金正日の息子のジョンウンが朝鮮労働党中央委員と中央軍事委員会副委員長に就任し、金王朝の3代目になる見込みという。
●NHKのニュース http://www.nhk.or.jp/news/html/20100930/t10014305991000.html
日本のTVや新聞の報道や論説を見聞きしているとノーテンキそのものである。拉致被害者や日本人妻がこの王朝にさらわれ、閉じこめられ、行方さえわからないのに、第三者面をして床屋評論をしている始末である。
韓国の保守派といわれる「朝鮮日報」の社説を読んでみた。僕はこちらの方に遙かに親近感を抱いた。少なくとも自らに引きつけて課題を明らかにしている。
皆さんも「朝日新聞」の社説と読み比べて見てください。
三代世襲王朝の喜劇と北朝鮮住民の悲劇 (「朝鮮日報」社説 2010・9・29)
(略)
2008年に脳卒中で倒れ、健康不安説がささやかれている金総書記にとって、金日成主席が与えてくれた権威はもはや消え去っている。金総書記が今手にしているのは、国民の苦しみを無視し、国の力を搾り取った資源を軍に投入する先軍政治によって得た銃口しかない。
こうした状況に置かれている金総書記から、わずか27歳の息子に権力を継承させる作業が順調に進むことなど絶対にあり得ない。そのため世襲王朝による軍への依存はさらに深まり、すでに破たんした経済は出口を見出すことができないまま、さまようことだろう。軍での経歴がまったくない妹とその夫に取り巻きの使命を与えただけでは、到底信頼には値しない。
主体と自主の国の首領という金総書記が、先回の中国訪問に息子を同行させ、中国の指導部に紹介したのは、危険と隣り合わせの世襲体制構築に対する中国の後ろ盾を期待しているからだろう。しかし北朝鮮では今も、住民が飢えの苦しみから逃れるために、国境を越えて自らの身体を売るようなことが現実に起こっている。このような悲惨な状況を永遠に保障するような方法などどこにもない。金総書記が国を息子に引き継ぐことに成功したとしても、それは一時的なものに過ぎないだろう。そこで北朝鮮は内部の不満を外部に向けさせるため韓国に軍事的な挑発を仕掛けてくる可能性も高く、また北朝鮮の体制自体が予告なく急変するに違いない。われわれはこれらの動きに対して国家的な知恵と力を結集し、万全の備えをしておく必要がある。
われわれが回答を見出さねばならないもう一つの課題は、北朝鮮に住む同胞を、地獄のような貧困生活からいかにして救い出すのかということだ。
北朝鮮の同胞たちは、金王朝の権力継承の見返りとして、同時に苦痛を継承せざるを得ない立場に置かれている。数日前には米議会で、北朝鮮から逃げ出して捕らえられ、収容所に入れられた妊婦の惨状を描いたイラストが公開された。それによると、妊婦の腹の上には板がのせられ、二人の男がそこに上がって足で踏みつけるという、まさに獣のような拷問が行われていたという。
こうした生き地獄に終止符を打つ根本的な対策は、金一家による世襲王朝を終らせるしかない。
しかし北朝鮮の口には、世界第2位の経済大国である中国が提供した延命装置がとりつけられている。この延命装置は同時に、北朝鮮住民の苦痛を長引かせるものでもある。この状況からもたらされるジレンマは、北朝鮮に圧力を加えれば、北朝鮮の権力がその痛みを住民に転嫁するということにある。
北朝鮮の権力は韓国の対北朝鮮政策によるこうしたジレンマを巧みに利用し、対話と挑発を何度も繰り返してきた。また北朝鮮に追従する勢力も、このジレンマを人道主義という美辞麗句で覆い隠しながら、政府を攻撃してきた。
金王朝による三代世襲が仮想のシナリオから現実となった今、われわれは将来、北朝鮮同胞に「あの時は苦痛を和らげるために最善を尽くした」と胸を張って言うことができるように行動しなければならない。そのためには北朝鮮体制の変化を後押し、あるいは誘導しながらも、それが北朝鮮同胞の苦痛を重くするような結果とならない方法を何としても見出さなければならない。
出典●http://www.chosunonline.com/news/20100929000035
●「朝日新聞」社説 北朝鮮―世襲3代、変わらぬ難局http://www.asahi.com/paper/editorial20100929.html#Edit2
「朝鮮日報」は
われわれは将来、北朝鮮同胞に「あの時は苦痛を和らげるために最善を尽くした」と胸を張って言うことができるように行動しなければならない。
と述べているが、日本の政府や国民が実際にやっていることは苦痛を和らげるどころか、
「北朝鮮同胞の苦痛を重くするような」ことになっているのではないか。
王朝の支配を終わらせるにはどうしたらよいかと自らに問う姿勢がどこにもないからであろう。(つづく)
●NHKのニュース http://www.nhk.or.jp/news/html/20100930/t10014305991000.html
日本のTVや新聞の報道や論説を見聞きしているとノーテンキそのものである。拉致被害者や日本人妻がこの王朝にさらわれ、閉じこめられ、行方さえわからないのに、第三者面をして床屋評論をしている始末である。
韓国の保守派といわれる「朝鮮日報」の社説を読んでみた。僕はこちらの方に遙かに親近感を抱いた。少なくとも自らに引きつけて課題を明らかにしている。
皆さんも「朝日新聞」の社説と読み比べて見てください。
三代世襲王朝の喜劇と北朝鮮住民の悲劇 (「朝鮮日報」社説 2010・9・29)
(略)
2008年に脳卒中で倒れ、健康不安説がささやかれている金総書記にとって、金日成主席が与えてくれた権威はもはや消え去っている。金総書記が今手にしているのは、国民の苦しみを無視し、国の力を搾り取った資源を軍に投入する先軍政治によって得た銃口しかない。
こうした状況に置かれている金総書記から、わずか27歳の息子に権力を継承させる作業が順調に進むことなど絶対にあり得ない。そのため世襲王朝による軍への依存はさらに深まり、すでに破たんした経済は出口を見出すことができないまま、さまようことだろう。軍での経歴がまったくない妹とその夫に取り巻きの使命を与えただけでは、到底信頼には値しない。
主体と自主の国の首領という金総書記が、先回の中国訪問に息子を同行させ、中国の指導部に紹介したのは、危険と隣り合わせの世襲体制構築に対する中国の後ろ盾を期待しているからだろう。しかし北朝鮮では今も、住民が飢えの苦しみから逃れるために、国境を越えて自らの身体を売るようなことが現実に起こっている。このような悲惨な状況を永遠に保障するような方法などどこにもない。金総書記が国を息子に引き継ぐことに成功したとしても、それは一時的なものに過ぎないだろう。そこで北朝鮮は内部の不満を外部に向けさせるため韓国に軍事的な挑発を仕掛けてくる可能性も高く、また北朝鮮の体制自体が予告なく急変するに違いない。われわれはこれらの動きに対して国家的な知恵と力を結集し、万全の備えをしておく必要がある。
われわれが回答を見出さねばならないもう一つの課題は、北朝鮮に住む同胞を、地獄のような貧困生活からいかにして救い出すのかということだ。
北朝鮮の同胞たちは、金王朝の権力継承の見返りとして、同時に苦痛を継承せざるを得ない立場に置かれている。数日前には米議会で、北朝鮮から逃げ出して捕らえられ、収容所に入れられた妊婦の惨状を描いたイラストが公開された。それによると、妊婦の腹の上には板がのせられ、二人の男がそこに上がって足で踏みつけるという、まさに獣のような拷問が行われていたという。
こうした生き地獄に終止符を打つ根本的な対策は、金一家による世襲王朝を終らせるしかない。
しかし北朝鮮の口には、世界第2位の経済大国である中国が提供した延命装置がとりつけられている。この延命装置は同時に、北朝鮮住民の苦痛を長引かせるものでもある。この状況からもたらされるジレンマは、北朝鮮に圧力を加えれば、北朝鮮の権力がその痛みを住民に転嫁するということにある。
北朝鮮の権力は韓国の対北朝鮮政策によるこうしたジレンマを巧みに利用し、対話と挑発を何度も繰り返してきた。また北朝鮮に追従する勢力も、このジレンマを人道主義という美辞麗句で覆い隠しながら、政府を攻撃してきた。
金王朝による三代世襲が仮想のシナリオから現実となった今、われわれは将来、北朝鮮同胞に「あの時は苦痛を和らげるために最善を尽くした」と胸を張って言うことができるように行動しなければならない。そのためには北朝鮮体制の変化を後押し、あるいは誘導しながらも、それが北朝鮮同胞の苦痛を重くするような結果とならない方法を何としても見出さなければならない。
出典●http://www.chosunonline.com/news/20100929000035
●「朝日新聞」社説 北朝鮮―世襲3代、変わらぬ難局http://www.asahi.com/paper/editorial20100929.html#Edit2
「朝鮮日報」は
われわれは将来、北朝鮮同胞に「あの時は苦痛を和らげるために最善を尽くした」と胸を張って言うことができるように行動しなければならない。
と述べているが、日本の政府や国民が実際にやっていることは苦痛を和らげるどころか、
「北朝鮮同胞の苦痛を重くするような」ことになっているのではないか。
王朝の支配を終わらせるにはどうしたらよいかと自らに問う姿勢がどこにもないからであろう。(つづく)