人生ブンダバー

読書と音楽を中心に綴っていきます。
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伊藤桂一『静かなノモンハン』(講談社文芸文庫)

2017-01-13 05:00:00 | 読書

昨年も多くの方が鬼籍に入られた。その中で、ハッとしたのが、渡辺
和子さん(12月30日死去。89歳)と藤原ていさん(11月15日死去。
98歳)、そして伊藤桂一さん(10月29日死去。99歳)だ。

渡辺和子さんは、元ノートルダム清心女子大学学長で、『置かれた
場所で咲きなさい』(幻冬舎、平成24年刊。未読)の著者として有名
だった。

同書が発売された頃かしらん、渡辺さんが二・二六事件で暗殺され
た渡辺錠太郎教育総監の次女であることを知った。


藤原ていさんは、言わずと知れた名著『流れる星は生きている』の
著者である。これについては、あらためて「いつか」取り上げたい。


一方、伊藤桂一さんは、大正6(1917)年生まれ(--父の1歳年
長だ)、三重県四日市市(旧神前村)出身の小説家だ(*)。
 *四日市市出身の小説家には、他に丹羽文雄(1904-2005)、
  田村泰次郎(1911-1983)などがいる。丹羽、田村両氏は高
  校の大先輩だ。

伊藤桂一さんは、今まで読んだことがなかったが、年末に『静かなノ
モンハン』(講談社文芸文庫)を購入した。

本書は、ノモンハン事件に参戦した3人からヒアリングした事実をベ
ースに書かれた、「聞き書き」風の、一種のノンフィクション・ノベルだ。
原書は、昭和58(1983)年の初版である。

3人の聞き書きをベースにした話口調がすばらしい。


本書の「参考資料」として付いている、「対談 ノモンハン 一兵卒と
将校・下士官 司馬遼太郎/伊藤桂一」がおもしろい。

この対談は、以下の書き出しで始まっている。
 司馬 伊藤さんがお書きになった兵士たちは、無告の、自分自身
 では世間に訴える言葉を持っていない人々ですね。それは、どう
 いう心づもりではじめられたのですか。
 伊藤 ぼくの場合、たまたま自分が生き残ったものですから、責任
 とか使命感とかいったものに、どうしても律しられますね。

伊藤さんは、本書で第34回芸術選奨文部大臣賞、第18回吉川英
治文学賞に輝いている。



伊藤桂一『静かなノモンハン』


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