1989年6月の天安門事件(六・四事件)については、4月5日のブロ
グでも少しく書いた(→こちら)。
当時の党総書記(序列1位)趙紫陽の『極秘回想録 天安門事件「大
弾圧」の舞台裏!』(バオ・プー、ルネー・チアン、アディ・イグナ
シアス。原題『PRISONER OF THE STATE』、河野純治訳。2010光文
社)を読む(3/31購入)。
趙紫陽は、天安門事件で「保守派」(老人?)から攻撃され、失脚
し、その後亡くなるまで16年間軟禁された。
趙は、2000年頃、密かに60分テープ約30本に録音を残していた。そ
れを基に発刊されたのが本書である。
天安門事件の裏側(中国共産党の権力闘争、中央政治局常務委員等の
意見の対立)を知ることができる。
趙紫陽は最後に言う。
・かつての私は、国民が主役になれるのは、欧米先進国のような議
会制民主主義ではなく、ソ連などの社会主義諸国の代表大会制度だ
と信じていた。われわれの制度のほうが、より進んだ、より民主主
義を実現した形態だと思っていたのだ。
・だが、それは事実ではない。われわれ社会主義国家の民主主義は
すべて表面的なものにすぎない。国民が主役の制度ではなく、国民
が一握りの、あるいはたった一人の人間に支配されている制度だ。
余談だが、今から30年ほど前(H2[1990]年?)、大阪で上海浦
東地区への日本企業誘致セミナーが開かれた。
(上海浦東地区へ進出した一社が熱海市発祥のヤオハンだ)。
私も聴講したが、その時、セミナー主催者(大阪商工会議所?)だ
ったか、ある日本人が「これからの中国は『普通の国』になってい
きます」と言っていたことを覚えている。
私は、その時、この人が言う「普通の国」という意味があいまいで、
よく理解できなかったが、民主化して「集会の自由、結社の自由、
表現の自由」(日本国憲法第21条)という意味であれば、はたして
そうなるかしらんと思ったものだった。
それから30年が経ち、今、丹羽宇一郎も長谷川慶太郎も「中国は将
来民主化する」と言っている。
私が亡くなるまでに、はたして中国は、真の「集会の自由、結社の
自由、表現の自由」を認め、普通選挙を実施するだろうか--と、
今の私は思っている。
<参考>
華国鋒:1921-2008(87)
鄧小平:1904-1997(92)
胡耀邦:1915-1989(73)
趙紫陽:1919-2005(85)
胡も趙も鄧小平の「子分」だったが、最終的には失脚した。
<目次>
はじめに
序文
第一部 天安門の虐殺
第二部 自宅軟禁
第三部 中国経済急成長の要因
第四部 政治局における闘い
第五部 動乱の年
第六部 中国はどう変わるべきか
エピローグ
『趙紫陽 極秘回想録』(光文社)
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