川越だより

妻と二人あちこちに出かけであった自然や人々のこと。日々の生活の中で嬉しかったこと・感じたこと。

ダムは川を殺す

2009-10-06 12:13:12 | 自然と人間(震災・津波・原発事故)
 八ツ場ダムの建設中止に対する群馬県の知事や県議たちの発言を聞いているとこの人たちは金に目がくらんで郷土を愛する心も失ったのかと思ってしまいます。

 群馬県は谷川岳・武尊(ほたか)山・赤城山・榛名(はるな)山・妙義山などの山々と利根川水系を中心とする河川に恵まれたところです。古来、上州(群馬)の人々はこの優れた自然の恵みに感謝し、誇りにして生きてきたのではないでしょうか。学校の校歌などにも謳われてきたはずです。
 
 近代に入って足尾銅山の開発に伴い、渡良瀬川が死の川になり、田園をも荒廃させました。戦時中は発電のため、戦後は東京の水瓶と言うことで利根川は源流部から中流部までダムだらけです。相次ぐ戦争や経済の高度成長を支えるエンジンとなって川は疲弊してしまったのです。

 そして今、八ツ場(やんば)ダムです。利根川水系の吾妻(あがつま)川を巨大なコンクリートのダムで堰き止めるというのです。残されていた清流の悲鳴が聞こえてきそうです。しかし幸いなことに、時が流れて治水・利水の両面からこのダムは不必要という判断ができるようになったのです。

 貴重な清流を殺さないで済むというのですから、僕はともかくホッとしました。ところが群馬県のお偉方がダムを作らないのは怪しからんと声高に主張し始めたのです。これはどういうことでしょう。
 自民党や公明党などゼネコンと結びついてダムを推進してきた勢力はともかくとして、日頃、地球温暖化問題に警鐘を鳴らすTVなどが加勢するのですから困ったものです。

 時の権力者に振り回されてきた川原湯温泉の人々の街づくりに必要なカネ(税金)を使うことは当然です。僕も何度かこの温泉を訪ねたことがありますが寂れ果てて無惨な印象を受けました。湖底に沈むことを免れた美しい渓谷とともにこの温泉が人々に見直される日が近いことを期待します。群馬県の昔からの名所が復活するのです。

 群馬県の知事といい、マスコミのディレクターといい、「ダムは川を殺す」という根本の認識ができない人たちのようです。川を殺すことは海と森を殺し、命の源を破壊することにつながります。
 いつの昔だったか、植林に励んだ気仙沼の漁師さんたちが「森は海の恋人」という言葉を教えてくれ、山・川・海がひとつながりで命を生み出し、育んでいることに気づかせてくれました。

 国政や県政の中心を担っている人たちが郷土愛や環境問題の重要さを子供たちに説きながら、目先のゼニのために川を殺すことに痛痒を感じないのですからご立派です。国政同様、県政からも撤退してもらいたいものです。利根川水系に今あるダムも本当に必要不可欠であるかどうかを点検し、撤去の道を探るのが愛郷心のある人の道です。

 「ダムは川を殺す」ことをやさしく説明してくれるブログがあります。ぼくの「倫理」ではこんなことも大切なテーマの一つでした。暇なときに読んでみてください。

 
  森の思想―緑のダムとコンクリートのダム
http://kataribe.greenproject.net/mizutotutitomidori-damu.htm

 森は海の恋人http://www.kakinomori.jp/