ホリヤン先生から「2023年4月9日に《マタイ受難曲》をやりま
す」とご連絡いただいたのはいつのことだったろう。もしかした
ら一昨年のことではなかったかしらん。
当時は、新型コロナの見通しも不透明で、少なくとも23年度の手
帳も発売になっていなかった。
合唱団にとっては、どこも、この3年間は「受難」の時だった。
オラトリオ東京の演奏会が、ノーマスクで、いま無事に、かつ成
功裏に終わり、マエストロ以下皆さん喜んでおられることだろう。
お客さまもほとんど満席に近く入っていた。
4月9日(日)、堀俊輔指揮、オラトリオ東京のJ.S.バッハ「マタ
イ受難曲」を聴く(於紀尾井ホール、12時開場、13時開演)。
この土日で音楽会三つ!
この日は、大阪からホリヤン先生の「ファン」(小学校の同級生
?)も駆けつけたという。
マチネの演奏会は通常14時開演だが、この日は要注意の13時開演。
しかも全席自由席のため、「一番乗り」を目指そうと10時過ぎに家を出る。開
場の40分前に着くと、早くも3人が並んでいた。
文庫本を読みながら待っていると、11時40分ごろ「5分前にお集まりください」
と、整理券が配布され(32枚?)、「4番」の整理券をもらう。
時間に戻ると、「これから整理券順にお並びください」、「え~、いつ整理券
を配ったんですか?もらってないんですけど(聞いてないよ~)」という騒ぎ
に(「整理券を配布します。整理券のない方は順にお並びください」とでも張
り出しを出しておけばよかった?)。
12時過ぎに入場開始。私はまっさきに2階に上がり、正面最前列をとった。
13時ジャストに白い衣裳の児童合唱が入場(こちらは楽譜を持っ
ていない。)、黒い衣裳の合唱団(譜面持ち)、オケが続き、コ
ンマスがそろったところで、全員のおじぎ。
続いてソリストと堀さんが入場。やや下手側で堀さんが左手でソ
リストに手を挙げると、より一層の拍手となった。
指揮者の(ステージに向かって)右横にエヴァンゲリスト。
オケと合唱団の間、中央にイエス。
ソリスト女性陣は下手側、男性陣は上手側に陣取り、歌う時にス
テージ前方へ移動する。さすがプロだけあって、段取りどおりに
進行する。
<プログラム>
J.S.バッハ マタイ受難曲 BWV244 全曲
指揮・音楽監督:堀 俊輔
エヴァンゲリスト:畑 儀文(Ten.)
イエス:大川 博(Bass)
Sop.:隠岐彩夏
Alt.:加納悦子
Ten.:五郎部俊朗
Bass、ユダ、ペトロ:大沼 徹
女中Ⅰ、ピラトの妻:北條加奈
女中Ⅱ:森 朋子
証人Ⅰ:林田素子
ピラト、証人Ⅱ、祭司Ⅰ:浜田広志
大祭司、祭司Ⅱ:武井康史
チェロ/ヴィオラ・ダ・ガンバ:島根朋史
オルガン:上尾直毅
合唱:オラトリオ東京
第1コーラス:S8、A5、T5、B4(22人) 向かって左側
第2コーラス:S6、A4、T3、B4(17人) 同右側
児童合唱:ゆりがおか児童合唱団
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
神奈川フィルコンサートマスター:大江 馨
ゲストコンサートマスター:東 亮汰
公演アドバイザー・字幕:礒山 雅
<マタイ受難曲>No.は新バッハ全集のもの。
第1部
1.合唱「来なさい、娘たち」
堀さんは指揮棒を持たない指揮。静寂の中、さっと両手を振り出
すと、すばらしい、オケの「音」がホールに流れ出した。これだ
からLIVE(ライブ)はたまらない。思ったより早いテンポだ。
1分少々で合唱が入ってくる。居合い抜きのように左手をスパッ
と出すと第1コーラスが「ご覧」、同様に右手で第2が「誰を」。
途中から入る児童合唱もすばらしい(児童は全員暗譜!)。
イン・テンポの早目の合唱--第1曲のテンポが全体を決定する
かのようで、早目のテンポは「バロック」そのものだ。
この「厳しい合唱」は7分を切っていた(ちなみにクレンペラー盤
では11分47秒)。
この調子で書いていくと終わらないのでほどほどに(笑)。
2-3「十字架の死の予告」
いよいよエヴァンゲリスト畑さんの登場。畑さんはやや柔らかい
声(余談だが、関西に住んでいたら畑さんをもっと聴けるのだが)。
イエスの大川さんは身体全体から朗々とした声を響かせる。
コラール「どんな罪を犯されたのですか?」は第1曲と異なり、比
較的柔らかい表情で迫ってくる。究極の調性音楽というか和声進
行だ。
4「祭司長たちの合議」
エヴァンゲリストが「物語」を進めていく。出ずっぱりの大役だ。
4-6「香油をそそぐベタニアの女」
なんといっても加納さんのアリア「懺悔と悔恨」(時間にして5分
半ほど)がすばらしい。rit.もピッタリと合う(加納さんを初めて
聴いたのは十数年前だが、いつも期待を裏切らない。CDならこ
のアリアを繰り返し聴くだろう)。
7-13「ユダの裏切り」
上手から大沼さん(ユダ)がチラッと登場。ワンフレーズだが、
