みちのく童話賞のスタッフ、ちばるりこさまと田沢五月さまが所属する岩手児童文学の会。
同人誌『物語のゆりかご 第3号』を、
会長をされているちばるりこさまから送っていただいた。
表紙の白猫ちゃんは、ちばさまのお家のコットンちゃん。
かわいいなあ。
ちばさまのお話のひとつめは「たんぽぽをふまない」。
友香は、ピョンピョンと不自然に歩いていたあゆみの後ろを、かばうように歩いていた。
友香が横に立つと、あゆみが急に手でおしてきて転びそうになった。
あゆみはたちすくんでいる。そこにはたんぽぽが。
ことばが上手く話せないあゆみは「う……ごめ。友香ちゃんをおしてごめ」と言う。
あゆみが不自然に歩いていた理由は、たんぽぽをふまないためだったのだ。
短いお話なのに、読後に心があたたかくなった。
ふたつめは「ふうちゃんの『あっ』」。
これは昨年末、AIYAの会で合評させていただいたお話。
スズラン学級のふうちゃんは、音楽の時に詩織が迎えに行くと「あ!」という顔をする。
ふうちゃんは場面緘黙で、だれもふうちゃんの声を聞いたことがない。
でもふうちゃんの「あ!」という顔にはいろいろあって、
うれしいな、おどろいた、おいしそう、そうだよ……。
詩織がふうちゃんの家に行っても、ふうちゃんはたくさん遊ぶけれど話さない。
詩織が帰ろうと「またあしたね」と言ったとき、「また、あしたね」とかわいい声が聞こえてきた。
そしてまた「あ!」という顔に。
ばれちゃったというふうちゃんの「あ!」、かわいかったな。
田沢五月さまのお話は「かごやんの夢」。
かごやんは細く削った竹でしっかり編まれたしょいかご。
山の村のばあちゃんにしょわれて働いていたが、ばあちゃんが倒れて古道具屋に来た。
古道具屋では、縁起がいいのはオレが一番だと、狸やフクロウの置物、招き猫がケンカしていた。
店のおじさんにじゃまだといわれたかごやんは、「もうすてられる」とメソメソ。
夜、狸が「面白い話をしてくれお礼はするから」と言う。
かごやんは山の村で体験した面白い話をしてあげた。
店の外に出されたかごやんは、ついにゴミの日になり捨てられる運命に。
ところが小学生の女の子が転んで歩けなくなり、友人たちと先生が困っていた。
そのとき、狸の置物は倒れこんでかごやんを転がす。
かごやんを見た先生が「じょうぶそうなしょいかごね」と言うと、
おじさんは「すてるつもりだったんだあげますよ」と。
かごやんは女の子を入れて先生にしょわれ、学校に行くと人気者になった。
しみじみと面白いお話、さすが田沢さまだった。
一編毎につけられたイラストもすてき。
とくにかごやんのイラストは、味があって丈夫そうで秀逸だった。
同人誌、こうして残していくことって、ほんとうに大切だと思う。
ちばさまは岩手芸術祭のお仕事もあった上にこの編集。
大変だったはず。おつかれさまでした!
そしてすてきな同人誌をありがとうございます。
岩手児童文学の会、みなさまのご活躍をお祈りしています!
昨日はいただいた本を読んだり作品を直したり。
こういう直しは、楽しすぎて困る。
と思っていたらまた厳しいご指摘をいただき、気を引き締めたのだった。
今日もびよよよ〜〜ん (*^ __ ^*)