいささかテレ気味かと見れば、決して、そうじゃない。ただし、ふ
くみ笑いが思わず崩れる)
誰でも男同士の父子の対話は、お互いにテレるものかしらん。
吉田茂の人間像(--見識、ユーモア)を垣間見ることができる。
子 減税対策に戻りまして、なんとか名案はないものでしょうか。
父 名案の第一は、役人をへらすことだろう。だが、この行政整理をしようと
すると、一番先に反対してくるのが各省だ。・・・・・・
子 最近、ハンコ族という新語もきかれますよ(笑)。
父 役人の数が多いから、よけいにハンだけ押すことになるので、こうなると、
押す方も大がい面倒になってロクなことを相手にもいわない。中にはコミッショ
ンをとってやろうというやつも出るわけだ。(p250)
・・・・・・古くて新しい問題?
河上(徹太郎) 新聞記者の批評を伺えないですか。例えばイギリスの新聞記
者と日本の新聞記者と、あたりがどう違うか、というようなことは・・・・・・。
(吉田)首相 それはよほど違いますね。例えばイギリスの新聞記者は、会い
たいといって強制するようなことはない。ぜひとも会いたいと玄関で怒鳴るよ
うなことは無論ありませんね。そして会ってインタヴューをすれば必ず原稿を
見せて校訂することを要求して、その上で発表する。日本では大概そいつはし
ませんね。(p274)
ちなみに巻末エッセイの吉田暁子は、健一の娘で昭和20(1945)
年生まれ。
吉田健一『父のこと』(中公文庫、2017/9)
<秋のマスターズゴルフ>
まだ2日目じゃ あ~りませんか(笑)。チャーリー浜は元気かな?
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