調子がよさそうだ。
下手から隠岐さんが登場。生の隠岐さんは初めて(実はご主人を
先に聴いている[→こちら]。彩夏さんは2月にCDも出した。)
だが、活躍中とあって、すばらしいアリア「血を流されるがいい」
だ。
「私こそ償うべき者です」のコラールも自然に子音がそろって、
合唱団の実力が窺い知れる。譜面持ちとはいえ歌い込まれている
印象だ。
隠岐さんの「この心をあなたに」のアリアも「余裕」を持って歌
う。
14-17「オリーブ山にて」
何度となく現れる「受難節コラール」(合唱)がすばらしい。
18-25「ゲッセマネの苦しみ」
五郎部さんが登場。声が明るめで若々しい。合唱はここでは座っ
たままだ。
26-29「捕縛」
最後は児童22人も含めた、「おお人よ、お前の大きな罪を嘆くが
よい」の合唱のうちに前半が終わる。
拍手が続く中、児童合唱指揮の藤井大輔さんも紹介される。
第2部
30
まずは「私のイエスが行ってしまわれた」を歌う加納さんのアリ
アを聴く。その表情を(オペラグラスで)見ていたら、畑中先生
の「音楽で鍛えられた顔を見よ」という言葉を思い出した。
31-37「大祭司の審問」
証人たちが登場。ヴィオラ・ダ・ガンバにリードされる五郎部さ
んのアリア「耐え忍ぼう!」では、堀さんが指揮台から降りてい
る。ヴィオラ・ダ・ガンバの音色もすばらしく、思わず拍手しそ
うになった。
38-40「ペテロの否認」
ペテロ(大沼さん)が「知らない!」と言い切るところに感情が
入る。
加納さんのアリア「憐れんでください」にコンマスのソロでは、
堀さんはほとんど暗譜の指揮。
加納さんの腹式呼吸、legato、共鳴のすばらしさは超絶的だ。
41-43「ユダの後悔と末路」
2分半ほどの大沼さんのアリア「私のイエスを返してくれ!」に
も押し出しのよさに惹きつけられる。
43-50「判決」
隠岐さんのアリア「愛の御心から救い主は死のうとされます」に
は思わず涙。
50-54「鞭打ち」
加納さんのアリア「この頬の涙が」に会場が静まり返る。
堀さんは、合唱「ごきげんよう、ユダヤ人の王様!」では大きな
指揮。イン・テンポで気持ちの入った合唱だ。
55-57「十字架の道」
大沼さんの、長めのアリア「来るのだ、甘い十字架よ」にもしび
れる。
58-60「十字架上のイエス」
ここでの合唱「お前が神の子なら降りてこい」は、指揮ととも
に熱が入る。これからは息つく暇もないドラマが続く。
61-63「イエスの死」
いよいよイエスの「エリ、エリ、ラマ、アザプタニ」の場面。続
く、座ったままで歌われるコラール「いつか私が世を去るとき」
に感動せざるを得ない。
合唱「本当にこの方は、神の子だったのだ」のdim.が意味を持っ
て聴こえてくる。
63-66「降架と埋葬」
大沼さんのアリア「私の心よ、おのれを浄めよ」は、最後まで好
調をキープ。
67-68「哀悼」
最後は「私たちは涙を流しながらひざまずき」で畑さんを除く全
員合唱。堂々とした堀さんもなおいっそう大きく見える。
堀さんも合唱も含めた全出演者も、最後までコンセントレーショ
ンが切れない演奏だった。
演奏終了後は10秒、15秒と、会場も含めた全員が固まり、堀さん
が正面を振り返ったところで、大拍手となった。
堀さんは6人のソリストに自ら拍手。次々に拍手を送りながらカー
テンコールが続く。当方も手を高く上げて拍手を送る。
島根さんはヴィオラ・ダ・ガンバとチェロを持って拍手に応えた。
その頃には、堀さんもすっかり「好々爺」の表情だった。
あらためて、新型コロナの「受難」を乗り越えた、当「イースタ
ー」の演奏会に心から拍手を送りたい。
プログラム(表紙)
それにしても、J.S.バッハはすごい大作を書き上げたものだ。
「J.S.バッハは小川にあらず」と言ったのは?
7:13 朝のシャクナゲ
10:12 満開の八重桜
10:28 あざみ野
11:03
11:05
11:13 四ツ谷着
11:15 四ツ谷駅前
11:15
11:15
11:16
11:17
11:17
11:18 上智大学 オリエンテーション?
11:20
11:21 紀尾井ホールに到着
11:21
11:37
11:39 整理券
11:39
11:40
11:41
11:42
11:44
11:59
12:03 整理券順に並ぶ。持ってない人はそのまま後ろに。
12:04 座席より 1階が人気?
12:40 2階
14:18 第1部が終了。20分間の休憩へ。
14:19 同好の士Iさんと談笑
14:22
16:28 お開き
16:29
16:30
16:31
16:32 差し入れも「復活」
16:32 出待ちの人々?
16:36
16:37
16:47
16:50
16:54
17:26
17:40
(誤字・脱字等はおって訂正します。)
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