歌劇「夕鶴」は、木下順二の戯曲『夕鶴』を台本とした團伊玖磨作曲の傑作であ
る。「原作を一言一句変えてはならない」という木下順二の条件の下に作曲され
た。
昭和27年の初演では、「つう」を原信子(58歳)、大谷洌子(きよこ)(33)
(*)、「与ひょう」を木下保(48)、柴田睦陸(38)のダブル・キャスト、
「運ず」秋元雅一朗、「惣ど」藤井典明だった。
つう;三宅春恵
与ひょう;木下保
惣ど;秋元雅一朗
運ず;立川澄人
子供たち;シンギング・エンジェルス
指揮;團伊玖磨
演奏;東京フィルハーモニー交響楽団
CDでは、伊藤京子(ビクター盤)、鮫島有美子(コロンビア盤)などがつうを演
じたものが出ているが、本録音は昭和34年に初版となった東芝EMIのモノラル盤で
ある。(録音はよく、モノラルであることも気にならない。)
日本語としての「言葉」、「語気」が明晰で、よく聴き取れるとともに、つう、与
ひょうともに性格が声として見事に表現されている。子供たちもうまい。
本CD初版の昭和34年当時、三宅春恵41歳(*)、木下保56歳、秋元雅一朗39歳、
立川澄人30歳、團伊玖磨35歳であった。
(*)私が三宅春恵さんを聴いたのは平成14(2002)年1月18日(金)音楽の友ホ
ールにおける「特別ガラコンサート」だった。三宅さんはゆっくり出てこられ
るだけで、ステージがパーッと華やかになる感じだった。その時、三宅さんは
團伊玖磨の「花の街」を歌った。「私、今回この歌を初めて歌うので勉強しま
したが、かわいそうな曲なんですね」と語っておられたのが印象的だった。当
時、三宅さんは83歳だった。
東芝EMI盤
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