雲仙市のホームページで、雲仙市の紹介>雲仙市議会を開くと「議会からのお詫び」という文章が新しく記載されております。
これで例の雲仙市議会の珍事は、一件落着という事にするのでしょうか。
「議会運営研修時の議員の不適切な行為に関するお詫び」という題での文章で、長崎県雲仙市議会の総意として、誓いの言葉が綴られておりますが、「深く反省しております」という表現があるだけで、「申し訳ありませんでした」という表現がどこにも見当たりません。
一般的に、お詫びをする時には、「・・・したことは深く反省しております。申し訳ありませんでした」というような文章構成になるはずだと私は思うのですが。
反省という言葉を辞書で引くと、「自分の言動をかえりみること」と出ておりますので、例の件に関して、雲仙市議会は、自分たちの言葉と行いをかえりみましたよという事ですが、お詫びの言葉が表明されておりません。
反省はしたけれども、申し訳なかったとは思っていないという意味合いにも受け取れます。
私は、これが議会の総意の本質であろうと解釈しておりますし、それで良いと思います。
要するに、議会の総意として謝る必要は無く、謝らなければならないのはスーパーコンパニオンを手配する事を企画した人と、議員としての自覚を失い野球拳に興じた人であるはずですから。
結局、事実の開示をしないままに、3月議会が終わり、おそらく罰則規定などないような議員の倫理義務を謳った文書を作って、一件落着としようとしているような姿勢を感じます。
先日、「この件で一番悪いのは誰だと思いますか」という匿名のメールをいただきましたが、私は、私宛のメールは封書による手紙と同列に解釈していますので、匿名でのメールには返答をしないことにしております。
どこの誰だか判らない人から手紙が来ても、通常の場合、返事は書かないですよね。
しかし、その事については私なりに考えてみました。
見方を少し変えて、このような決着の付け方で、一番得をするのは誰かという事が分かれば、その答えは出るのではないかと思います。
議会議員全員に責任を負わせ、その責任の所在を薄める事によって得をする人は、その地域への研修を最初に企画し、宿泊先の懇親会にスーパーコンパニオンを呼ぶ事を企画した人ならびに懇親会の席で野球拳に興じた人だと思います。
また、もっと穿った見方をすれば、その様な事をした当事者たちの中に、議会全体を動かすような勢力の人物がいて多数派を形成しており、少数派の意見が抹殺されているような状況を想像する事も出来ます。
お詫びの文章の中にありますように「この反省に立って、これまで全議員で、多くの協議を重ねて参りました。」ということですので、おそらくこの件に関する対応について、各議員から、いろいろな意見が出されたのだろうと思います。
何回もこのブログで同じような事を書きますが、今回の事は、雲仙市議会全体で責任を取るべき内容ではなかったと私は思っております。
議員全員の報酬カットということを容認したという事は、あたかも議員全員での不祥事であるかのごとき印象を対外的に与え、結果的に雲仙市のイメージを失墜させたと考えられ、議会の総意としての選択肢としては誤りだったと私は思っております。
ただひとつだけ、今回の事で雲仙市議会の功績としてたたえたい事があります。
それは、全国の自治体議会議員の研修旅行や懇親会のあり方についての教訓を全国的に広めて、警鐘を鳴らしたという事です。
その情報が正しいのかどうかは議会側からの事実の開示が無いので分かりませんが、野球拳に興じたのは、議員二名と、同行した議会事務局職員一名の合計三名だったらしいというような情報もネット上で流れております。
もし仮に、それが事実とすれば、この件の幕引きの流れとしては、その議会事務局職員にも何等かの処分を課さなければならないはずだと私は思います。
そうなれば当然の事ながら、雲仙市職員(議会事務局職員は、市職員の中から議会への出向のような形になっており、給与の出所も議会費の中から出ていて、市の職員とは異なりますが)の不祥事でもあるわけですので、そのような事の諸々を隠蔽するための今回の決着のつけ方なのかなとも受け取れます。
議会議員の中からは、事実をなかなか聞き出せないというようなニュアンスのネット上での書き込みもあるようですが、自分たち内部の出来事すら開示できないような議会に、果たして執行機関の諸事を調査して監視していく事ができるのだろうかという事を感じてしまいます。
議員全員の報酬カットとお詫びの文章により一件落着とするのでは、今回の件に関しては議会の責任を果たしたとは言えないのではないかと私は思います。
以下に、このようなものを目にする機会は一生のうちに何回もあることではないと思いますので、雲仙市のホームページ上に記載された「議会からのお詫び」の全文を転記して、記録として残しておきます。
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議会からのお詫び
■議会運営研修時の議員の不適切な行為に関するお詫び
新聞やテレビなどで報道された「議会運営研修時の不適切な行為」は、雲仙市民ならびに雲仙市出身の皆さまを始め多くの方々に大きな驚きと失望を与えてしまいました。
また、これまで各方面から多くの疑問や批判的な意見をいただきました。
私たちも、今回の不適切な行為は、これまで私たち議員に託していただいた期待や希望を打ち砕いた行為であったとして深く反省をいたしております。
この反省に立って、これまで全議員で、多くの協議を重ねてまいりました。
その結果として、今回の不適切な行為は、この研修に参加した全議員が、事の重大さを改めて認識するとともに、謙虚に反省すべきであるとの結論に至りました。
言うまでもなく、私たち議員は常に公人としての立場を忘れることなく、責任ある行動を取らなければなりません。
私たち議員は、今回の事を多くの雲仙市民ならびに雲仙市出身の皆さまをはじめ多くの方々にお詫びするとともに、一刻も早い信頼回復に努めて参ります。
更に、雲仙市民の信頼に値する高い倫理義務に徹し、政治不信を招く公私混同を絶ち、雲仙市民の非難を受けないよう常に良心に従い行動することを誓うものであります。
これまで、ご指摘ご叱正をいただいた多くの雲仙市民ならびに雲仙市出身の皆さまをはじめ多くの方々のご意見は、全議員が真しに受け止め、今後の指針といたす覚悟であります。
ここに改めて、議会の総意として誓うものであります。
長崎県雲仙市議会
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以上、雲仙市のホームページより転記。
雲仙市民の多くが本当に望んでいる事は、このような責任の所在をぼかしてしまうような反省文を公表することではなく、事の経緯に関する「事実の開示」なのではないでしょうか。
豊田かずき