人生ブンダバー

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新日フィル第446回定期演奏会

2009-05-31 05:18:06 | 音楽
このところ雨が多く傘が手放せない。5月30日(土)、今にも降り出しそうな中、
傘を片手に錦糸町のすみだトリフォニーホールに向かった。新日フィルの定期演奏
会、今回のプログラムはベートーヴェンとワーグナーである。

<プログラム>
1.ワーグナー 「さまよえるオランダ人」序曲
2.ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番
3.ワーグナー 「ニーベルングの指輪」より
(1)「ラインの黄金」より「ワルハラへの神々の入城」
(2)「ワルキューレ」より「ワルキューレの騎行」
(3)「ジークフルート」より「森のささやき」
(4)「神々の黄昏」より「自己犠牲と救済の場」
指揮;C.アルミンク ピアノ;P.アンデルシェフスキ

会場は天気のせいか(?)8割~9割の入り具合だった。2時半過ぎからアルミンク
のプレトークが始まる。ワーグナーの「ニーベルングの指輪」の「思想」について
15分ほど通訳付きの話があったが、これはなかなか難しかった。


1.定刻の3時過ぎ、オーボエの古部さんを先頭にオーケストラが入場。1分後、コン
マスの崔さんが茶髪のバッハみたいな髪型で入ってきた。長身のアルミンクが登
場。さっそく「オランダ人」の序曲が始まった。真っ先に新日フィル自慢のホルン
が活躍。この日は井手さんと阿部さんが中心。弦はコンマスの崔さんがさかんに身
体を前後にゆする。ppの部分は女性的とさえいえる繊細さをみせた。このあたり
がアルミンクである。新日フィルは第1ステージから見事なアンサンブル、ブラボ
ーが飛んでいた。


2.ポーランド人とハンガリー人の両親の間に生れたアンデルシェフスキはまだ30台
であろうか。身長176cmくらい、シャツもスーツも黒のいでたちで登場。
第1楽章は新日フィルの柔らかい音で始まった。好調だ。ピアノがきれいな音で入
ってきた。どちらかといえばアシュケナージ的。オーボエの古部がうまい。曲はま
だハイドン、モーツァルトの延長線が感じられる。

第2楽章のラルゴは響きが美しく、ほどよい粘りをみせた。アルミンクはpppで
20cmは沈む、丁寧な指揮ぶり。オケにせよ合唱にせよ、pppはやはり生に限
る。

すぐ続けた第3楽章はアンデルシェフスキが集中力を発揮、ビビッドで分かりやす
い音楽を聴かせた。左手もよかった!終わるや3階を中心にブラボーの嵐となっ
た。私もブラボーを叫んだのはいうまでもない。
演奏が終り、2回ほど出入りを繰り返したソリストは、ピアノに向かうやいなやア
ンコールを弾き始めた。これがまたよかった。ショパンではないし、リストでもな
さそう。後で知ったがバルトークのハンガリー民謡だった。


3.「ニーベルングの指輪」ハイライトステージ。ひと言でいえばカラヤン的な演奏
だった。「カラヤン的」といえるだけでもたいしたものだろう。たとえばウィー
ン・フィルの「録音」よりもこの新日フィルの「生」の方がいい。ホルンが期待に
応えていた。「騎行」は明るい、颯爽としたイメージ。朝比奈の時はもっとひきず
るような付点だった。

「ささやき」も大変に美しい音楽。「救済の場」では文字どおり魂が上に上がって
いくようだった。(もっとも美しいけれど、魂が揺さぶられることはない。)長い
デクレッシェンドで終わると指揮者とオーケストラが10秒以上固まった。

美しいワーグナーであった。--岡本太郎は「芸術は『きれい』であってはならな
い」と言ったけれど・・・・・・。

終演後は、クラリネットの澤村さん(女性)が真っ先に立たされ、ついでフルート
の白尾さん、オーボエの古部さん(おふたりはいつも素敵。)はじめファゴット、
ホルンと立たされていった。新日フィルの管楽器はブンダバー!である。

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