上岡(かみおか)といえば、私は龍太郎を思い出す。関西にいたときはよくテレビ
で観たものである。彼は引退してしまったが、昭和17年生まれだからまだ70歳前で
ある。
一方、クラシックの世界で上岡(かみおか)といえば、今や敏之しかいない。彼は
昭和35(1960)年9月生まれの48歳。神奈川の名門湘南高校から芸大を卒業。芸大
では成績優秀者に与えられる安宅賞を受賞している。(ちなみに安宅賞の安宅は、
安宅産業の安宅さんである。)ドイツに渡り、現在の地位(ヴッパータール市音楽
総監督)をたたき上げた。このところオファーが相次ぎ、だいぶ先まで予定が入っ
ているらしい。
その上岡が新日フィルの定期に初めて登場するので、4月29日(水、昭和の日)楽
しみにトリフォニー・ホールへ出かけた。新日フィルの定期は、通常同じ指揮者で
あってもサントリーホール・シリーズとトリフォニー・シリーズでは別のプログラ
ムを組むものであるが、上岡は新日フィルと初顔合わせということで、本人の意向
からまったく同じプログラムをサントリー、トリフォニーの3日間連続で演奏し
た。29日はその最終日であった。
<プログラム>
1.R.シュトラウス 組曲「町人貴族」 ピアノ;若林顕
2.R.シュトラウス 家庭交響曲
1.は弦楽5部+ピアノ、ハープ、管楽器、ティンパニ等であるが、弦楽器は16人の
小編成であった。珍しい曲で、無論私は初めて聴いた。15時ちょうどにオーケスト
ラが登場。しばらくしてコンマスのチョイ・ムンスが拍手に迎えられ入場した。チ
ューニング後の静けさの中、大きな拍手に上岡が微笑みながら入ってきた。身長
172cmくらいであろうか。さほど大きくはない。さて演奏はR.シュトラウスらし
く、洒落て、油が抜けた、香りあるものだった。途中、agogikのある3拍子。日本
人は苦手だろう。カラヤンがうまそうな曲である。中盤ではオーボエからフルート
へメロディックな旋律が流れる。また4拍子の行進曲ブラスの世界も出現した。終
盤は息つく暇もなく盛り上がった。
2.は父、母、子供を題材にとった一楽章制の交響曲である。昔、サヴァリッシュ/
N響でR.シュトラウスを聴いたのはこの「家庭交響曲」ったか「英雄の生涯」だ
ったか。この交響曲の初演は1904年だから明治37年のことである。50分の一楽章制
だからアナリーゼも難しいだろう。
20分間の休憩後のステージに登場したオーケストラは、トリフォニーのステージ一
杯、人数を数えたら104人であった。
演奏は、チェロ(川上徹ほか)、オーボエ(古部賢一)、オーボエ・ダモーレ(浅
間信慶)、ホルン(井出詩朗他)、フルート(白尾彰他)等々R.シュトラウスら
しい活躍場所があり、すばらしいものであった。上岡の指揮は、十八番なのであろ
う、R.シュトラウスを楽しむように、片足立ちになったり、かかとを浮かせた
り、やや気障ともいえる指揮ぶり、ちょっと30年前の小澤征爾を彷彿とさせるもの
だった。(小澤征爾は、N響事件では、伝統あるN響から指揮ぶりまで批判された
ものである。)最後の2分間、クライマックスでは動きまくって終演となった。と
同時に大きなブラボーがいくつも寄せられた。上岡はいかにも嬉しそう。いったん
引っ込んだ後に登場し、ホルン、サックス、トランペット、トロンボーン・・・・・・と
立たせるだけ立たせ、主役はオーケストラなんですよとばかり、またさっと引っ込
んでしまった。オペラも含め、今後も活躍が楽しみな上岡(敏之)の熱演であった。
新日フィルはいつもうまい!
で観たものである。彼は引退してしまったが、昭和17年生まれだからまだ70歳前で
ある。
一方、クラシックの世界で上岡(かみおか)といえば、今や敏之しかいない。彼は
昭和35(1960)年9月生まれの48歳。神奈川の名門湘南高校から芸大を卒業。芸大
では成績優秀者に与えられる安宅賞を受賞している。(ちなみに安宅賞の安宅は、
安宅産業の安宅さんである。)ドイツに渡り、現在の地位(ヴッパータール市音楽
総監督)をたたき上げた。このところオファーが相次ぎ、だいぶ先まで予定が入っ
ているらしい。
その上岡が新日フィルの定期に初めて登場するので、4月29日(水、昭和の日)楽
しみにトリフォニー・ホールへ出かけた。新日フィルの定期は、通常同じ指揮者で
あってもサントリーホール・シリーズとトリフォニー・シリーズでは別のプログラ
ムを組むものであるが、上岡は新日フィルと初顔合わせということで、本人の意向
からまったく同じプログラムをサントリー、トリフォニーの3日間連続で演奏し
た。29日はその最終日であった。
<プログラム>
1.R.シュトラウス 組曲「町人貴族」 ピアノ;若林顕
2.R.シュトラウス 家庭交響曲
1.は弦楽5部+ピアノ、ハープ、管楽器、ティンパニ等であるが、弦楽器は16人の
小編成であった。珍しい曲で、無論私は初めて聴いた。15時ちょうどにオーケスト
ラが登場。しばらくしてコンマスのチョイ・ムンスが拍手に迎えられ入場した。チ
ューニング後の静けさの中、大きな拍手に上岡が微笑みながら入ってきた。身長
172cmくらいであろうか。さほど大きくはない。さて演奏はR.シュトラウスらし
く、洒落て、油が抜けた、香りあるものだった。途中、agogikのある3拍子。日本
人は苦手だろう。カラヤンがうまそうな曲である。中盤ではオーボエからフルート
へメロディックな旋律が流れる。また4拍子の行進曲ブラスの世界も出現した。終
盤は息つく暇もなく盛り上がった。
2.は父、母、子供を題材にとった一楽章制の交響曲である。昔、サヴァリッシュ/
N響でR.シュトラウスを聴いたのはこの「家庭交響曲」ったか「英雄の生涯」だ
ったか。この交響曲の初演は1904年だから明治37年のことである。50分の一楽章制
だからアナリーゼも難しいだろう。
20分間の休憩後のステージに登場したオーケストラは、トリフォニーのステージ一
杯、人数を数えたら104人であった。
演奏は、チェロ(川上徹ほか)、オーボエ(古部賢一)、オーボエ・ダモーレ(浅
間信慶)、ホルン(井出詩朗他)、フルート(白尾彰他)等々R.シュトラウスら
しい活躍場所があり、すばらしいものであった。上岡の指揮は、十八番なのであろ
う、R.シュトラウスを楽しむように、片足立ちになったり、かかとを浮かせた
り、やや気障ともいえる指揮ぶり、ちょっと30年前の小澤征爾を彷彿とさせるもの
だった。(小澤征爾は、N響事件では、伝統あるN響から指揮ぶりまで批判された
ものである。)最後の2分間、クライマックスでは動きまくって終演となった。と
同時に大きなブラボーがいくつも寄せられた。上岡はいかにも嬉しそう。いったん
引っ込んだ後に登場し、ホルン、サックス、トランペット、トロンボーン・・・・・・と
立たせるだけ立たせ、主役はオーケストラなんですよとばかり、またさっと引っ込
んでしまった。オペラも含め、今後も活躍が楽しみな上岡(敏之)の熱演であった。
新日フィルはいつもうまい!
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