山裾のヒメギフチョウさんも気になるが、街にサクラの花が咲いている数日間は、心も体も桜色に染まりたくてそわそわしてしまうのは、この国に生まれたどうしようもない性なのだろうか。
昨日は薄曇りのうえ暖かく絶好のお花見日和だったので、スーパーの酒類コーナーで家飲み用にと秋田の「爛漫」一升パックとお花見用にこれも一合紙パック酒を2個とイカのおつまみを買って、河原の桜の木の下のベンチで、一合カップ「お一人様花見」を楽しんだ。「爛漫」は名前に引かれ、この花の時季だけの酒としている。
そして酔いながら聞く音楽は、たいていモーツァルトのピアノ協奏曲なのだ。
9番から23番あたりまで、彼の円熟期(といってもまだ20代)の作品群が、どういうわけか桜の季節のこころに染みてくる。ウィーン生活で自作自演のピアノ協奏曲の予約演奏会が評判となり、彼の精神状態も経済状態もこの頃が「花盛り」だったことが、これらの作品を魅力的なものとしているのだろうか。しかし「花盛り」といっても、明るさだけではなくところどころ「愁い」を秘めているところなんか「春の愁い」に通じるものがあり、そこが彼の作品の魅力なのかもしれない。
「お一人様花見」を楽しむ前に、東北大学片平キャンパス(旧制二高跡地)の満開の桜を少し写真に収めた。スズメたちが、サクラの花の一個一個を摘まんでは落としていた。花の花床の蜜だけ吸ってポイ捨てしているらしい。もう彼らにとっては桜が絶好のスィーツなんだろうが、糖分を過剰に摂取して糖尿にならないかちょっと心配である。
さあ、群れで行動していたスズメたちも桜の蜜で「滋養」をつけたら恋の相手を見つけての家づくりかな。そういえば桜の花ではなく、枯草をくわえてどこかに飛び去るスズメもいた。
片平の桜色風景