金曜日と土曜日の両日、西表に渡り金曜日に後良川(シイラガワ)、土曜日に前良川(マエラガワ)に遊ぶ。7月に購入したばかりのココペリ社製のパックラフトだが、ベストシーズンとなった11月にはじめて西表島の川にデビューである。
ベストシーズンと言っても、暑さを凌げるシーズンということで、ほんとは6月から7月ころにアカショウビンやサンコウチョウを聴きながら、サガリバナの浮いた朝の川面を行くのがいいのだろう。来年の6月は八重山に在住していないので、チャンスを逸したが、いつかはそのときを迎えたい。
で、そのパックラフト(まだ、名をつけていない)の人の歩く半分程度のスピード感がいい。
マングローブの川は、上流から河口に流れているという感覚はなく、潮が満ちてくれば上流に水かさが増してヒルギたちの根をやさしく隠し、潮が引けば、水面の落ち葉が河口に向かって僅かに移動することで、川であることがやっと確認できる程度の穏やかなフィールドなのだ。
やや濁った水の中を、さまざまな魚の幼魚が行き交い、岸辺にはミナミトビハゼやコメツキガ二などが干潟でくつろぎ、彼らを狙ってサギやチドリの仲間がせわしく歩き、飛び交う。やや上流にせり出した木の枝には、さっきからカンムリワシがじっと佇んでいて、時折鋭い目を光らせておいしそうな獲物を探しているかのようだ。その下をゆっくりと漕ぐヒトなど意に介さないことが、この鳥の鷹揚というか、鈍感といおうか、他の野生にはない落ち着きというものがある。
静かだ。動力を使わず、誰とも競わず、ひたすらゆっくりとパドルを交互に上下させて移動するパックラフトは、想像以上の遊び道具だ。オイラの求める旅は、この静けさというものを感受することにあるのかな。ヒトが生まれる前の原始の静けさ。
このあと、ヒナイ川、西田川、クイラ川など比較的短いマングローブの川を体験し、3月までにはもう一度ナーラ川や浦内川と仲間川といった大河に挑みたいな。風と潮のころあいを読んで、幾度か、西表島に渡ることになる。
頭上のカンムリワシ
シイラ川上流方向を望む。 奥に見えるのは古見岳か?
マエラ川の広い河口を行く。
突き当りを大きく左折して原始へ誘う
マエラ川の奥には、季節はずれのサガリバナが落ちていた。