日々雑感「点ノ記」

備忘録(心の軌跡)

おかしな理屈

2009年06月22日 | インポート
佐賀県の上峰町議会で、29歳の武広勇平町長が提案した「町長の報酬を半額にする条例改正案」が、賛成少数で否決されたと新聞記事が伝えていた。

今年の3月の選挙で町長になった武広氏の公約だったという事で、現行の月額報酬70万円を、自分の任期中には半額の月額35万円にするという議案だったそうだ。

反対討論で「他自治体で(首長の)給料を減らせという声が上がったらどう責任をとるのか」という発言をした町会議員氏がいたそうだ。

あきれてしまった。

もしも他の自治体にて同様の議案が提出されて可決したとしても、それはその自治体の首長や住民や議会における意志であって、上峰町の29歳の町長さんの責任などあるわけがなく、そのような発言をした町会議員の資質を疑ってしまう。

公職選挙法違反(寄付行為の禁止)で前町長が失職した事に伴う町長選で、対立候補の前副町長を、町議10人中7人が支援していたそうだ。

その延長線上の反対ではあろうが、言うに事欠いて「責任云々」をいうのは、反対する理由としては全く筋が通っていない。

町長の報酬を半額にすれば、年間で500万円程度の人件費が削減でき、その分を月額報酬12万円程度の役場内の臨時雇用に充当することにすれば、3名ほどの町民を新たに常時雇用できる。

おそらく29歳の町長さんは、そのようなことも想定していたのかもしれないし、35万円の月給というのは地方の田舎においては比較的高給の部類に入る。

国が国民の平均年収が700万円とかという数字を公表しているが、そんなのは公務員と一部の一流企業の年収の平均値であって、私たちのような大多数の一般庶民の年収はその半分から3分の1より少ない程度であろう。

それに比べれば、月給35万円とプラスボーナス4か月分程度であれば、地方の田舎では比較的高給であるといえる。

だから、武広町長が提案した月額35万円の町長報酬という金額は決してとんでもなく安い数値ではない。

むしろ月額70万円という金額が高すぎるという感覚の方が、私たちのような一般庶民にとっては健全な感覚ではなかろうか。

特別職公務員としての首長や議員の報酬が高すぎることや、自治体職員の報酬が高すぎることは一般庶民の大多数が感じていることだと私は思う。

鹿児島県阿久根市の竹原信一市長は、そのような主張をして過半数の市民から支持され、再選を果たされた。
阿久根市民の過半数の住民の方たちの良識の結果だ。

自治体のトップに立つ人にまともな金銭感覚さえあれば、その自治体は合併などしなくてもそれなりに運営できるはずだ。

選挙の時に「住民(庶民)の目線に立って」という主張をよく聞くが、まず金銭感覚から庶民感覚になっていただきたいものだ。

おかしな反対討論をした上峰町議会議員氏は、典型的な既得権益受給派の感覚しか持っておられないように感じてしまう。

しかし、そのようなおかしな理屈を公式の議会の場で発言する議員を選んだのも、その地域の住民である。

選ぶ側の判断能力が選挙では問われている。

上峰町長の武広勇平氏には、当初の公約であり自身の信念である主張を何とか貫いて欲しいと思う。


豊田かずき