人生ブンダバー

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半藤一利編集・解説『なぜ必敗の戦争を始めたのか』(文春新書)

2019-08-12 05:00:00 | 近現代史

74年前の終戦の季節となると、この種の本が書店に並ぶのでついつい
買ってしまう(笑)(8/7購入)。

昭和50年代の初め、「陸軍エリート将校」の「反省会議」が開催され、
旧陸軍将校の機関誌『偕行(かいこう)』に全15回にわたって掲載さ
れた。

本書は、加登川幸太郎氏(1909-1997.→こちら。[注])が同会議
の司会をした4回から最終回を若干の解説を入れてまとめたものだ。 


[注]余談だが、私が子どもの頃、NTVで昭和34(1959)年から毎週
 土曜夜に「日本の年輪-風雪二十年」という昭和史(昭和前期)の番
 組が放映され、両親が夢中になって視聴していた。
 その番組をプロデュースしたのが知る人ぞ知る加登川氏である。
 当番組のキャスターは毎日新聞の古谷綱正だった。


半藤一利編・解説『なぜ必敗の戦争を始めたのか』
「大東亜戦争の開戦の経緯」(『偕行』昭和51年12月号~昭和53年
3月号)より。

<目次>
第一章 三国同盟
第二章 北部仏印進駐
第三章 南部仏印進駐
第四章 独ソ開戦
第五章 御前会議
第六章 東条内閣の成立
第七章 対米開戦

第七章の終盤「陸大の教育が悪かった」のパラグラフがおもしろい。


なお、帯に「昭和史は善玉悪玉の二者択一で割り切れるものではあり
ません」とあるが、昭和史に限らず、物事はすべて○か×かではなく、
60点から80点の間だ(まれに90点もあるのかな)。



『日本海軍400時間の証言』
上記陸軍の反省会がきっかけとなったのかどうか、今度は昭和55年~
平成3年に「海軍反省会」が非公開を前提に開催された。
録音テープの所在をNHKが入手し、テレビ番組にまとめたものを書物
化したものだ。

<目次>
プロローグ
第一章 超一級資料との出会い
第二章 開戦 海軍あって国家なし
 p88「軍令部暴走の原点」~「昭和天皇の憂慮」p112
 がおもしろい。
第三章 特攻 やましき沈黙
第四章 特攻 それぞれの戦後
第五章 戦犯裁判 第二の戦争
エピローグ




上記の「前提」として、太平洋戦争の概史については、以下の書物が
参考になる。


高木惣吉『太平洋海戦史』(1959)
林三郎『太平洋戦争陸戦概史』(1951)(いずれも岩波新書)




児島襄(こじま・のぼる)『太平洋戦争』(1965-66、中公新書)
太平洋戦争「概史」として、いまだに価値があるのではないかしらん。


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4 コメント

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半藤一利 (sho)
2019-08-14 09:22:38
最近は図書館で半藤さんの本を借りて読んでますが、昭和史はスターリンとヒットラーに蹂躙されたと言う論説が非常に興味ありました。それと薩長と賊軍との話ですね。
書斎の「あの戦争と日本人」をまだ未読だったので、このブログを読んで「読まねば」と思いました。

岡崎久彦さんの「百年の遺産」日本近代外交史73話も一度読んだきり、これも立派な本です。

追伸:OB四連のジプシー、やはり歴史と伝統を感じました。素晴らしかったです。
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Re;半藤一利 (katsura1125)
2019-08-14 12:36:39
shoさん、ご無沙汰しています。

半藤一利『あの戦争と日本人』、おもしろそうですね~。
私も読みたいな、と思い、念のため、書棚をチェックしたら、文庫「第1刷」を持ってました。あらためて読んでみます(笑)。


ブラームス『ジプシーの歌』は、10月のWagner Festで再演します。東京の方もお楽しみに!
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世界史のなかの昭和史 (sho)
2019-08-14 15:42:44
図書館で借りたのは「世界史の中の昭和史」でした。
歴史は繰り返す、またもや朝鮮半島を軸に歴史に翻弄されたら困ります。歴史の真実を追求するのみでしょうか。
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Re;世界史の中の昭和史 (katsura1125)
2019-08-14 20:44:27
そうですね。「朝鮮半島」の地政学リスクは、この150年変わっていないと言えるでしょうか?
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