著者は、一般に私たちは「本はできるだけ速く、たくさん読まなければいけない」
という強迫観念にとらわれていると言う。
本書は「本をゆっくり読む方法」--スロー・リーディングの実践についてまとめ
たものである。
私もどちらかといえば本を読むのは遅いほうであるが、本当はもっともっとゆっく
り読みたいものだと思っている。2日に1回の割りで読書のブログを掲載している
が、過去何十年の「貯金」を使っているわけで、まさか2日に1冊読んでいるわけで
はない。本当の本好きは意外とゆっくり読んでいるのかもしれない。
著者が薦めるスロー・リーディングは、内容的には(--それは本書に詳しく説明
されている。)まさに国語の時間(注)にやっていたような精読である。
(注)私の学んだ学課では「国語」ほど消極的に聴いていたものはない。今は「国
語」こそもっと勉強しておけばよかったと思うことがある。定年になり大学に
入り直すとしたら、文学部国文科に入りたいものである。
小泉信三の『読書論』(岩波新書)p79にも次のとおり同様なことが出てくる。
昔、私がまだ二十代の青年でイギリスのケムブリッジに在学中のことであっ
た。或る日、同大学キングス・カレッジの政治学者某氏と汽車で同乗したことが
ある。粗服をつけ、哲人の俤(おもかげ)あるこの学者は、携えた書物を開いて
二、三十分食い入るように読み、さて本を膝に置き、目を車窓外の景色に放っ
て、黙然として沈思すること同じく二、三十分、また本を取り上げて読むこと前
のごとく、次いでまた窓外を眺めることも前のごとくにして、幾時間にわたって
読み進んでいった。
今はあらためて「スロー・リーディング」で漱石、鴎外、直哉、龍之介を読んでみ
たいと考えている。(この4人の著作で、私が読んだのは4人合わせてもせいぜい
2、3冊である。)
著者は昭和50(1975)年生まれ。京都大学法学部卒業。平成10(1998)年大学在学
中に発表した『日蝕』で「三島由紀夫の再来」として注目を集め、翌年同作品で芥
川賞を受賞している。
なお、講談社学術文庫に『本を読む本』という本があるが、それはまた別に機会に
書いてみたい。
という強迫観念にとらわれていると言う。
本書は「本をゆっくり読む方法」--スロー・リーディングの実践についてまとめ
たものである。
私もどちらかといえば本を読むのは遅いほうであるが、本当はもっともっとゆっく
り読みたいものだと思っている。2日に1回の割りで読書のブログを掲載している
が、過去何十年の「貯金」を使っているわけで、まさか2日に1冊読んでいるわけで
はない。本当の本好きは意外とゆっくり読んでいるのかもしれない。
著者が薦めるスロー・リーディングは、内容的には(--それは本書に詳しく説明
されている。)まさに国語の時間(注)にやっていたような精読である。
(注)私の学んだ学課では「国語」ほど消極的に聴いていたものはない。今は「国
語」こそもっと勉強しておけばよかったと思うことがある。定年になり大学に
入り直すとしたら、文学部国文科に入りたいものである。
小泉信三の『読書論』(岩波新書)p79にも次のとおり同様なことが出てくる。
昔、私がまだ二十代の青年でイギリスのケムブリッジに在学中のことであっ
た。或る日、同大学キングス・カレッジの政治学者某氏と汽車で同乗したことが
ある。粗服をつけ、哲人の俤(おもかげ)あるこの学者は、携えた書物を開いて
二、三十分食い入るように読み、さて本を膝に置き、目を車窓外の景色に放っ
て、黙然として沈思すること同じく二、三十分、また本を取り上げて読むこと前
のごとく、次いでまた窓外を眺めることも前のごとくにして、幾時間にわたって
読み進んでいった。
今はあらためて「スロー・リーディング」で漱石、鴎外、直哉、龍之介を読んでみ
たいと考えている。(この4人の著作で、私が読んだのは4人合わせてもせいぜい
2、3冊である。)
著者は昭和50(1975)年生まれ。京都大学法学部卒業。平成10(1998)年大学在学
中に発表した『日蝕』で「三島由紀夫の再来」として注目を集め、翌年同作品で芥
川賞を受賞している。
なお、講談社学術文庫に『本を読む本』という本があるが、それはまた別に機会に
書いてみたい。
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