用賀の優文堂書店に「飛び込」んだら、「三島由紀夫」という文字に目が止まり、
本書を購入した。著者は昭和17(1942)年生まれ、早稲田大学卒業。雑誌の編集畑
で働いてきた人である。帯には「まだ誰も知らない、本当のミシマ。最後の三島担
当編集者が見つめたスーパースターの素顔」とあった。
解説は「『若者の言葉による三島へのオマージュ」として川本三郎が名文を寄せて
いる。
なぜ三島は、自分に決行を語ってくれなかったのか。なぜ、切腹という現代人
から見れば異常な決意の謎を自分に語ってくれなかったのか。
椎根さんは、いわば、置いてけぼりにされた。自分の結婚パーティでスピーチ
までしてくれた三島が最大の謎を、自分に教えてくれなかった。
その悔しさが、実は本書の最大の美点になっている。普通、これだけ大作家に
信頼された編集者の回想録なら、自慢話になりがちだ。いかに親しかったか。い
かに可愛がられたか。相手はもう死んでいるのだから、いかようにも書ける。
しかし、椎根さんは最後の最後で、思いとどまる。それをしない。三島由紀夫
は自決した。自分は生き残り、平常な日常を生きている。なおかつ自決した作家
の回想録を書いている。
それはどういうことなのか。
本書の素晴しさは、三島という大作家というより、一人の身近な人間の死に接
した時、残された者は、どういう心の重みを耐えていけばいいかを「若者」の言
葉で書きとめたことにある。
来年は早いもので三島由紀夫生誕85年、没後40年である。
本書を購入した。著者は昭和17(1942)年生まれ、早稲田大学卒業。雑誌の編集畑
で働いてきた人である。帯には「まだ誰も知らない、本当のミシマ。最後の三島担
当編集者が見つめたスーパースターの素顔」とあった。
解説は「『若者の言葉による三島へのオマージュ」として川本三郎が名文を寄せて
いる。
なぜ三島は、自分に決行を語ってくれなかったのか。なぜ、切腹という現代人
から見れば異常な決意の謎を自分に語ってくれなかったのか。
椎根さんは、いわば、置いてけぼりにされた。自分の結婚パーティでスピーチ
までしてくれた三島が最大の謎を、自分に教えてくれなかった。
その悔しさが、実は本書の最大の美点になっている。普通、これだけ大作家に
信頼された編集者の回想録なら、自慢話になりがちだ。いかに親しかったか。い
かに可愛がられたか。相手はもう死んでいるのだから、いかようにも書ける。
しかし、椎根さんは最後の最後で、思いとどまる。それをしない。三島由紀夫
は自決した。自分は生き残り、平常な日常を生きている。なおかつ自決した作家
の回想録を書いている。
それはどういうことなのか。
本書の素晴しさは、三島という大作家というより、一人の身近な人間の死に接
した時、残された者は、どういう心の重みを耐えていけばいいかを「若者」の言
葉で書きとめたことにある。
来年は早いもので三島由紀夫生誕85年、没後40年である。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます